舞台あいさつをおこなった中野晃太監督、タカノアレイナさん、麗(うらら)さん、大原奈子さん、千葉龍青(ちば・りゅうせい)さん(左より)
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高校生のひと夏の映画づくりを描いた『Retake リテイク』が1月18日に東京の新宿K's cinemaで初日を迎え、人気バンド・チョーキューメイのボーカル&ギターで主演をつとめた麗さんら出演者と中野晃太監督が舞台あいさつをおこないました。
『Retake リテイク』は、高校最後の夏休みに隣のクラスの女子生徒・遊(ゆう)から映画づくりに誘われた男子生徒・景(けい)を中心に、手探りで映画を作る高校生たちの姿をフィクションの境界を越えるような独特の手法で描いた青春映画。PFFアワード2023グランプリなど国内外の映画祭での受賞を経て一般公開を迎えました。
舞台あいさつは初回の上映終了後におこなわれ、小規模な自主映画としてスタートした作品の劇場公開に中野晃太監督は「まさかここまで来られるとは思っていなかったので、映画館で観ていただきたい作品でもありましたので、ここまで来られて感無量でございます」とあいさつ。
同級生や友人を誘って映画づくりを始める主人公・遊を演じた麗さんは「満を持して劇場公開ということで、ほんとに観に来てくださってありがとうございます」と客席に感謝を伝えました。
中野監督は映像制作ワークショップの講師として高校生などの指導にあたっており、麗さんは高校時代に中野監督のワークショップを受講した経験が。
中野監督は、麗さんがワークショップの修了制作に取り組む様子に「映画づくりに対して本気の向き合いというか、アグレッシブな感じに作っていて、自分もやらなきゃと触発されたのと、麗たちの映画づくりをしている姿自体が“これは映画だな”というふうに思わされて」監督自身も一時休止していた映画づくりをまた始めようと思い立ち生まれたのが『Retake リテイク』の企画だったと作品制作の経緯を説明。
麗さんは、中野監督から『Retake リテイク』の企画を持ちかけられて脚本を読んだときの印象について、遊が夏休みの学校に忍び込むシーンを挙げ「なんか、自分のリアルでやりそうでやんないじゃないですか(笑)。逆に映画で学校に忍び込むというのを自分がやるんだというワクワクがありましたね」と振り返りました。
中野監督は「そのまま出てくれれば遊という人物になるというか、そのまま出てほしいというのがあったので」遊のキャラクターは口調なども含めて麗さんを踏襲して脚本を書いていたそう。麗さんも「基本的には(遊と自分は)ほぼ同じですね(笑)」と笑いつつ、脚本で遊が泣くと書かれていた部分は「自分、そこ泣かないというか、逆に強く出てしまうかもしれないなって」と思い、現場で「泣けないです」と意見を出して変更となったことを明かしました。
景の友人・二郎を演じた千葉龍青さんは、麗さんが話した「泣けないです」の話を例に「中野さんは、できないことはやらないでいいよっていうスタンスを取ろうとしてくれるので、そんな感じで進んでいました」と撮影現場の様子を紹介。
麗さんのワークショップ作品にも参加し『Retake リテイク』では遊の友人・アリサを演じたタカノアレイナさんは「(監督が「こうしたい」と言うと)私たち(キャスト)4人で中野に対して“その根拠はなんなんですか?”とか“どうしてそうしたらいいと思うんですか?”とか、野次が始まってしまって(笑)」と監督を「中野」と呼ぶコメントで監督との距離の近さを感じさせ、遊の後輩・海役の大原奈子さんは「キャストから意見がいっぱい言えたからこそ、こういう雰囲気の映画ができたんじゃね? って思ってます」と印象を語りました。
また、劇中歌・エンディング主題歌として使われているのは、麗さんが高校時代に作った曲「また、夏になる」のチョーキューメイでのバージョン。『Retake リテイク』の企画がスタートしてから麗さんが中野監督に「この曲はテーマとして合っているかどうか」と提出して映画での使用が決まったそうで、中野監督は「何回もリフレインするような構成や歌詞の内容も含めて、まさにこの映画のためにあったかのような曲だなと思って」と話しました。
トーク中の中野晃太監督、タカノアレイナさん、麗さん、大原奈子さん、千葉龍青さん(左より)
完成した『Retake リテイク』を観て「漠然と、映画、自分もまた作りたいなというのは思いましたね」という麗さんは、舞台あいさつの最後に「この映画を観て、自分がどう思ったかを大切にしてほしいなと思いました」とメッセージ。
中野監督は「コアな映画ファンの方から映画はときどき観るよくらいな方まで観ていただきたいし、観ていただけるように作ったものです。劇中に出てくるような、いままさに青春時代を送っていらっしゃる方も、映画づくりに限らずかつて人と一緒にものづくりをした人だったりに、なにか響くものがあればいいなというところもありますし、もちろんチョーキューメイのファンの方にもどしどしご覧いただきたいなと思いますので、みなさんご感想など拡散いただけましたらと思います」と呼びかけて舞台あいさつを締めくくりました。
高校生たちの青春映画であると同時に「映画」そのものについての映画でもある『Retake リテイク』は、舞台あいさつ登壇者のほか、武藤優汰さんらが出演。1月18日土曜日より東京の新宿K's cinemaで2週間上映されるほか全国順次公開され、K's cinemaでは公開期間中にゲストを招いてのトークイベントもおこなわれます。