橋本マナミさん、さとうほなみさん、武田梨奈さんらが出演する吉田浩太監督のブラックコメディ『セクシャルドライブ』が第50回ロッテルダム国際映画祭に正式招待されることが発表されました。

　独特のエロティックな世界を描き　『ユリ子のアロマ』（２０１０年）が第10回ニッポン・コネクション（ドイツ・フランクフルト）審査員特別賞、『ソーローなんてくだらない』（２０１１年）が第19回レインダンス映画祭（イギリス・ロンドン）ベストインターナショナル作品賞ノミネート、『愛の病』（２０１７年）で主演の岡山天音さんが第15回アジアンフィルムフェスティバル（イタリア・ローマ）で最優秀男優賞を受賞するなど海外での評価も高い吉田浩太監督の新作となる『セクシャルドライブ』は、「納豆」「麻婆豆腐」「背脂大蒜増々」という食に関する３つのエピソードで構成されたブラックコメディ。　
　妻とのセックスレスに悩むデザイナー、パニック障害で休職中のＯＬ、愛人との関係を終わらせたいエリート広告マンというそれぞれの事情を抱える人物たちと謎の男の出会いを通して、人間の秘めた性衝動を暴いていく作品となっています。

　キャストには豪華でユニークな俳優陣が顔を揃えています。
　「納豆」でデザイナーの妻・真澄を演じるのはグラビアやバラエティ番組で人気となり『光』（２０１７年／大森立嗣監督）などで女優としても活躍する橋本マナミさん。真澄の夫のデザイナー・江夏には『恋人たち』（２０１５年／橋口亮輔監督）などの池田良さん。
　「麻婆豆腐」でパニック障害のＯＬ・茜を演じるのは“ほな・いこか”名義でバンド・ゲスの極み乙女のドラマーとして活躍し２０２１年全世界配信予定の『彼女』（廣木隆一監督）に主演するなど女優としても注目を集めるさとうほなみさん。
　「背脂大蒜増々」でエリート広告マンの愛人・桃花を演じるのは得意のアクションにとどまらず幅広い役を演じるドラマ「ワカコ酒」シリーズなどの武田梨奈さん。桃花を愛人にしている広告マンの池山には国際的に活躍する『ココロ、オドル』（２０１９年／岸本司監督）などの尚玄さん。
　そして、公開の近づく『あの頃。』（２０２０年／今泉力哉監督）など多くの気鋭の監督たちの作品に引っ張りだこで吉田監督の『ソーローなんてくだらない』で主演をつとめた芹澤興人さんが、全エピソードに出演する謎の男・栗田を演じています。

　『セクシャルドライブ』が正式招待されるロッテルダム国際映画祭は、オランダ人口第二の都市・ロッテルダムで毎年開催され２０２１年で50回を迎える歴史ある映画祭。
　新たな才能の発掘やアジア映画を多く上映することに定評があり、１９９５年に風間志織監督『冬の河童』、１９９６年に橋口亮輔監督『渚のシンドバッド』、２００１年に古厩智之監督『まぶだち』、２０１４年に池田暁監督『山守クリップ工場の辺り』が長編２作目までの監督を対象とする最優秀作品賞であるタイガーアワードを受賞しているほか、１９９７年に河瀨直美監督『萌の朱雀』、１９９８年黒沢清監督『CURE』、２０００年に三池崇史監督『オーディション』を上映し、各監督がヨーロッパで広く知られるきっかけとなっています。
　今回のロッテルダム国際映画祭は２０２１年２月１日より７日まで開催され、『セクシャルドライブ』はオランダで上映されるに値する作品を審査員の投票により選出するビッグスクリーンコンペティション部門にノミネート。同部門には今回15作品がノミネートしており、『セクシャルドライブ』はメイン会場であるとロッテルダムのホール・De DoelenやKINOで上映されるほか、オランダ国内で３日間のオンライン配信が予定されています。
　なお、今回の同映画祭は現在の国際的な状況を鑑み、２月の開催期間中にはビッグスクリーンコンペティションとタイガーコンペティション、短編を対象にしたアモードタイガー短編コンペティションの３つのコンペティションと一般招待作品のみが上映され、そのほかの作品は６月に上映予定となっています。

　『セクシャルドライブ』の同映画祭ノミネートにあたり、キャストと監督はそれぞれつぎのようにコメントを発表しています。

「納豆」真澄役：橋本マナミさんコメント

吉田浩太監督、「Sexual Drive」ロッテルダム映画祭への出品おめでとうございます。想像を掻き立てられる不思議な世界観の映画なので、その面白さを海外の方にも楽しんでいただけたら嬉しいです。

「納豆」江夏役：池田良さんコメント

「納豆」撮影時は、こんなヘンテコな短編、どこで誰が見るんだろう、と思っていましたが、監督の執念で連作になり、ロッテルダムの懐の深さで世界に羽ばたくというトンデモナイことに。映画っていいなあ！

「麻婆豆腐」茜役：さとうほなみさんコメント

「麻婆豆腐」に出演させていただきました。次こんなの考えてるんだよねーと吉田監督に本を見せて頂いたときに、妙な世界観が最高に面白くて出演したい！とお伝えしたところ実現しました。映像もとても妙な作品になっていると思います。良い意味です。ロッテルダム映画祭へのノミネート、心より感謝申し上げます。

「背脂大蒜増々」桃花役：武田梨奈さんコメント

映画のタイトルとプロットを初見した時、そのインパクトに戸惑いも感じましたが、中身はとても繊細で人間らしいものでした。観てくださる方々の感想が予測つかない作品ではありますが、まずはヨーロッパでのワールドプレミアでどのように届くのか楽しみです！

「背脂大蒜増々」池山役：尚玄さんコメント

ソーシャルディスタンスどころか人の心に土足で踏み込み、意図せずしてか荒療治を施していくアンチヒーロー。人々の間に隔たりがある昨今の状況だからこそ、この愛すべきバカ映画を評価して頂けたのかも知れません。海外の方々の反応が楽しみです。

栗田役：芹澤興人さんコメント

ロッテルダム国際映画祭での上映が決まり嬉しいです。この映画のテーマ『食と性に対する衝動』は、国や文化関係なく、原始的で生存の為には不可欠な事だと思います。僕の演じた栗田は、その衝動に駆られた人達の騎手のような役でしたが、その背徳感が気持ち良かったです。この作品がオランダでどの様に受け止められるのか楽しみにしています

吉田浩太監督コメント

自分ならではの映像表現をとにかくやってみた映画でしたので、今回の選出にただ驚くと同時に、自分がやりたいことをやっていいのだと自信を持つことが出来ました。今作がロッテルダム映画祭に選出されたことを運命のように感じています

　日本での公開に先駆けての海外映画祭参加でとなった『セクシャルドライブ』。同映画祭でどんな評価を得るか、そして今後の展開も楽しみです。

『セクシャルドライブ』あらすじ

自妻とのセックスレスについてひそかに悩むデザイナー江夏。持病のパニック症候のため自宅療養をしながら仕事復帰を目指すOL茜。愛人との関係を終わらせたいエリート広告マン池山。各々秘密を抱える三人の元、栗田と名乗る男が現れる。栗田から江夏の妻と不倫をしてしまい謝罪したいと言われる江夏。仕事復帰のため運転する中、偶然栗田を轢過してしまう茜。仕事終わりに、愛人の女性を拉致していると栗田から電話を掛けられる池山。栗田と名乗る不審な男の言動によって、三人の密かに抱えている性の秘密が徐々に暴かれていく…。