新鋭・梅村和史監督の初長編『静謐と夕暮』(せいひつとゆうぐれ)が、2022年1月8日より1週間、池袋シネマ・ロサでレイトショー上映されます。
多くの応援コメントを集める梅村和史監督『静謐と夕暮』2022年1月池袋でレイトショー
『静謐と夕暮』は、ひとりの女性が老人に手渡した原稿を読み進めていくような作品。
1996年の生まれの梅村和史監督が京都造形芸術大学映画学科の卒業制作として制作した初長編作品で、2020年には第44回サンパウロ国際映画祭の新人監督コンペティション部門にノミネートし上映されています。
主人公のカゲを演じるのは、梅村監督と同じく京都造形芸術大学出身の新人・山本真莉さんで、山本さんは主演に加え制作と美術も担当。
そして、カゲが出会うキーパーソンの老人を、インディーズ作品も含めさまざまな作品に出演し『公衆電話』(2018年/松本動監督)でSHORT SHORTS FILM FESTIVAL&ASIA2018でベストアクター賞を受賞した入江崇史さんが演じています。
ほかの監督の作品で音楽で参加することもある梅村監督は、本作でも監督・脚本に加えて撮影と音楽も担当しており、観客の記憶を喚起する夏の原風景のような映像が綴られていきます。
また、本作は『凶悪』(2013年)『止められるか、俺たちを』(2018年)などで知られる白石和彌監督が「長期熟成されたウイスキーを味わうように、深く記憶の余韻が広がる映画だ。」と評しているのをはじめ、『風たちの午後』(1980年)『三月のライオン』(1992年)『無伴奏』(2015年)などの矢崎仁司監督、『お盆の弟』(2015年)『無限ファンデーション』(2018年)などの大崎章さんら、多くの映画監督・著名人よりコメントが寄せられています。
矢崎仁司監督コメント
ファスト映画とか再生スピードコントロール機能とか、急速に壊れていく今の映画の世界で、『静謐と夕暮』は映画の可能性に挑んでいる。映画は光景と音で暗闇に投げられた石だと思う。澱んだ空気を慄わせ、波紋になり、転がる。きっと誰かの記憶に触れ、忘れていた何か大切なものを思い出す。
大崎章監督コメント
小学校2年生の時、昼寝をしていて天井の木目を見ていたら、突然生まれて初めて『死』の恐怖が降ってきた。怖くてたまらなかった。『静謐と夕暮』を観ている途中にその事を思い出した。何故だろう。いつも散歩する公園がある。僕がその公園で寝ていて、もしも小学生の女の子が僕の顔を覗きこんだら。その後畳の上の布団に体が瞬間移動したらどんな気持ちなんだろう。イメージの連鎖が気持ち悪いのだけど、心地よい。景色が良い。
観ている途中で、この映画の中に入りたくなった。今日はとんでもない才能に巡り会えた日だ。
公開に向け公式サイトが開設されており、寄せられたコメントが掲載されているほか、映画に関するさまざまな情報が発信されています。
前売り券の発売もスタートしている『静謐と夕暮』の今後の情報に注目です。
『静謐と夕暮』あらすじ
写真家の男が川辺を歩いていると、川のほとりで衰弱している老人に、何やら原稿の束を渡す女がいた。
翌日、再び男がその場所に行ってみると、その原稿を読む人々がいた。
その原稿には、渡した女の書いたものと思しき、この川辺の街での日常がしたためられている。
――――――ある日、いつものように川辺にやってきた女は、見知らぬ黄色の自転車と川辺に座る男を見た。
数日後、女が住むアパートの隣室にその川辺の男が越してきた。
夜な夜な隣室から聞こえる、男が弾くらしきピアノを漏れ聞くうちに、その男の生態が気になり、
毎朝、黄色の自転車に乗って出ていく彼の後ろを追いかけることにした。
そんなある日、隣室の男が失踪する。―――――