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井桁弘恵さん「小さな幸せに気づいていただけたら」 『釜石ラーメン物語』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった今関あきよし監督、井桁弘恵さん、池田朱那(いけだ・あかな)さん、利重剛さん(左より)
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 井桁弘恵さんが主演をつとめる今関あきよし監督の人情喜劇『釜石ラーメン物語』が7月8日に新宿K's cinemaで東京公開初日を迎え、井桁さんと今関監督、共演の池田朱那さん、利重剛さんが舞台あいさつをおこないました。

 『釜石ラーメン物語』は、昭和の面影を残す岩手県釜石で父親と次女が切り盛りする小さなラーメン店に、3年間音信不通だった長女が突然戻ってきたことから始まる騒動を通して、町の人々の温かさや家族の再生をコミカルに描いた作品。

 舞台でありロケ地である岩手県で4月に先行公開され好評を博したのを経ての全国拡大公開となり、今関監督は「去年の桜が咲く頃に撮影して、現地の釜石では桜の咲く頃に上映をして、やっとこうして東京・新宿で上映ができる。もう、ほんとに感無量です」とあいさつし、ハリウッド公開が決まったことも報告。満員の客席からは大きな拍手が送られました。

 今関監督は、まだ震災の傷跡も色濃かった2014年に「この町を元気にする映画を撮れたらいいなみたいな地元のお話を聞きまして」初めて釜石を訪れ、映画作りを構想しつつもなかなかかたちにならない中で「行くたんびにスタッフと一緒に何気なく食べていたラーメンが釜石ラーメンだったんですね。釜石のソウルフードで、意識して食べるというよりいつものように食べているラーメン。これを題材に映画にできないかと思いついて、いまに至るという感じです」と作品が生まれた経緯を説明。
 そして「井桁弘恵ちゃんに無理やり出演をお願いして。井桁なくしてこの映画はないので」と、監督の希望で井桁さんが主演に決まったことを明かしました。

 主人公の正実を演じた井桁弘恵さんはこれが映画初主演。井桁さんは「映画の主演って、いつかやりたいな、やらせていただけたらいいなと思っていたので」と話し「監督とは、この作品の前に撮られていた作品のオーディションでお会いしていたという縁もあって、その監督が私を選んでくださったというのがすごく嬉しくて、監督がたくさんたくさん温めてきた作品で主演をやらせていただくということで不安もあったんですけど、それ以上に嬉しい気持ちでいっぱいでした」とコメント。
 マイペースで周りを巻き込む「お騒がせ姉貴」という今回の役柄は「あんなお騒がせしないですよ、普通は(笑)」と、井桁さん本人とは似ていないと笑う一方で「酔っ払っているシーンとか、ちょこちょこあったと思うんですけど、お酒が好きなところは似てるなあと思って(笑)。海宝漬を食べなららお酒を飲むシーンなんて、すごい幸せでしたね(笑)」と、役との共通点も挙げました。

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主人公・正実を演じた井桁弘恵さん

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正実の妹・仲良(なかよし)を演じた池田朱那さん

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正実と仲良姉妹の父・剛志を演じた利重剛さん

 正実の妹で、帰ってきた姉とぶつかりながらもやがて力を合わせていく次女・仲良(なかよし)を演じた池田朱那さんは、舞台あいさつのチケットが即完売となったことに「こんなに楽しみにしていてくださっている方がいらして、すごく嬉しいなと思いました」と笑顔。
 劇中では正実と仲良が川の両岸で川を挟んで言葉を交わす印象的なシーンがあり、池田さんはそのシーンについて「台本を読んだときから、これは大変だろうなっていうのは想像がついていたので、釜石に撮影に行く前に東京でリハーサルをおこなわせていただいて、たくさん準備して行ったんですけど、思っていたより倍はあったんです、川が(笑)」と、予想以上に相手との距離があるために声が届かないのではと戸惑ったと話しつつ「ギリギリ(声が)届いたし、むしろ声を上げることによって感情もその分乗ってきたので、すごくいいシーンにはなったんじゃないかと思います」と感想を。
 井桁さんもそのシーンに関して「重要なシーンになることは台本を読んでもわかっていましたので、お互いに、正実としても負けたくないし、演じる上でも負けたくないなみたいな」気持ちがあり「すごく達成感が」あったと振り返りました。

 正実と仲良の父親・剛志を演じた利重剛さんは「いろいろある映画の中からこれを選んでくださって、ありがとうございます」と客席に感謝。
 利重さんは、釜石の方言はイントネーションは難しくないものの釜石の中でも地域によって違いがあったり、町の人は標準語に近い人も多かったりで「方言が難しいというより、どのぐらいでやるのかが難しかった」と、方言を使う役に苦労もあったよう。
 また利重さんは、井桁さんと池田さんの方言のお芝居を「ふたりとも興奮すると釜石弁が出るみたいなのを注意して作っていたので、それはね、かなり上手でした」と評し、井桁さんと池田さんは「嬉しい!」と声を揃えました。

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メガホンをとった今関あきよし監督

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トーク中の今関あきよし監督、井桁弘恵さん、池田朱那さん、利重剛さん(左より)

 今関監督は、監督自身が正実のキャラクターが充分に「見えてない」状態で、井桁さんに「お任せしよう」と思って撮影に入っていたことを明かし、震災で行方不明となった母親への正実の感情を感じさせる場面で、井桁さんが監督の予想とは違ったお芝居をしているのを見て「正実だ!」と思い「そうか、そうだよな」と、演技を見ながら「けっこうぼく泣きそうになっていた」と告白。
 さらに監督は、ラーメン店店内のシーンで「池田くんが、映ってなくても厨房で芝居するんですよ」と、池田さんが役に゙なりきっていたことも紹介し「井桁くんも池田くんも、ほんとにふたりとも役者として完全に成立しているなって」と賛辞を贈りました。

 最後に井桁さんは「この作品は、釜石の町の豊かさだったり、釜石の町の方の優しさに、たくさん助けられて完成した作品なので、釜石、岩手の方にたくさん観ていただきたいのはもちろんなんですけど、この作品を通して全国の方に釜石の魅力だったり、釜石ラーメンの美味しさだったり、それを通じた私たちが演じさせていただいた家族のつながりとか、町の方とのつながりとか、小さな幸せみたいなことに、たくさんの方に気づいていただけたらなと思って、作品の制作に携わらせていただきました。なので、これから全国、世界中にこの作品が届くように、来ていただいたみなさんにも、これからこの作品を愛していただけたらと思いますし、行ったことがない方は、ぜひ一度、釜石に足を運んでいただいて、釜石ラーメンも食べていただけたらなと思います。本日は誠にありがとうございました」と、舞台あいさつを締めくくりました。

 「日本中を笑顔にしたい」と今関監督がメガホンをとった『釜石ラーメン物語』は、舞台あいさつ登壇者のほか、佐伯日菜子さん、村上弘明さん、藤田弓子さんら、多彩なキャストが共演。7月8日土曜日より東京・新宿K's cinemaほか全国順次ロードショーされます。

ポスター

釜石ラーメン物語

  • 監督:今関あきよし
  • 出演:井桁弘恵 池田朱那 利重剛
    渡辺哲 大島葉子 岡村洋一 木月あかり 厚木拓郎 関口アナン 佐々木琉 山崎将也
    森湖己波 長田涼子 椿かおり 島本和人 佐伯日菜子 村上弘明 藤田弓子 ほか

2023年7月8日(土)より 新宿:K's cinema ほか全国順次公開

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