舞台あいさつをおこなった前塚彩結(まえづか・あゆ)さん、髙橋雄祐さん、井上遥(いのうえ・はる)さん、峰平朔良(みねひら・さくら)さん、すみぽんこと高倉菫さん、桜望華奈(おうみ・かな)さん、笹生翔也(さそう・しょうや)さん(左より)。高倉さんの持ったスマートフォンの画面には長谷川朋史(はせがわ・ともふみ)監督も。
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架空の小説を題材とした短編オムニバス『架空書影。』が7月26日に東京の池袋シネマ・ロサで初日を迎え、主演の峰平朔良さんらキャストと長谷川朋史監督が舞台あいさつをおこないました。
『架空書影。』は、高校の図書室が主な舞台となる第一話『書架の物語』と、人気作家のゴーストライターが主人公の第二話『埋めてくる』の、架空の小説を巡る二編の不思議な物語で構成されたオムニバス形式の作品。第一話・第二話ともに峰平朔良さんが主演をつとめています。
第一話では本好きの高校生・千住紬(せんじゅ・つむぎ)、第二話では人気作家のゴーストライター・戌井マリを演じた峰平朔良さんは「こんなにお客様が来てくれて、ほんとに嬉しいです。シネマ・ロサの舞台に立てて、大変光栄に思います」とあいさつ。キャラクターの違ったふたりの主人公を演じたことについて、撮影の時点では第一話と第二話がひとつの作品として上映されると知らされていなかったと明かし「役としては、ひとつずつ切り離して素直にお芝居をしていたので、それが伝わればなと思っています」と話しました。
長谷川朋史監督は新型コロナウイルス感染のため来場はできませんでしたがスマートフォンのビデオ通話で舞台あいさつに参加し「直接お会いできないのは残念ですが、ぜひ楽しんでください」とあいさつしました。
今回の舞台あいさつでは第一話と第二話それぞれにちなんだ出演者への質問が用意されており、第一話『書架の物語』出演者への質問は、高校が舞台であることにちなんで「学生時代の思い出」。
生徒会長の継原健一郎を演じた井上遥さんは「小中高とずっと野球をやってきたので、そこに力を注いで、恋愛もせず……ここ、笑うところです(笑)」と、野球に打ち込んだのが青春だったと回答。
「すみぽん」の愛称でSNSで多くのフォロワーを持ち『書架の物語』では生徒会執行部の浅香睦月を演じた高倉菫さんは、小中高とバスケ部で「ひとつの目標に向かってみんなで勝ち上がっていこうという、ひとつの青春があったので」と話し、当時は髪が短く「男の子みたいな感じだったんですよ」とちょっと意外な告白も。
図書室の司書・早川美晴を演じた桜望華奈さんは、高校時代に「彼に家までチャリで迎えに来てもらって2ケツで学校に行ったり」と、少女マンガのシチュエーションを真似たような高校生活を送っていたと話し「恋愛体質だったかもしれない(笑)」と笑顔。
ラクロス部部長の谷瀬真希を演じた前塚彩結さんは「高校の文化祭で2年3年と連続でバンドをやったんですけど、注目を浴びるのってこんな気持ちいいんだって思いながら(笑)」とバンド活動を振り返りました。
第二話『埋めてくる』出演者への質問は、タイトルにちなんで「埋めてしまいたい過去の失敗」。
物語のキーとなる人物・山田遊助を演じた髙橋雄祐さんは、舞台あいさつ当日に劇場近くの駅前で同じく『埋めてくる』出演者の笹生翔也さんを見かけて声をかけたところ「全っ然別人で、ヤバって思って“すみません、人違いです!”って、恥ずかしかったです」という体験したての失敗エピソードを紹介。
出版社編集者の前川秀太を演じ作品のプロデューサーもつとめた笹生翔也さんは、髙橋さんに名前を出されたのを受けてか、自分の失敗談ではなく「現場であった面白エピソード」として、撮影用に現場に掘った穴を見学に行った髙橋さんが戻ってこないため探しに行ったところ「穴を見たら、髙橋さん穴に落ちちゃってて。俺を見て“笹生くん、助けて”って」と暴露。当の髙橋さんは「それはマジで言うなよー(笑)」と叫び「恥ずかしい。穴があったら入りたい」と、きれいに落ちを付けました。
舞台あいさつ終盤では、峰平さんが「ありがとうの言葉を伝えたくて」と長谷川監督にメッセージを贈りました。
初めて会ったときに長谷川監督が映画監督だと知らず「“朔良さんを絶対にぼくの映画に出すからね”っていきなり言われて、そのとき“このおじさんなに言ってるんだろう?”って思って」という、当時の率直な気持ちの回想で場内の笑いを誘いつつ、俳優生活ではオーディションの結果によって自分が必要とされていないのかと思うことも多い中で「長谷川さんが“峰平さんで”って言ってくれたことが、すっごく嬉しくて」と、指名で主演に起用された喜びを語り「こうやって『書架の物語』と『埋めてくる』がふたつ繋がって、その作品をロサまで連れてきてくれるとは思ってなくて、2年間を通して長谷川さんといい絆を築けたなと思っていて、長谷川さん、本当にありがとうございます!」と、長谷川監督に感謝。
そして「私を愛してくれた監督なので、私も愛をもって、この映画の主演としてがんばっていこうと思います」と、主演作公開を迎えての心境を述べました。
峰平さんのメッセージを受けて長谷川監督は「峰平さんを初めて見たときに、なんで無名なの!? って思って“次の映画に絶対出てもらうんでお願いします”って言って、それが実現してほんとによかったなと思っています。出ている役者さんたち、これから絶対にメジャーになっていく人たちなんで、ぜひ応援お願いします」と、峰平さんをはじめとするキャストへの応援を呼びかけました。
※長谷川監督は峰平さんが出演した映画『対話する世界』(田口敬太監督)に俳優として出演しており、ふたりが初めて会ったのは2022年におこなわれた同作品の舞台あいさつ
「長谷川さん、泣きそうです!(笑)」と、ときおり涙をこらえながらビデオ通話を介して長谷川朋史監督に感謝を伝える峰平朔良さん
長谷川監督とともに宣伝活動もおこなってきた峰平さんは「がんばってよかったなって、いまここに立って思っています。楽しい時間を共有できて、私はとっても幸せでした。ありがとうございます」と客席にメッセージを。
長谷川監督は「こんなにたくさんのお客様に来ていただいて、ほんとにありがとうございます。自分の作品って、世に出すまでとっても不安で、世に出しても不安で、面白いって言ってもらっても不安で、なので、この作品を愛していただけるように、この役者さんたちとともにこれからがんばっていきます」と話し「ぜひSNSとかで、なんでもいいので呟いていただけたら私たちの励みになるので、よろしくお願いします」と呼びかけて舞台あいさつを締めくくりました。
SFタッチな学園ジュヴナイルの第一話『書架の物語』と、限られた登場人物たちで緊張感を漂わせながら進行する第二話『埋めてくる』の、タイプの異なった二話で「本の持つ力」とそれが生み出すものを描いていく『架空書影。』は、舞台あいさつ登壇者のほか、第一話に森田雅之さん、第二話に新門岳大さん、竹田百花さん、田中心太さんらが出演。7月26日土曜日より8月8日金曜日まで、東京の池袋シネマ・ロサでレイトショー公開されています。