生活保護受給経験を持つ吉田浩太監督が、生活保護を巡るある家族の選択を実話をもとに描く『スノードロップ』が10月10日より東京の新宿武蔵野館で公開されることが決定し、主演の西原亜希さんと助演のイトウハルヒさん、吉田監督がコメントを発表しています。
『愛の病』(2017年)や『Sexual Drive』(2021年)など、人間の営みを独特な視点で描いてきた吉田浩太監督の新作となる『スノードロップ』は、両親と3人で暮らす女性・直子が主人公。母は認知症、家計を支えていた父は持病が悪化という状況の中で生活保護を考えはじめた直子と、担当のケースワーカー・宗村を中心に、一家が下す決断が描かれていきます。
作品が製作されるきっかけとなったのは、ある家族が生活保護受給に対して根本的に矛盾した選択をした、2016年に実際に起きた事件。
かつて大病に倒れ生活保護制度を利用して療養と復帰を果たした経験を持つ吉田監督は、この事件を知り一家の選択への疑問を抱き、その背景を調べる中で生まれた、映画を通してその選択の真意や生活保護を受給することの意味を問うていきたいという想いから、自ら熱望して映画化に挑みました。
キャスト選考にあたっては、純粋に演技力のみで評価する厳正なオーディションをおこない、介護などで困窮し生活保護を申請する主人公・葉波直子には10代からドラマや映画で活躍し今回が映画初主演となる西原亜希さんが、親身になって直子の相談に対応するケースワーカー・宗村幸恵には映画や舞台で注目される若手女優のイトウハルヒさんが、それぞれ起用され、ふたりのたしかな演技により生活保護申請をめぐる緊張感あふれるやり取りが表現されています。
昨年、エジプトで開催された第45回カイロ国際映画祭インターナショナルコンペティション部門、同じく昨年開催の第19回大阪アジアン映画祭コンペディション部門など、国内外の映画祭に選出され話題を集めてきた『スノードロップ』が、ついに劇場公開決定。公開決定にあたり、西原亜希さん、イトウハルヒさん、吉田浩太監督が次のようにコメントを発表しています。
主演(葉波直子役):西原亜希さんコメント
公開まで約3年。幾多の道のりを経て『スノードロップ』の公開が決まったこと、心から嬉しいです。それも、新宿武蔵野館で!
学生時代から通っていた武蔵野館で主演作の上映...長年の想いをまた一つ、『スノードロップ』が叶えてくれました。
本作は生活保護や認知症がテーマとなっていますが、これまで観てきた同テーマの作品とは違う視点から見つめることができるかと思います。
観て下さった方からの感想を聞けることを、楽しみにしています。
『スノードロップ』場面写真。西原亜希さん演じる主人公・葉波直子
『スノードロップ』場面写真。イトウハルヒさん演じる宗村幸恵
『スノードロップ』場面写真。西原亜希さん演じる葉波直子(右)と、イトウハルヒさん演じる宗村幸恵
現在、劇場公開に向けて宣伝費用などを支援するクラウドファンディングが実施中。実施期間は5月29日木曜日までで、リターンには特別試写会招待などが用意されています。
貧困が誰にで身近な問題となっている一方で、生活保護に対する批判や偏見が際立つ現代の世の中に向け送り出される社会派作品『スノードロップ』は、西原亜希さん、イトウハルヒさんのほか、小野塚老さん、みやなおこさん、芦原健介さん、はなさん、芹澤興人さんらが出演。10月10日金曜日より、東京の新宿武蔵野館で公開されます。
『スノードロップ』あらすじ
認知症の母・キヨと同居している葉波直子の元、長年蒸発していた父・栄治が帰宅してくる。長年蒸発したままった父の帰宅に困惑する娘の直子だったが、母・キヨの栄治を迎えいれたい要望を聞き、同居するようになる。以来、栄治が新聞配達をし、家計を支えるようになっていく。
父・栄治の同居から10年ほど経ったある日。持病の悪化により栄治は新聞配達が出来なくなってしまい、栄治は仕事の引退を余儀なくされてしまう。父の仕事の引退をきっかけに生活保護の申請を考えるようになっていく。一家を代表した直子が生活保護を申請するため市役所に出向き、ケースワーカー・宗村とのやり取りを重ねて申請作業を進めていく。母が重度の認知症であり父も病気の悪化により仕事が出来ない状態で預貯金もほとんどない状態の一家は生活保護を受けるには十分な資格があった。
宗村の親切な対応により生活保護申請はスムーズに進められていき、葉波家の訪問審査を受けて生活保護の受託はほぼ決まった。その訪問審査を無事終えた夜。無事生活保護申請は通るであろう状況の中、栄治が直子に衝撃の一言を告げた......。