舞台あいさつをおこなった監督・キャスト。前列左より、高鶴桃羽(たかつる・ももは)さん、葵うたのさん、木場明義(こば・あきよし)監督。後列左より(司会の須賀由美子さん)、アレスさん、嶋村太一さん、重岡サトルさん、遠山景織子さん、木ノ本嶺浩さん、鹿目凛(かなめ・りん)さん
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葵うたのさんが主演をつとめる“不意打ちタイムスリップストーリー”『タイムマシンガール』が1月25日に東京の池袋シネマ・ロサで初日を迎え、葵さんと共演の高鶴桃羽さんら出演者と木場明義監督が舞台あいさつをおこないました。
『サイキッカーZ』(2021年)『エスパーX探偵社~さよならのさがしもの~』(2023年)など、SF・ファンタジーの要素を取り入れたコメディタッチの作品で人気の木場明義監督最新作となる『タイムマシンガール』は、プロレスとソロ活が大好きなOL・星野可子が主人公。ビックリするとタイムスリップする体質になってしまった可子と、可子の秘密を知った後輩・山本千鶴が、タイムスリップに戸惑いつつも次第に絆を深めていく様子や、やがてふたりが知る事実などが、コミカルな描写も混じえながら描かれていきます。
可子を演じた葵うたのさんは、満席の客席を前に「ビビっております(笑)」と笑顔を見せ「埋め尽くされた劇場をこちら(舞台上)で見るのが初めてなので、感無量です」と、初日を迎えた心境を述べ「脚本がすごく面白くて、新しい設定なんですよね。ビックリすると本人と驚かせた相手だけが時間を戻るとか、42分だけ戻るとか、緻密に新しい設定があって魅力ですし、あとは個性豊かなみなさんのキャラクターですよね。監督のあのホンを現場で具現化して見られたので、感動していました」と、作品の魅力を語りました。
印象に残っているシーンを質問されると、葵さんは「すべてが印象的ではあるんですけど、生で競輪場を見られたりとか(笑)」と、可子と千鶴がギャンブルに挑戦するシーンを回答。さらに「お寿司のシーンは、ある大物の方が出られていて、まさかだったので」と、木場監督作品には前作に続いての出演となる、とある有名映画監督が出演している寿司店のシーンを挙げました。
可子の後輩で行動をともにするようになる山本千鶴を演じた高鶴桃羽さんは、同じ質問に「可子さんと一緒にタッグを組んでがんばるという撮影が全部楽しかったので、一番は選べないんですけど」と前置きした上で「お寿司。ほんとに美味しかったんですよ」と、実際にお寿司が食べられたという理由でやはり寿司店のシーンを。「できればずっと続いてくれないかなと思いながら(笑)」と話す高鶴さんに葵さんも「美味しかったよね」と頷き、劇中同様に仲の良さを感じさせました。
発明家・井手泰人を演じた木ノ本嶺浩さん
カウンセラーの藤浪多美を演じた鹿目凛さん
駿河満寿美を演じた遠山景織子さん
木ノ本嶺浩さんが演じた発明家の井手泰人は、予告編の映像にもあるように実験の影響でふたりに増えてしまうという設定で、木ノ本さんは実はもうひとりの井手泰人を木場明義監督自身が演じているところもあると紹介。そして印象に残ったシーンとして、井手が可子と千鶴にタイムスリップについてマシンガントークで説明するシーンを挙げ「ふたりが、どんどん目が点になっていくのがちょっと楽しくなってきちゃって(笑)」と回想。葵さんと高鶴さんも「楽しかったです、すっごい」「すごくいいですよね」と話し、木ノ本さんは「監督もすごくニコニコして、楽しく撮影してましたよね」と、現場の雰囲気を感じさせました。
映画の内容にちなんで「もし過去に戻るなら?」という質問がされると、先日までアイドルグループ・でんぱ組.incで活動し、でんぱ組.inc以前にもアイドル経験のあるカウンセラー・藤浪多美役の鹿目凛さんは「アイドルなりはじめのときのハプニングなんですけど、特典会でファンの方と一対一でお喋りしていたときに、私、鼻がちょっと詰まってきちゃって“あ、ヤバい”って思って“もうすぐ終わる”って思った瞬間に、大きな鼻ちょうちんが出てしまったんですよ(笑)」という失敗談で客席の笑いを誘い「あのころに戻ったら、すぐさまに鼻をかみたいと思います(笑)」。
ちょっと風変わりな女性・駿河満寿美を演じた遠山景織子さんは同じ質問に「私は『高校教師』(1993年/吉田健監督)という映画でオーディションに受かって、それがデビュー作なんですけど、戻りたいと思ったらそこですかね。いま31年目なんですけど、これだけ経験させていただいて成長した自分と、スタートに立った自分に会ってみたい」と答え、その深みのある答えに葵さんたち登壇者は感心の表情で、木ノ本さんから「夢ありますね」の言葉も出ました。
可子と千鶴の先輩・岸佑樹役の重岡サトルさん
可子たちの上司・伊藤真人役の嶋村太一さん
マジックバーのマスターを演じたアレスさん
可子がプロレス好きという設定のため、劇中ではプロレス会場での試合シーンもあるほか「惡斗」のリングネームで活躍する女子プロレスラーで女優の安川結花さんも出演。
可子と千鶴の先輩・岸佑樹役の重岡サトルさんは、惡斗さん演じる覆面レスラーに技をかけられるシーンがあり、本番前にテストで技をかけてもらったところ「けっこう痛いなと思っていたら、惡斗さんに“本番はこれの倍くらいで行くからね”って言われて、俺、結構ヤバいかもしれない」と思ったと裏話を披露。本番は「とんでもなく痛かったです」とのことで、重岡さんは技をかけられている岸のリアクションは「素のアレです」と振り返りました。
可子と千鶴たちの上司・伊藤真人を演じた嶋村太一さんは「(可子と千鶴の)おふたりがとっても可愛いなと思いながら見させていただきました」と作品の感想を。
可子と千鶴が訪れるマジックバーのマスターを演じたアレスさんは本物のマジシャンで、木場監督がもともと脚本にマジシャンを登場させていたところ「ちょうどいいタイミングでアレスさんと出会ってという不思議なご縁で」(木場監督談)で出演が決まったそう。しかし劇中ではマジックを披露していないため、アレスさんは「あいつはたぶん偽物だろうと思われているかもしれないので(笑)」と、膨らませた風船が割れるとお酒の瓶が現れるというマジックで舞台で披露し、場内を沸かせました。
風船を割るアレスさんのマジックに登壇者のみなさんもビックリ……ですが幸いタイムスリップはしませんでした。左より、アレスさん、嶋村太一さん、重岡サトルさん、高鶴桃羽さん、葵うたのさん、遠山景織子さん、鹿目凛さん、木ノ本嶺浩さん、木場明義監督
木場明義監督は「今回なにより誇れるのはキャスティングなんですよ。完璧に素晴らしくないですか? キャラもぴったりだし」と自信を見せ、客席からの大きな拍手に「今後も『タイムマシンガール』がっつりがんばっていきますので、みなさまも応援のほど、よろしくお願いします」と呼びかけました。
そして葵さんは「いろいろなことがありますけど、映画館でこの作品を観て、楽しく、ほっこり、あたたかい気持ちになっていただけたら幸いです」とメッセージを述べると「こんな(客席が埋め尽くされる)贅沢なこともないので」と「私が“タイムスリップ”って言うので、みなさんで“マジしんどーい!”って言ってもらえますか?」と、劇中の可子のセリフにちなんだコール&レスポンスをリクエスト。舞台あいさつはそのリクエストに応えた「タイムスリップ」「マジしんどーい!」の大合唱で締めくくられました。
葵うたのさんのリクエストで会場全員で「タイムスリップ」「マジしんどーい!」
舞台あいさつ登壇者のほか、落語家の立川志の太郎さん、プロレスラー・女優の安川結花/惡斗さんらが出演、女子プロレス団体・アクトレスガールズの協力による迫力の試合シーンも注目の『タイムマシンガール』は、1月25日土曜日より東京の池袋シネマ・ロサ、2月7日金曜日より栃木の宇都宮ヒカリ座で公開されるほか、全国順次公開。シネマ・ロサでは公開期間中に監督と出演者による舞台あいさつがおこなわれます。