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『悪魔がはらわたでいけにえで私』舞台あいさつで主演の詩歩さんが公開日の運命的偶然を紹介

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舞台あいさつをおこなった宇賀那健一監督、平井早紀さん、板橋春樹さん、野村啓介さん、詩歩(しほ)さん、遠藤隆太さん、石原理衣さん、三浦健人さん(左より)。監督の手には劇中で使用された生首が
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 海外の映画祭で高評価を得た短編を長編化した、先の展開予測不能のホラー活劇『悪魔がはらわたでいけにえで私』が2月23日に初日を迎え、池袋シネマ・ロサで主演の詩歩さんはじめ出演者と宇賀那健一監督が舞台あいさつをおこないました。

 『悪魔がはらわたでいけにえで私』は、音信不通となった友人を訪ねた若者たちが「別の世界への扉」を開いてしまったことから想像を絶する出来事が次々に起こっていくストーリー。宇賀那健一監督自身が「いろんな要素がてんこ盛りの作品」と語るように、過去のホラー映画やSF映画などのオマージュ要素が満載の作品となっています。

 アメリカのスラムダンス映画祭、ポルトガルのポルト国際映画祭、韓国のプチョン国際映画祭などで入賞し国内でも2022年に上映された宇賀那監督の短編『往訪』に新たに撮影された第二部・第三部を追加して長編化した三話構成の作品となっており、宇賀那監督は、コロナ禍で映画制作がままならなかった時期に「どうにか作品づくりを続けたい」と、親しい俳優たちとともに作った『往訪』が海外で高評価を得て長編化に至ったと作品の成り立ちを説明しました。

 もともとホラーが大好きで企画段階から参加して監督とホラー話を重ねていたという主演の詩歩さんは「私は『往訪』の人間から急にダブルチェーンソーにさせられて(笑)」と、演じた役・ハルカが途中から両腕がチェーンソーになったりと変化していく役であることを紹介し、当初は監督が両脚もチェーンソーにしようと考えていて「“どうやって撮るんだ?”ってなって(笑)」両腕チェーンソーに留まったと裏話も披露。
 詩歩さんはさらに、ダブルチェーンソーのアイディアはオマージュ元のひとつ『死霊のはらわたII』(1987年・米/サム・ライミ監督)の主人公・アッシュの片腕がチェンソーなので「いや、こっちはダブルっしょ(笑)」という発想だったと明かし、宇賀那監督は「ぼくは数が多いほうがいいと思っているタイプの人間なんで(笑)」。
 また詩歩さんと監督は、SNSで知った話題として『死霊のはらわた』(1981年・米/サム・ライミ監督)が日本で公開されたのがちょうど39年前の1985年2月23日だと紹介。詩歩さんは「“マジかよ!”と思って調べたらそうでした」と偶然に驚き、宇賀那監督は「サム・ライミ先生に捧げるということで。まだご存命ですけど(笑)」と話して場内の笑いを誘いました。

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主人公のハルカを演じた詩歩さん

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監禁された男・コウスケを演じた野村啓介さん

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ハルカの仲間のナナを演じた平井早紀さん

 最初に悪魔になってしまうナナを演じた平井早紀さんは、第二部以降はキャラクターが変わっていき「なんなら、スクリーンに映っている自分を観ながら“可愛いな”って」思うほどだと話し「観れば観るほど可愛くなるんで、みなさん何回も観てください」とアピール。

 ナナとともに悪魔になるタカノリを演じた板橋春樹さんは、宇賀那監督との付き合いが20年ほどで一緒に映画を作るのも10本程度となり「まだバカな話を作るなって思って、最高です(笑)」と、長い付き合いならではの視点でコメント。

 物語の発端となるソウタを演じた遠藤隆太さんは、レンタルビデオ店でもホラーコーナーを避けていたほどホラーが苦手だそう。初めてのホラー映画現場で造り物の内臓に艶を出すための素材を塗っているのを見て「ああいうふうに生々しさを表現するんだなって、あれ面白いですね」と、感想を述べました。

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ハルカの仲間・タカノリを演じた板橋春樹さん

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音信不通となるソウタを演じた遠藤隆太さん

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謎の男・レンを演じた三浦健人さん

 第二部から登場する音楽プロデューサー・コウスケを演じた野村啓介さんもホラーが苦手だそうで「いろいろな方に“観に来てください”って連絡させていただいたんですけど、本人が苦手なものを勧めるって心苦しかったです」と本音(?)をチラリ。
 コウスケは周囲がどんどん悪魔になっていくという、宇賀那監督曰く「一番、一般的な目線に近い」役で、野村さんは悪魔メイクのキャストに囲まれての撮影で「慣れると戸惑った表情ができなくなるので、変に慣れないように“俺はホラーが苦手だし、この人(共演キャスト)たちは怖い”というモードから切り替わらないように」努めていたと振り返りました。

 半分人間・半分ゾンビの謎の男・レンを演じた三浦健人さんは、視界がほとんどなくなる特殊メイク用のコンタクトレンズを入れるなどの撮影も「いろいろ挑戦できる現場でしたね」と楽しんだそうで、特殊メイクした自分を「写真とかで見ると“俺、なんか可愛くなんっているかな?”って思って(笑)」と話し「ストラップとか(のキャラクター商品)できないかなって(笑)」と、特殊メイクの自分が気に入った様子。

 人間を犬のように連れた悪魔を演じた石原理衣さんは、特殊メイクスタッフも力を入れた2時間半かかる特殊メイクでの撮影でしたが、プロデューサーのひとりは集合体恐怖症で石原さんのメイクが正視できなかったそうで、石原さんは「現場で誰とも目が合わなくて、私はこの現場でちょっとアレなのかなとか思っていたら、そういうことかと(笑)」と話しました。

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人間を連れた悪魔を演じた石原理衣さん

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メガホンをとった宇賀那健一監督

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トーク中の詩歩さんと野村啓介さん

 宇賀那監督は、最近は「アナログでやりたいとこだわって」いるそうで、平井さんが演じるナナが悪魔になって首をグルリと一回転させるシーンも、平井さんができるだけ首をひねって撮影したものにCGを加えて回転させていたそうで、平井さんは首を回して「筋肉痛がひどかったです」とコメント。

 そしてタカノリの口からゴキブリが出てくるというカットも、演じた板橋さんの「本物のほうが面白いんじゃないですか(笑)」という意向もあり、実際に食用ゴキブリを用意して口の中に入れて撮影したそうで、7匹入れたという板橋さんは「脚の数がすごくて」と、おそらく板橋さん以外には語れない感想を述べました。

 また、映画の後半では悪魔同士の「ギャッギャッ」という「悪魔語」での会話が多くなっており、悪魔役のキャスト同士が楽しそうに悪魔語で演技する中、野村さんは「ぼくは次のセリフのきっかけが全然わからなくて」と、この作品ならではの苦労もあったと話し「そういう意味で言うと(共演者のお芝居をよく見る)繊細にお芝居ができた」と振り返りました。
 詩歩さんは、悪魔語のセリフも全部わかると自信を見せ、生でオーディオコメンタリーのように悪魔語に翻訳を付ける「『悪魔の翻訳上映』をやりたいんですよね」と意欲を見せました。

 宇賀那監督は「小さい映画なので、みなさんの感想がほんとに励みになりますし、今後の集客にも後押しになってくると我々は信じております」と話し、タイトルが長く上に「悪魔の」などと間違いやすいため「#あくわた」で感想をつぶやいてほしいと呼びかけて舞台あいさつを締めくくりました。

 劇場で販売されているパンフレットは、なんと主演の詩歩さんが制作しており、過去のホラー映画のパンフレットへのオマージュたっぷりの、詩歩さん曰く「がんばっちゃった」もの。

 これまでの作品も海外で好評を得ている宇賀那健一監督自身が自らの最高傑作と断言する『悪魔がはらわたでいけにえで私』は、2月23日金曜日より東京のヒューマントラストシネマ渋谷、シネマ・ロサ池袋、シネマート新宿ほか全国ロードショー。24日は東京都内の3劇場、25日は関西の京都・大阪の3劇場で舞台あいさつがおこなわれます。

作品ポスター

悪魔がはらわたでいけにえで私

  • 監督:宇賀那健一
  • 出演:詩歩 野村啓介 平井早紀 板橋春樹 遠藤隆太 三浦健人 ロイド・カウフマン ほか
  • 配給:エクストリーム

2024年2月23日(金・祝)より ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、シネマート新宿 ほか全国ロードショー

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