舞台あいさつをおこなった柳裕章監督、東茉凜(あずま・まりん)さん、村田雄浩さん(左より)
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京都を舞台に家族の絆を描き、世界各地の国際映画祭で13冠に輝いた『事実無根』(5月10日公開)の試写会が5月1日に東京の一ツ橋ホールで開催され、出演者の村田雄浩さんと東茉凜さん、柳裕章監督が舞台あいさつをおこないました。
『事実無根』は、助監督として多くの作品に参加してきた柳裕章監督の長編監督デビュー作。京都の小さなカフェを舞台に、近藤芳正さんが演じるカフェの店主・星孝史と、カフェの新人アルバイトの大林沙耶、沙耶の元・父親でホームレスの大林明彦の3人を中心に、「嘘」に振り回される人々の人生のやり直しと家族の絆の物語が、ユーモアも交えながらあたたかに描かれていきます。
舞台あいさつは上映終了後におこなわれ、観客のみなさんと一緒に作品を鑑賞したという大林明彦役の村田雄浩さんは「自分で出ていてなんだけど、ちょっとグッと来て、ウルウルっとしちゃって」と映画の感想を述べ「監督の想いがいっぱい詰まった映画なので、どんどん広めていただければいいなと思っています」とあいさつ。
大林沙耶を演じた東茉凜さんは「普段の(東さん自身の)父のことも思ったりしながら演じた部分もあったりして、家族を大切にしようと思いましたし、この映画でたくさん成長できた部分があったなあと思います」と、撮影を振り返りました。
オーディションで沙耶役に抜擢された東さんは、長編映画のヒロインを演じるのは初めて。父親役で共演シーンの多かった村田さんは東さんについて「最初のホン読みのときに、隣の隣の席にいるのになにを言っているのか聞こえないくらい声がちっちゃくて、大丈夫かなって。でも、最後には気持ちがバーンと届いてくるくらい成長していて」と話し、映画が「東茉凜さんという人の、成長のひとつのストーリーみたいなところも」あるとコメント。
東さんは、村田さんや主演の近藤芳正さんとの共演で「お芝居になったときにカチってスイッチが入って、全然違う人になる瞬間を間近で何度も見られたのが、すごく貴重な経験ができたなと思っています」と話し、柳監督も「ぼくもそうですよね。一緒に作品を作らせてもらうというのは私たちにとってすごく幸せな時間だったと思っております。胸を借りるというかたちで、いろいろ引き出していただいたと感じております」と、経験豊富な村田さんや近藤さんと作品を作っての感想を述べました。
この監督の言葉を受けて村田さんは「(監督や東さんの)新鮮さって、こっちにはものすごく刺激になって。近藤さんにしろ私にしろ、長くやっているから、だんだん垢がついてきていて、そういうのをどんどんブッ壊してくれる」と、東さんや柳監督が村田さんや近藤さんから引き出したものもたくさんあったと話し「そのキャッチボールは、もう経験があるとか経験が浅いとかは関係ないですよね、カメラの前に立っちゃうと」と、互いに刺激を与えあう現場であったことを感じさせました。
また東さんは、主演の近藤芳正さんが東さんと距離を縮めようと撮影中に毎回ランチに誘ってくれたというエピソードを紹介。「誘ってくださるんですけど、あんまり喋ってはくださらなくて(笑)」という裏話も披露しつつ、そこで近藤さんの優しさや気配りを感じたことが「お芝居にもつながったと思います」と話しました。
客席に向かって作品の応援を呼びかける村田雄浩さん(右)に、東茉凜さん(中央)と柳裕章監督も笑顔
舞台あいさつの終盤にメッセージを求められると、東さんは「普段は関西で女優として活動させていただいているんですけど、これから東京でももっと活動していきたいなと思っておりますので、みなさまに素敵な作品をお見せできるようがんばりたいなと思っております」と抱負を。
緊張を覗かせながらコメントする東さんの姿に「娘を見てるみたいな感じになりますよね」と笑顔を見せた村田さんは「作品自体が自分の子どもみたいなものですから」と続け「この作品は、本当に可愛い作品で、本当に広がってほしいなと思っているので、みなさん、いろいろな人に広げていってください」と、応援を呼びかけました。
最後に柳監督は「この映画は家族の映画なので、もし、いい映画だと思っていただけたら、まずご家族の方に勧めていただければと思います。ご家族で一緒に楽しんでいただければ一番嬉しいなと、作った甲斐があったなと思います。本日はありがとうございました」と舞台あいさつを締めくくり、客席からは大きな拍手が贈られました。
イタリア、フランス、インドなど、世界各地の国際映画祭で合計13の賞を獲得、今年2月には舞台である京都で先行公開され満席続出の盛況を記録し、満を持して全国公開を迎える『事実無根』は、5月10日土曜日より東京の新宿K's cinema、5月23日金曜日より神奈川の横浜シネマ・ジャック&ベティと東京のシモキタ - エキマエ - シネマ『K2』、ほか大阪、名古屋、神戸など全国順次公開。
新宿K's cinemaでは、公開初日の5月10日に近藤芳正さんと東茉凜さん、柳裕章監督の舞台あいさつがおこなわれるのをはじめ、連日キャストと監督による舞台あいさつが予定されています。