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海外で好評を得た『私はどこから来たのか、~』日本公開に北尾和弥監督「特別な体験を楽しんで」

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舞台あいさつをおこなった北尾和弥監督、石川理咲子(いしかわ・りさこ)さん、高橋恭子さん、小野塚老(おのづか・らお)さん、那木慧(なぎ・さとし)さん、鴻森久仁男(こうのもり・くにお)さん(左より)
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 世界各国20以上の映画祭で高い評価を得ている『私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは・・・』が2月11日にシアター・イメージフォーラムで初日を迎え、主演の石川理咲子さんら出演者と北尾和弥監督が舞台あいさつをおこないました。

 『私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは・・・』は、姿を消したひとりの男を探す女が主人公。男が残した写真を頼りに都市をさまよう女が、行く先々で出会う4人の人物と交わす会話によって物語が綴られていきます。
 すでに世界各国20以上の映画祭で上映され複数の映画祭で最優秀長編映画賞に輝くなど海外での高評価を得て国内公開を迎えました。

 北尾和弥監督は、この作品の制作過程について「ぼくの映画だけにあるリアリティみたいなものを構築することが映画を作るということなのではないか」ということを考えているころに石川理咲子さんに会い、演技の経験がある俳優ではなくダンサー・パフォーマーとして身体表現をおこなっている石川さんを起用することで「違うものを作れるのではないか」という話をしたところから始まり、台本もない状態でふたりだけで撮影をスタートさせたと説明。

 当時、監督の話を聞いて「“あ、面白そうだな”と思って、とりあえず“やってみます”という感じで」参加したという石川さんは「“とりあえずなんかやってみて”と言われて、なんとなく“こんな感じかな?”って演じて“それいい”っていうのを積み重ねて」撮影していたと振り返り、北尾監督は「そういうところから始まって、それからぼくが脚本を書きはじめて、途中まで書いて、撮って、書いて、撮って、書いて、みたいなことを繰り返して」短編のつもりで始まった作品が上映時間2時間17分の現在のかたちに発展していったことを明かしました。

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脚本・撮影・編集も手がけた北尾和弥監督

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主人公の女を演じた石川理咲子さん

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主人公が出会う娼婦を演じた高橋恭子さん

 撮影しながら脚本が作られ、台本もト書きがほとんどないという、通常の映画とは異なる作り方に、娼婦を演じた高橋恭子さんは「ちょっと戸惑う部分もあったんですけど、反対にとても面白い、いつもとは違う感覚が刺激されるような感覚もあって」と、盲目の老人を演じた小野塚老さんは「むしろ、わけのわからないセリフほど言いごたえのあるものはない」と、それぞれ参加しての感想を。
 死にたい男を演じた那木慧さんは、独特な人物像の役にも「自分のことが書かれているなと思った」とコメント。
 星を探す男を演じ、助監督としてもクレジットされている鴻森久仁男さんは、撮影現場が「(北尾監督)ひとりでしたからね」と、監督が撮影もおこないほかにスタッフがいないことがほとんどだったことを紹介し、北尾監督は「もう、人数を極限まで削って、ほかのものが入ってこない状態でやりたかったので」と、その意図を述べました。

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盲目の老人を演じた小野塚老さん

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死にたい男を演じた那木慧さん

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星を探す男を演じた鴻森久仁男さん

 舞台あいさつは、登壇者ひとりひとりのコメントで締めくくられました。

「いまはスマホどかでも映画が観られる時代ですしね、映画館という価値観がどんどん変わっていっている状況だと思うんですけど、ぼくはシアター・イメージフォーラムには青春の思い出があって、ここでラリー・クラークの映画を観たんですよ。すごいドキドキしながら暗闇の中。エッチなことを考えていたんですけど、なんか映画館って、映画館の闇に染まることでいろいろ物事を考えられると思うんですよね。この映画も、北尾さんならではの観点で東京というものが撮られていて、いろいろ物思いにふけるきっかけとなる映画だと思うので、自分の将来のこととかね、いろいろ考えたら新しい人生の見え方があるんじゃないかと思いますので、ありがとうございました」(鴻森久仁男さん)

「2時間17分、長いと思いますけど、お付き合いいただけれたらと思います」(那木慧さん)

「こういうインディーズの映画って、自分らが出るのも短編が多いので、どうしても短い時間の中で話が展開してまとめていくみたいな、そういう作りが多いんですけど、これだけの時間をかけて撮りきったということろで、なにがどこまで出ているんだろうということろが観どころだと思います」(小野塚老さん)

「みなさんは睡眠はたっぷり取っていらっしゃったでしょうか(笑)。最近の映画って、とてもわかりやすいというか、セリフであったりとか、画面もよく見えてきれいに見えるというのがある中で、見えなかったりとか、たくさんのセリフを一個一個取ろうとしてしまうとちょっと“ああっ”てなってしまうかもしれないんですけど、もうちょっと気楽にいろいろなことを感じるみたいな、体験するみたいな感じで過ごしていただけたら、きっとなにか持って帰っていただけるんじゃないかと思います。楽しんでいてください」(高橋恭子さん)

「二度とできないなって思いますね(笑)。ほんとに即興的に撮っていったので、その中から一番いい瞬間が出ていますし、衣装とかも全部私物で、そのころの私そのものが出ていて、私だけ役がないんですよね。みんなは“娼婦”とか“老人”とか付いているけど私はありのままで、ほんとにそのときの一番いい瞬間が収められていて、登場人物だけじゃなくて風景とかも素晴らしい日本のいろいろなシーンが盛り込まれているので、隅々まで感じ取ってください」(石川理咲子さん)

「もう、だいたい言われてしまった感じがしますけど、いま話したみたいにかなり特殊な撮り方をしているとは思うので、いままでにこういうことをやった人がいなかたわけではないですけど、普通にはできないやり方をした映画だと思っているので、なかなかほかでは観られないような特別な体験にはなると思うので、それを楽しんでいっていただければと思います」(北尾和弥監督)

 現在の東京を独自の視点で切り取った映像と、登場人物の交わすセリフが観客を刺激する“思考する映画”『私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは・・・』は、2月11日土曜日よりシアター・イメージフォーラムで公開中。連日、監督・出演者による舞台あいさつやゲストを迎えてのトークイベントが開催されます。

作品スチール

私はどこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか、そしてあなたは・・・

  • 監督・脚本・撮影・編集:北尾和弥
  • 出演:石川理咲子 高橋恭子 小野塚老 那木慧 鴻森久仁男
  • 配給:

2023年2月11日(土)より シアター・イメージフォーラムにて公開

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