会見に出席した平良良樹さん、川岸宜弘さん、伊藤亜和さん、田丸大輔さん、石田忍道(いしだ・しのみち)監督、田中祐理子さん、小松遼太さん、斎藤千晃さん(左より)
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2024年のTAMA NEW WAVEでグランプリを含む2冠を獲得した『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』(10月4日公開)のプレス向け試写会が7月4日に都内で開催され、主演の田丸大輔さんと共演の田中祐理子さんら出演者と石田忍道監督が会見をおこないました。
石田忍道監督の初劇場公開作となる『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』は、町の小さな中華料理屋の店主・牧原と、前の店主の長子で仕事をせず物語執筆にいそしむ美和をはじめとする木下家の人々の、少しずつ変わっていく日常を描いたヒューマンドラマ。昨年開催の第25回TAMA NEW WAVEでグランプリに輝くとともに主演の田丸大輔さんがベスト男優賞を受賞し、ダブル受賞を果たしました。
牧原を演じた田丸大輔さんはPFFアワード2023に入選した石田監督の初長編『リバーシブル/リバーシブル』(2023年)でも主演をつとめており、過去の短編も含めると石田監督作品への出演は3作目。
石田監督は、田丸さん主演の企画として『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』がスタートしたと話し、田丸さんについて「すごく普遍的なキャラクターでありながら、どこかコミカルさとか、ネガティブな感情とかも包み込むような、その辺がすごく洗練されていて、今回もすごく素敵だったなと思います」と印象を語りました。
中華料理店店主という役柄から料理するシーンも多かった田丸さんは「料理はほとんどしないので、この映画のために練習しました。2ヶ月弱くらい毎日キャベツの千切りをしていて、多少は料理ができるようになったので、いま助かっているところがあります」とコメント。どこか飄々とした印象を与える演技については「監督の書いた脚本が、その通りにやればああいうふうになる感じのホンだったので、特になにもする必要はありませんでした」と、どこか飄々と振り返りました。
木下家の三子・木下竜矢を演じた小松遼太さんは「感じたことのないカタルシスを感じる映画だったので、みなさんも同じように感じていただいていたら嬉しいなと思います」、牧原が通う帽子店の店員・関波瑠夏(せき・はるか)役の伊藤亜和さんは「私は(撮影に)参加しなかったシーンが多いので、拝見して新しい発見ができました。楽しく観させていただきました」、牧原に声をかける男・佐伯典明を演じた川岸宜弘さんは「ぼくもいろいろな発見がありました。やっぱり映画館で映画を観るほうが発見があって、また観たくなる映画なので、みなさんにも映画館で上映される際にはまた観ていただけたら嬉しいです」と、それぞれ試写で作品を鑑賞しての感想を述べました。
また『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』は日本手話のシーンがあるのに加え全編日本語字幕付きとなっており、石田監督は、牧原の店を訪れる客・古賀聡美役でろう者の俳優・レオさんが出演しているため「最初はその方が楽しめるようにという思いで」字幕を付けていたのが、それを越えてひとつの演出としての機能も字幕に持たせていると意図を明かし「普段、字幕がないとなかなか邦画が観られない方にも足を運んでいただけるかなと思っています」と話しました。
会見では質疑応答の時間も設けられました。
田丸さんは、牧原がアイスクリームを作るシーンで歌う「丘を越えて」の替え歌のアイスの作り方の歌について質問され「歌詞は(脚本に)なくて“丘を越えて 行こうよ”という歌詞は言ってくれとだけ言われて、あとは適当にやってくれということで、本番になって、勝手に出てくる感じでやっていました」と、印象に残るユーモラスなシーンの裏側を明かしました。
石田監督は作品の発想のきっかけを質問され、よく行っていた定食屋の店主がひとりで店を切り盛りする姿と、監督自身が興味を持ち取材していた引きこもりの問題とをリンクさせて作品のアイディアが生まれたと説明。さらにラストシーンについて、脚本では中盤に書かれたシーンが「撮影していたときに、これはラストシーンだなと思ったので、順番を入れ替えて」現在のラストシーンになっていると話しました。
どこでもあるようでどこでもないような町を舞台に登場人物たちの日々が描かれ、石田監督自身が「間口の広い映画」だと語る『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』は、10月4日土曜日より、東京・渋谷のユーロスペースでロードショーされます。