多くの映画人を輩出する映画美学校が新たに開講する「言語表現コース ことばの学校」で主任講師の佐々木敦さんとともに講義を担当する15名の講師が発表されました。
これまでフィクション・コース、脚本コース、アクターズ・コース、ドキュメンタリー・コースなどを開講し、多くの人材を映画業界へと送り出してきた映画美学校が、2021年7月、新たに開講するのが「言語表現コース ことばの学校」。
このコースは、映画に関する著書も多い思想家の佐々木敦さんが主任講師をつとめ“日言語表現のさまざまなジャンルや形式に触れ、「自分が自分だからこそ書ける言葉」を発見し、獲得する”ことを目指す講座となっています。
同コースは7月28日開講の基礎科と、2022年1月開講の演習科で構成されています。
基礎科の講義は毎週1回で全20回。映画・音楽ジャーナリストの宇野維正さん、作家の佐藤亜紀さん、書評家の豊崎由美さんら、各分野で言葉に携わる15名が講師として佐々木敦主任講師とともに講義を担当し、さまざまなジャンルの言語表現を吸収することを目指します。講義はすべてオンラインでおこなわれ、全国どこからでも受講が可能となっています。
演習科も同じく全20回を予定。4人の専任講師の直接指導により、自分の中に眠る〈ことば〉を構築することを目指す内容で、ゲスト講師による講義も予定。対面講義とオンライン講義を併用し、より細やかな対応をおこないます。
また、開講に先駆け、主任講師の佐々木敦さんと講師陣が出演する有料のキックオフイベントが6月23日(水)にオンライン開催。そして、佐々木敦さんが直接カリキュラムを説明する無料の基礎科募集ガイダンスが7月7日(水)にオンラインで実施されます。
人材輩出だけに留まらず多彩なかたちで実績を残してきた映画美学校。新たなコースの開講が今後何を生み出していくのか、その活動に期待です。
開校宣言
映画美学校の新しいコースとして「ことばの学校」をスタートします。
いま、言葉は、ありとあらゆるところに溢れています。私たちは、言葉を発さない日、言葉を使わない日、言葉を目にしない、耳にしない日は、まずほとんどないと言っていいでしょう。
言葉は道具です。でも、ただの道具ではない。道具であるだけでもありません。
言葉にはもっと多くの意味と意義、機能や価値、可能性があります。
言葉による営みと試みは、私たちの世界を押し広げたり、それまで気づいていなかった重要なことどもに気づかさせてくれたりもします。言葉はただ単に、他人と関係したり誰かを説得したり何かを説明したり物事を円滑に運ぶためだけのものではありません。言語表現の芸術的な側面や、文化としての次元は、たとえ明確な有効性や有用性を披瀝し得ていない場合であっても、思いがけないかたちで、とつぜん鮮やかな光彩をまといながら、私たちの前に立ち現れることがあります。
書くこと、読むこと、話すこと、語ること、綴ること、述べること、文章には、技術という要素もありますが、それだけではない、「上手い文章」や「良い文章」が一通りしかなかったら世の中の文章はぜんぶ同じになってしまいます。
書くことを学ぶこと、言葉の使い方を学ぶこと、言語表現を学ぶことの目的は、煎じ詰めれば、自分が自分だからこそ書ける言葉、そのような文章を書けるようになることだと思います。それを個性や魅力と言ってもいいですが、僕はここでは必然性と呼びたいと思います。書かれる必然性、この世界に産み落とされる必然性を持った自分の言葉を紡ぐこと。
ことばの学校では、言語表現のさまざまなジャンルや形式に触れることができます。僕はかつて、かなり長い間「批評」のスクールをやっていました。しかし今回は、批評や評論も含みますが、創作やエッセイ、ノンフィクションなどなど、極めてヴァラティに富んだ「ことば」のありようを学べる学校として、渾身のプログラミングを行いました。
第一期は「基礎科」と「演習科」に分かれています。基礎科では、総勢15名のそうそうたる講師陣によるオンライン・レクチャーが日替わりで行われます。演習科ではそれを踏まえて、4名の専任講師がより実践的な指導を対面とオンラインのハイブリッド形式(予定)で担当し、あいだにスペシャルゲストによる特別講義が挟まります。基礎科、演習科ともに座学だけではなく、具体的な課題を設定し、実際に文章を書いて講評を受けることが出来ます。
ことばの学校は、文字通り「言葉のスクール」です。いわゆるライタースクールやカルチャースクールとはひと味もふた味も違います。どうしてことばなんてものが存在するのか、ことばでいったい何ができるのか、あらためて考えてみるための、そして「自分ならではのことば」を発見し、獲得するための、これは学び舎です。
多くの方々の参加をお待ちしております。
映画美学校言語表現コース ことばの学校 主任講師 佐々木敦