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妊娠・出産について「知ること」を伝える有田あん監督初長編『渇愛の果て、』5月18日公開

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『渇愛の果て、』ポスターヴィジュアル ©野生児童 (※クリックで拡大します)

 劇団野生児童を主宰する有田あん監督が妊娠・出産についての取材を重ねて挑ん初長編『渇愛の果て、』の5月18日公開が決定し、ポスターヴィジュアルと、有田監督、作品に携わった医師・助産師のコメントが発表されました。

 『渇愛の果て、』は、産まれてきた子どもが難病を抱え苦悩する女性・眞希が主人公。助産師や看護師、障がいを持つ子の母親との出会いや、家族・友人の支えの中で、眞希と夫が我が子と向き合っていく姿を中心に、子どもを持つこと、子どもを産むことへのさまざまな考え方を描いていく群像劇となっています。

 俳優でありプロデュースユニット「野生児童」を主宰し舞台の作・演出をおこなう有田あん監督が、妊娠中に胎児の疾患を調べる出生前診断(しゅっせいぜんしんだん)を受けた友人の経験談に着想を得て「正しく知る」ことをテーマに作品制作をスタート。
 助産師や産婦人科医、実際に出生前診断を受けた方や受けなかった方、障がいを持つ子どもを持つ家族への取材を重ね、実話をベースにした脚本を作り上げました。
 そして自ら主演もつとめて初の長編監督に挑み、シリアスな題材を扱いつつも軽妙でリアルな会話と魅力的な人物描写が観客を惹きつけるドラマを完成させました。

 キャストには、有田監督とともに企画立ち上げから携わる女優たちをはじめ、有田監督が信頼する俳優たちが集まっています。
 有田監督が演じる主人公・眞希の夫・良樹を演じるのは日中合作作品『カップケーキ』(2018年/張大尉監督)主演など映画やテレビドラマに出演する山岡竜弘さん。
 助産師の清水香苗役には『シンデレラガール』(2023年/緒方貴臣監督)などの輝有子(きい・ゆうこ)さん。
  眞希の高校時代からの友人グループ役には、母親としては先輩となる里美に主演作『いずれあなたが知る話』(2023年/古澤健監督)で脚本家デビューも果たした小原徳子(こはら・のりこ)さん、結婚せずに女優として活躍する桜に演劇プロデュースユニット・The Vanity'sを主宰する瑞生桜子(みずき・さくらこ)さん、仕事を理由に妊娠を先延ばしにしている美紀役に劇団キャラメルボックス「スロウハイツの神様」など舞台で活躍する小林春世(こばやし・はるよ)さん。
 そしてそれぞれのパートナー役で、里美の夫・博に大山大(おおや
ま・ひろし)さん、美紀の夫で外国人のミッケルに伊藤亜美瑠(いとう・あみる)さん、桜の彼氏・隆で二條正士さんが出演。
 眞希の妹で両親とともに暮らす武田渚を『I AM JAM ピザの惑星危機一髪!』(2022年)で監督もつとめた辻凪子(つじ・なぎこ)さんが演じています。
 さらに、眞希を担当する看護師役で烏森まど(からすもり・まど)さん、廣川千紘(ひろかわ・ちひろ)、伊島青(いじま・せい)さん、夫・良樹の同僚・竜役で松本亮さん、産婦人科医の佐藤兼次役で関幸治さん、遺伝カウンセラー役で内田健介さん、眞希たちが通うカフェの店員役で藤原咲恵さん、眞希の母親・洋子役でみょんふぁさんん、父の健司役でオクイシュージさんと、実力派が集結。
 また、10代で女優デビューしアイドルグループ・SDN48での活動を経て現在は作家として活躍する大木亜希子さんが、眞希と同じく難病の子どもを持つ母親・りか役で出演しています。

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『渇愛の果て、』タイトルロゴ

 有田監督はじめ出演者たちの主導で制作されクラウドファンディングで支援を募るなどして制作された『渇愛の果て、』が、いよいよ5月18日土曜日より東京の新宿K's cinemaほか全国順次公開されることが決定し、ポスターヴィジュアルが解禁されました。
 ポスターヴィジュアルは、上部に部屋の中で想いに耽るような眞希と夫・良樹、下部には4人の仲良しグループの写真が配され、お互いを支え合う登場人物たちの関係を象徴するようなデザイン。

 そして公開決定にあたり、有田監督と、作品の監修をつとめた産婦人科医の洞下由記(ほらげ・ゆき)さん、取材協力の助産師・高杉絵里さんのコメントが発表されました。
 有田監督は「この映画が大切な人と話すきっかけになったり、皆さんの未来の選択肢が増えると幸いです」、洞下医師は「強さも弱さも等身大で描かれているこの映画が、たくさんの方々に届きますように」、高杉助産師は「「知って」「向き合って欲しい」これが私が伝えたかった想いです」と、それぞれ作品への想いを語っています。

監督・脚本・主演(山元眞希役):有田あん監督コメント

ー知らないことが多すぎるー
妊娠中の友人の相談を聞いた時に何度も感じた。
妊娠、出産。当然だが、今生きているのはお母さんが妊娠して出産してくれたから。
ということはどんな考えを持っていても関係ない人なんていない。

しかし、前のめりにならないと知る機会がない。私自身も、「いつか」と思っていた。
「こんな大事なこと、誰か取り上げてくれないかな」
悩みに悩んだ友人が私に言った。それがこの映画の第一歩となった。
妊娠・出産に不安はつきものだがその実態は本人しか分からない。
急に母親父親になり莫大な情報量に悩む。診察室で医師とどんな会話を交わすのか。
そもそも妊娠するまでにも沢山のドラマがある。やむを得ない事情で中絶する方もいる。
自分の両親はどんなことで悩んだのか、いつも見かけるあのご家族はどんな苦難を乗り越えたのか。
そんなことを考えられるきっかけがあったら、少しだけ優しい世界になるんじゃないか。
未来の選択肢が広がるんじゃないか。そう思い、このテーマに向き合うことを決めた。

私はこの映画制作をきっかけに妊活・不妊治療を始めた。
想像していた以上に「孤独」だった。初めての事への不安と情報量の多さにストレスも溜まる。
身体の変化を体感できない男性は、何を言葉にしていいか迷う時もある。
男女共に、周囲に話しづらかったり、理解してもらえないもどかしさも感じるだろう。
時には自分を責めてしまう時もある。
そんな方々に「どんな決断も間違っていない」と伝えたい。

この映画が大切な人と話すきっかけになったり、皆さんの未来の選択肢が増えると幸いです。

監修:洞下由記さん(産婦人科医)コメント

本作の医療監修のお話しをいただいたとき、この簡単ではないテーマをどう描くのかと、過去の患者さん達の顔とともに様々な思いがよぎりました。しかし、有田さんに会って、自分とその周りに起こった実体験を共有したいという想い、知るべきであるという信念を感じ、それは私が医療現場で思っていることと同じでした。

何事も受け入れるということは、簡単ではなく時間もかかります。1人になりたくて、でも1人じゃなくてよかったと思えるまでにも時間がかかります。本作にでてくる人達はみんな、正解のない課題を本気で自分ごととして考えてくれる人達。人のことは誰にもわからないと言いながらも、ほんとうは何かを想像し、その中で自分ができることをやるしかないと、泣いて笑って逃げずにいてくれる。もちろん当事者も、自分の中の正解を探し続けます。

私は産婦人科の臨床医として、今でも正しかったのかどうかわからないことはあり、これでよかったと思える時はいつか必ずくる、とは言い切れません。でも、今、目の前で苦しんでいる患者さんのまわりに、この作品のように寄り添う人たちがいてくれたらと、心から願います。
強さも弱さも等身大で描かれているこの映画が、たくさんの方々に届きますように。

取材協力:高杉絵理さん(助産師サロン)コメント

授かった命を目の前にして、産む・産まないの選択を迫られること、
こんなに難しく、辛い選択はないように思います。
助産師として、こういう現実があることを多くの人に知って欲しいと思いました。
そして、それは苦しいことだけど、誰にでも起こりうる可能性があること、
自分だったらその命とどう向き合うか考えて欲しい。

助産師は人生に寄り添う仕事です。
ひとりひとりに丁寧に寄り添い、
その人が納得できる結論を出すことを
時には1番近くで、そして、距離を保って見守っています。
どの選択にも正解はないと感じています。
私だったらどうするかな、と毎回考えます。
一緒に悩み、泣き。。想いを共有します。
私も助産師である前に1人の女性であり、そして母です。
この映画の主人公のように、悩んだ経験もあります。

産んで良かったのかな。

たくさんの人がいろんな想いを抱えて妊娠・出産し、そして育てています。
「知らない」ということで済ましてほしくない。
「知って」「向き合って欲しい」
これが私が伝えたかった想いです。
そして、出来上がった作品を観た時に、 これまでの私の助産師人生や母としての体験が走馬灯のように巡って
涙が止まらなくなりました。
寄り添ってきたこれまでのたくさんの生命の重さが込められていたからだと思います。
ぜひ、たくさんの人に知って欲しいです。
そして、心で感じて、考えて欲しいです。
ひとつの命と向き合うということを。

 眞希をはじめとする登場人物たちの姿を通して、妊娠・出産に関してのさまざまな考え方や選択肢を提示する『渇愛の果て、』は、5月18日土曜日より新宿K's cinemaで公開される ほか、全国順次公開されます。

『渇愛の果て、』あらすじ

山元眞希は、里美・桜・美紀の4人から成る高校以来の親友グループに、「将来は絶対に子供が欲しい!」と言い続け、“普通の幸せ”を夢見ていた。妊娠が発覚し、夫・良樹と共に順風満帆な妊婦生活を過ごしていた眞希だが、出産予定日が近づいていたある日、体調不良によって緊急入院をする。子供の安否を確認するために出生前診断を受けるが、結果は陰性。胸をなでおろした眞希であったが、いざ出産を迎えると、赤ちゃんは難病を患っていた。

我が子を受け入れる間もなく、次々へと医師から選択を求められ、疲弊していく眞希。唯一、妹の渚にだけ本音を語っていたが、親友には打ち明けられず、良樹と子供のことで悩む日々。

そんな中、親友たちは眞希の出産パーティーを計画するが、それぞれの子供や出産に対する考えがぶつかり…
ポスター

渇愛の果て、

  • 有田あん 山岡竜弘
    輝有子 小原徳子 瑞生桜子 小林春世 大山大 伊藤亜美瑠 二條正士 辻凪子
    烏森まど 廣川千紘 伊島青 内田健介 藤原咲恵
    大木亜希子 松本亮 関幸治 みょんふぁ オクイシュージ

  • 監督・脚本・プロデュース:有田あん
  • 監修医:洞下由記
  • 取材協力:高杉絵理(助産師サロン)
  • 撮影:鈴木雅也/谷口和寛/岡達也
  • 編集:日暮謙
  • 録音:小川直也/喜友名且志/西山秀明
  • 照明:大﨑和/大塚勇人
  • 音楽:多田羅幸宏(ブリキオーケストラ)
  • 歌唱協力:奈緒美フランセス(野生児童)
  • 振付:浅野康之(TOYMEN)
  • ヘアメイク:佐々木弥生
  • 衣装監修:後原利基
  • 助監督:藤原咲恵/深瀬みき/工藤渉
  • 制作:廣川千紘/鈴木こころ/小田長君枝
  • 字幕翻訳:田村麻衣子
  • 配給協力:神原健太朗
  • 宣伝美術・WEB:金子裕美
  • 宣伝ヘアメイク:椙山さと美
  • スチール:松尾祥磨
  • 配給:野生児童

  • 2023年/カラー/アメリカン・ビスタ/ステレオ/97分

2024年5月18日(土)より 新宿K's cinema ほか全国順次公開

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