15年ぶりの映画出演となる菊川怜さんが主演をつとめ篠原哲雄監督がメガホンをとる『種まく旅人~醪(もろみ)のささやき~』が10月公開されることが発表され、菊川さんと篠原監督のコメントが公開されました。
『種まく旅人~醪のささやき~』は、日本各地を舞台に農業や水産業に携わる人々の織りなすドラマを描き、これまで4作品が製作されてきた「種まく旅人」シリーズの最新作。
同シリーズは、故・塩屋俊監督の「映画を通して第一次産業の素晴らしさや豊かさを伝えていきたい」という想いからスタートし、塩屋監督の故郷である大分県臼杵市を舞台にお茶の有機栽培を営む農家を描いた『種まく旅人~みのりの茶~』(2011年/塩屋俊監督)が2012年に公開されて以降、兵庫県淡路島を舞台にタマネギ農家と海苔養殖業者を描き農水産業を扱った『種まく旅人~くにうみの郷~』(2015年/篠原哲雄監督)、岡山県赤磐市で桃の新種栽培を描いた『種まく旅人~夢のつぎ木~』(2016年/佐々部清監督)、石川県金沢市を舞台にレンコン農家の後継者問題を扱った『種まく旅人~華蓮(ハス)のかがやき~』(2020年/井上昌典監督)と、舞台となる土地や登場人物を変えながら、人々の暮らしの根幹となる「食」を支える第一次産業の現状を描いてきました。
5年ぶりのシリーズ5作目『種まく旅人~醪のささやき~』は、第2作『種まく旅人~くにうみの郷~』に続いて再び兵庫県淡路島を舞台に、島で作られる日本酒と兵庫県を主な産地とする酒米・山田錦に焦点を当てたストーリー。
視察のために島を訪れた日本酒を愛する農林水産省官僚・神崎理恵を主人公に、後継者問題を抱える老舗酒蔵の息子や高い志を持つ若き女性蔵人たちの姿を通して、日本酒づくりや酒米栽培に携わる人々のものづくりの精神や、その現場で起きている問題や葛藤などがリアルに描かれていきます。
『種まく旅人~醪のささやき~』より。菊川怜さんが演じる主人公の農林水産省官僚・神崎理恵
主人公の神崎理恵を演じるのは菊川怜さん。大学在学中に芸能界デビューを果たしタレント・女優として活躍、一時期活動を縮小しつつも2024年に8年ぶりのドラマ出演で本格的活動を再開させた菊川さんが『大奥』(2010年/金子文紀監督)以来15年ぶりの映画出演で主演をつとめます。シリーズ過去作では陣内孝則さん、栗山千明さん、斎藤工さんが演じてきた農水省官僚を、菊川さんがどう演じているのか、新たな主人公像に期待です。
そしてメガホンをとるのは『月とキャベツ』(1996年)や『花戦さ』(2018年)など、ジャンルを越えて多くの作品を手がける篠原哲雄監督。『種まく旅人~くにうみの郷~』以来2回目となる「種まく旅人」シリーズ登板となり、前回と同じ淡路島を舞台に、人々の姿を丹念に描いていきます。
公開決定にあたり、菊川さん、篠原監督は次のようにコメントを発表しています。
主演(神崎理恵役):菊川怜さんコメント
今回15年ぶりに映画出演させていただくことになり、しかも大好きな日本酒がテーマという事で、ドキドキワクワクでした。
私が演じる神崎理恵という役は、日本酒をこよなく愛する農林水産省の官僚で、視察のために訪れた老舗酒蔵で、現代の酒づくりが直面する現実に向き合います。そして、酒蔵の人達と交流する中で、その熱い思いに触れ、次第に心を通わせ、ともに困難を打開しようとします。
撮影は本物の酒蔵で行われ、実際の作業工程なども見ることが出来、とても興味深かったです。
そして、舞台である淡路島の自然や食べ物などにどっぷり浸かっての撮影はとても楽しかったです。
私自身も大好きな日本酒づくりをテーマに伝統産業の魅力と関わる人たちの想いや現状そして、舞台となる淡路島の魅力をこの作品をとおして、皆さんにお伝えできればと思っています。ぜひ楽しみにしてください!
篠原哲雄監督コメント
私にとって、この「種まく旅人」シリーズは二本目、しかも前回に引き続き二度目の淡路島。大変光栄な気持ちで撮影に挑む事ができ、お世話になった島の方々にまずは感謝したいと思っています。そしてこの度は日本酒の酒造屋を舞台に伝統的な手法を貫こうとする父親と新しい方法を模索する息子との意識の違いが物語の根底に流れる、どんな仕事にも通じる匠な技への拘りとその反面にある歪みの問題を捉えた普遍的なお話と言えます。
酒を仕込むのは本来は冬の時期。そこを避けて臨んだ撮影の時期はまだ夏の名残のある9月だった。お世話になった千年一酒造さんには、あり得ない時期に本当に酒作りしているかのように見せるために、米を洗い、蒸し、麹を蒔いて、やがて醸造されていく過程を懇切丁寧にご指導いただき、粘り強く寄り添っていただいた事でこの映画は完成しました。
麹室(こうじむろ)と呼ばれたその部屋での撮影は38度くらいの温度でないと麹が育たないので、そこは本物に見せるために温度にはこだわって撮影されました。皆必死で撮影に挑んでくれ、そんなスタッフキャストが一丸となって映画作りに励んだ三週間でした。まずは映画を楽しんでいただき、見終わった後に美味しいお酒を飲みながら淡路島への旅を夢見て、主人公の言葉通り「行ってきます、淡路へ!」が実現するならこの映画を作った甲斐があるというものです。
主演の菊川さんのほか、老舗酒蔵の息子役に『パーフェクトプロポーズ Dream Edition』(2024年/宝来忠昭監督)などの金子隼也さん、若き女性蔵人・藤原夏美役に連続テレビ小説「ブギウギ」(2023年)などの清水くるみさん、主人公の前任でやはり日本酒を愛する元・官僚の岡村武役に『福田村事件』(2023年/森達也監督)などの朝井大智さん、さらに山口いづみさん、たかお鷹さん、白石加代子さん、升毅さん、永島敏行さんら、実力派キャストが顔を揃えています。
淡路島を舞台に、人々の営みと葛藤を描き、日本の第一次産業の現状を見つめ、そこに携わる人々の未来を照らしていく『種まく旅人~醪(もろみ)のささやき~』は、10月TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショーされます。