田辺洸成監督の初長編作でPFFアワード2024に入選し注目を集めた『さようならイカロス』が、5月24日・25日に東京の渋谷ユーロスペースで2日間限定公開されることが発表され、ポスターヴィジュアルと予告編が解禁されました。また、主演の大田健さんと田辺監督のコメントと作品への応援コメントが発表されています。
『さようならイカロス』は、無気力に生きる青年・ケンの人生がひとりの女性の出会いとともに変化していき、彼らを取り巻く人々の人生もまた大きく動いていく群像劇。
撮影時にはまだ20歳だった田辺洸成(たなべ・こうせい)監督が、映像制作や演技未経験の友人たちとともに作り上げた初長編監督作ながら、2024年に開催された第46回ぴあフィルムフェスティバル・PFFアワード2024年に入選を果たしました。
その荒削りなエネルギーが往年の自主制作映画を彷彿させ、PFFアワードでは「監督の心の叫びが全編にこだまし、目を背けたくなる現実を否応なしに叩きつける問題作。」と紹介された『さようならイカロス』が、2日間限定で劇場公開決定。
公開を前に解禁されたポスターヴィジュアルは、主人公・ケンの上着の色とリンクするような赤い文字で描かれたタイトルが印象的なデザイン。フライヤー裏面も、やはり赤が効果的に使われたデザインとなっています。
「そんな生活してたら、毎日刺激なくてかわいそうかも」というセリフで幕を開ける予告編は、繰り広げられる映像と音が緊張感をもたらし、約1分半という短い時間の中で「神も仏も知ったこっちゃない世界へ――」というコピーが象徴する作品の世界が表現されています。
そして、劇場公開決定にあたり、ケンを演じた大田健さん、自ら出演もしている田辺洸成監督がコメントを発表し、PFFディレクターの荒木啓子さんと文筆家の折田侑駿(おりた・ゆうしゅん)さんが応援コメントを寄せています。
監督・脚本・出演:田辺洸成監督コメント
今はもう撮れない、そんな映画になった。気持ちを入れ替えて撮影に挑むということも特にない、友人との遊びの延長。そこには、最もリアルな、生の実感というものが存在した。当時二十歳になったばかりだった私は、ティーンエイジャー特有の感情の機微をどうしたら完璧に映し出せるのか、その問いと向き合い続け、自らと対話を繰り返していた。大人になるということは、そんな時間と、そこに付随する傲慢さに別れを告げるということなのではないだろうか。
主演・制作:大田健さんコメント
このメンバーで、あの時、あの場所でしか撮れない映画を撮れたと思う。撮影現場に持ち込んだのは1台のカメラと1本のマイクだけ。カメラの前で記録された俳優は、演技というよりも、等身大の姿であった。「自分たちを見てくれ」という意思が自分を含めチームの共通意識にあった。このチームの情熱によって、観る人に映像の質やモンタージュなどを吟味させる余裕が無いほどの作品になった。是非、劇場に足を運んでいただきたい。
PFFディレクター:荒木啓子さん応援コメント
「映画」が好きすぎて8ミリフィルムで無茶苦茶に「映画」をつくっていた時代、
PFFが始まった70年代や80年代の、がむしゃらな熱気と映画への希求が詰まった、
あのころ(←未体験ですけど)を思い起こす『さようならイカロス』
ケンの赤い上着が、これからのジャンル映画の担い手を期待させた。
文筆家:折田侑駿さん応援コメント
これはいつの時代に撮られた映画なんだ!──と、スクリーンを見上げる誰もが思うに違いない。そして客席の明かりが灯るとき、紛れもなく“いまこの瞬間”を撃ち抜いた映画なのだと確信することになるだろう。ピュアで無軌道な若者たちの魂の叫びが銃声とともに轟くとき、私の頭にはある一節の言葉がよぎった。あなたのもとに去来する言葉は、いったい何だろうか。
若き監督とスタッフ・キャストたちがスクリーンに焼き付けた「リアル」が同世代の若者たちやかつて若者だったすべての人にカタルシスをもたらす『さようならイカロス』は、5月24日土曜日と25日日曜日の両日、東京・渋谷のユーロスペースで2日間限定上映されます。