イシヅカユウさんを主演に迎え、トランスジェンダー女性が新たな一歩を踏み出す瞬間を東海林毅描く短編『片袖の魚』が、７月10日より新宿のK's cinemaで公開されることが発表されました。

　『片袖の魚』は、監督やＶＦＸアーティストとして多くの商業作品に携わりつつ自主制作で作家性の強い作品を発表している東海林毅監督の新作短編。東海林監督は短編『老ナルキソス』（２０１７年）でゲイの老人の性と苦悩を描き第27回レインボー・リール東京～東京ゲイ＆レズビアン映画祭～や上海クィア映画祭２０１８で最高賞を受賞するなど、LGBTQ+を題材にした作品が国内外のLGBTQ+映画祭で高評価を得ています。
　今回の『片袖の魚』では、詩人・文月悠光（ふづき・ゆみ）さんの同名詩を原案に“自分を不完全な存在と思い込み、自身を持てないまま社会生活を送るひとりのトランス女性があらたな一歩を踏み出そうとする――そんなささやかな瞬間”を、34分の短編として映像化しています。

　『片袖の魚』制作にあたっては、東海林監督の意向により日本では初となるトランスジェンダー女性当事者の俳優を対象としたオーディションを開催。多数の応募者の中から、主人公・新谷ひかり役にはファッションモデルのイシヅカユウさんが選ばれました。
　ＣＭ出演などモデルとしての活躍の場を広げるだけでなく自らの体験を語る活動も精力的におこなっているイシヅカユウさんは、これが映画初出演となります。

　また、同じくオーディションにより、グラビアやＴＶ番組・ネット番組などで活躍する広畑りかさんが、新谷ひかりの友人・千秋役で出演します。

　そのほか、ひかりの高校時代の同級生・久田敬役に出演作の公開が続く黒住尚生さん、ひかりの同僚・辻史夏役にアイドルグループ・仮面女子のメンバーである猪狩ともかさんという期待の若手キャストに加え、森本のぶさん、杉山ひこひこさん、入江崇史さんら実力派が集結。さらに、観賞魚店店主役で東海林監督『老ナルキソス』主演の田村泰二郎さん、ひかりの職場の上司・中山恵子役で原日出子さんと、ベテランも出演しています。

　音楽は、蓮沼執太フィルのメンバーでアーティストのサポートや楽曲提供もおこなうドラマー・作曲家のJimanicaこと尾嶋優さんがオリジナル楽曲を提供。
　そして、原案の文月悠光さんが映画『片袖の魚』のイメージに合わせて歌詞を書き下ろし、尾嶋優さんが作曲した主題歌「RED FISH」を、シンガーのUsui Miynaさんが歌っています。

　新型コロナウイルス感染症拡大の中での撮影となったため、少人数でスピーディーな制作を実現するために撮影はソニー製のAndroid搭載スマートフォン・Xperia 1の１台のみでおこなわれており、その撮影方法も注目点のひとつです。

　タイトルに呼応したような、水槽を泳ぐ観賞魚のヴィジュアルも印象的な短編『片袖の魚』は、短編では珍しい単独上映で７月10日(土)より東京・新宿のK's cinemaにて公開。意向、全国順次公開が予定されます。