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“さよならまでの猶予期間(モラトリアム)”を描く隈元博樹監督初長編『あずきと雨』11月4日公開

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解禁された『あずきと雨』メインヴィジュアル ©2023 BOTA Inc.(※クリックで拡大します)

 映画に関する執筆活動でも知られる隈元博樹監督の初長編作品『あずきと雨』が11月4日より東京のポレポレ東中野ほか全国順次公開されることが決定し、主演の加藤紗希さんと嶺豪⼀さん、隈元監督のコメントとメインヴィジュアル、予告編が解禁されました。

 『あずきと雨』は、別れた恋人との同棲生活を続けている不動産会社社員のユキが主人公。ユキと、同棲を続けている元・恋人のノブ、ユキの勤務先を訪れた家出少女のリコたちが紡いでいくドラマを繊細に映し出し“さよならまでの猶予期間(モラトリアム”を描いた作品となっています。

 メガホンをとったのは、第16回水戸短編映像祭コンペティション部門審査員奨励賞受賞作『Sugar Baby』(2011年)や福井映画祭10TH短編部門審査員特別賞受賞作『あの残像を求めて』(2014年)などの短編作を監督するほか、カルチャー批評誌「NOBODY」編集や「映画芸術」「Time Out Tokyo」「CINRA」など雑誌・ウェブメディアへの映画評寄稿などでも活躍している隈元博樹(くまもと・ひろき)監督。オムニバス『リスナー』(2015年)の一編「ブエルボ アル スール」(今野恭成監督)などを手がけた脚本家・久保寺晃一さんの脚本に隈元監督が惚れ込み、自身初の長編作品として完成させました。

 主人公のユキを演じるのは『緑のざわめき』(2023年/夏都愛未監督)などに出演する加藤紗希さん。俳優活動のほか初長編監督作『距ててて』(2021年)が第43回PFFアワード観客賞ほか各地の映画祭で入選するなど監督としても活躍、振付師としても豊富な実績を持つ加藤さんが、短編『あの残像を求めて』に続いて隈元監督作品の主演をつとめました。
 そのほか、部屋を探すためユキの勤務先を訪れる少女・リコ役には『天然☆生活』(2018年/永山正史監督)で映画デビューした秋枝一愛(あきえだ・かずあ)さん、ユキの同僚・カナコ役には演劇集団ロロを中心に活動する望月綾乃さん。さらに、篠田諒さん、宮本行さん、立川らく人さんと個性豊かな俳優陣が共演。
 そして、ユキと別れていながら同棲生活を続けているノブを演じるのは、数々の作品で印象を残し今年は『風のゆくえ』(2023年/石井慎吾監督)『almost people』(2023年/横浜聡子監督)と主演作公開が続きさらに注目を集める嶺豪一さん。充実のキャストが揃いました。

 公開決定に合わせて解禁されたメインヴィジュアルは、映画を中心にアートディレクションなどをおこなう李潤希(Lee Yuni)さんによるもので、ユキ、ノブ、リコの登場人物たちがポップなイラストで表現されています。

 同時に解禁された予告編は、ユキとノブの会話で幕を開け、ユキとリコの家探しなど、ユキとノブ、リコが繰り広げる日常が映し出され、登場する「あずきバー」や雨の音がタイトルを印象付けます。

【『あずきと雨』予告編】

 また、公開決定にあたり、加藤さんと嶺さん、隈元監督は次のようにコメントを発表しています。

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ユキ役:加藤紗希さんコメント

脚本を初めて読んだときに、端的に言葉で表しづらい関係性がたくさん存在しているところが良いなと思いました。
狭い世界の短く小さな事象がつらつらと重なっていくだけの時間。劇的なことは起こらないかもしれないけれど、息苦しくなったりなんだかうずうずぐるぐるとするようなもどかしさを感じつつ、ユキの居場所を探すように演じていました。逃げたり、受け入れたり、立ち入らなかったり、掴めるようで掴めないユキさん。なんとなく監督の隈元さんに重なって感じる瞬間もあったり..。
嶺さん演じるノブと対峙したときのなんとも言えない近いようで遠い距離に物悲しさを感じたり、秋枝さん演じるリコと一緒にいると勝手に過剰に心配しちゃったり、2人を見ていると安心と心配が交互にやってきて。そんな中のオアシス的な存在が望月さん演じるカナコでした、自由でほっとして大好き。みんな元気かな。
ぜひ劇場でご覧いただけると嬉しいです。

ノブ役:嶺豪一さんコメント

記事写真 「あずきと雨」を振り返る。
この、映画のシナリオは誰かの実体験だったのだろうか、あれ、これ自分話したことあるな。なんて、台詞を覚えているとたまにそんな事を考える時がある。
同棲を解消したと同時に、映画の中でも僕はそうなった。現実と映画、日常の中に映画がどろどろと溶け込んできた?
映画の中に日常をどろどろと流し込んだ?
溶けたアイスは冷やせばまた元に戻るのだろうか?
大きい冷蔵庫が欲しいな。そうすれば何でも固まるのではないだろうか。
あっ、そうだ!あの子アイス好きだったな。
雨の日にも晴れの日にもどんな時にでも観に来てもらえたら嬉しいです。

隈元博樹監督コメント

記事写真 大切な人に出会うこともあれば、その先には別れが待っていたりもする。この別れをどのようにして映画の中で描くことができるのか。そのことは企画の始まりから撮影が終わってもなお、ずっと考えている気がします。
私自身、この映画のふたりのような経験はありません。ただ、短いながらもこれまでの人生の中で別れてしまった人たちのことを思い出したとき、ユキやノブの気持ちに少しでも寄り添うことができるのではないかと。ふとそんなことを思いながら、久保寺晃一さんが書かれたシナリオと向き合いました。
加藤さん、嶺さんをはじめ出演者の方々はもちろんのこと、スタッフのみなさんに支えられて生まれた大切な映画。ぜひ劇場でご覧いただけるとうれしいです。

 男女の別れや出会いをモチーフに、些細な機微を捉えた『あずきと雨』は、11月4日土曜日より、東京のポレポレ東中野で公開されるほか、全国順次公開されます。

ポスター

あずきと雨

  • 加藤紗希 秋枝一愛 望月綾乃 篠田諒 宮本行 立川らく人 嶺豪一

  • 監督:隈元博樹
  • 脚本:久保寺晃一
  • プロデューサー:永山正史/隈元博樹
  • 撮影:神野誉晃
  • 照明:中西克之
  • 録音:横澤匡広
  • 編集:冨永圭祐
  • 音楽:重盛康平
  • スタイリスト:齊藤あかね
  • ヘアメイク:須見有樹子
  • 製作・配給:BOTA
  • 助成:文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業

  • 2023年/カラー/アメリカン・ビスタサイズ/5.1ch/70分

2023年11月4日(土) ポレポレ東中野にて公開 ほか全国順次公開

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