常本琢招監督が2000年代に制作した女性が主人公の中短編4本を上映する特集上映「ツネモト✕4人のヒロイン」が、5月22日と31日、6月12日の3日間、東京・菊川のミニシアター・Strangerで開催されます。
初監督作の8mm作品『にっぽにーず・がーる』(1984年)が1985年の第8回ぴあフィルムフェスティバルPFFアワードに入選し、1990年の商業監督デビューを経て、現在にいたるまで、男性の勝手な妄想や男性に都合のいい幻想にとらわれずに、偽りのない言葉や身体をもって女性の多様なニュアンスを描き続けてきた常本琢招(つねもと・たくあき)監督。その演出力は、黒沢清さん、高橋洋さん、塩田明彦さんら映画監督たちから高い評価を受けています。
特集上映「ツネモト✕4人のヒロイン」フライヤー (※クリックで拡大します フライヤー裏面はこちらをクリック)
特集上映「ツネモト✕4人のヒロイン」は、常本監督が久々の新作短編『何もない部屋』を完成させたのをきっかけに企画されたもので、常本監督が2000年代に入ってから制作しつつ広く上映される機会がなかった中短編と新作を合わせ、計4作品を上映。
「ツネモト✕4人のヒロイン」のタイトルが示すように、上映されるのは、いずれも女性を主人公にその生き方を描くという共通点を持ちつつ、それぞれに異なる女性の「顔」を描いた4作品。そして、各作品のヒロインを、それぞれに魅力を持つ豪華な俳優陣が演じています。
挫折した画家と謎めいた青年の出会いを描く『みつかるまで』(2002年)のヒロイン・芳美を演じるのは『avec mon mari』(1999年/大谷健太郎監督)で女優デビュー以降、多くの映画やテレビドラマに出演し、近年も『夜明けまでバス停で』(2022年/高橋伴明監督)やドラマ「東京タワー」(2024年)などで注目される板谷由夏さん。
ある再会をきっかけとしたアイデンティティの危機を経てもうひとりの自分を見出す建築士がヒロインの『蜘蛛の国の女王』(2009年)のヒロイン・映子には「仮面ライダー龍騎」(2002年)などで人気の久遠さやかさん。
ある行為をスポーツとする「アナボウ部」での活動に没頭するヒロインの青春を描く『アナボウ』(2010年)のヒロイン・一子を演じるのは、子役時代から活躍し『アナボウ』出演後の2016年より転職サイト・ビズリーチのCMに出演し注目を集め、ドラマ「グランメゾン東京」(2019年)などにも出演する吉谷彩子さん。
ホステスと彼女に惚れた男を描く新作『何もない部屋』(2023年)のヒロインを演じるのは、『Chime』(2024年/黒沢清監督)『歩女』(2024年/梅沢壮一監督)など出演作公開が続き、大河ドラマ「べらぼう」(2025年)にも出演の川添野愛(かわぞえ・のあ)さん。
俳優の魅力を引き出すことに定評のある常本監督のもと、4人の俳優が作品の中でどんな表情を見せているかは、作品の大きな見どころとなっています。
特集上映の宣伝用メインヴィジュアルに描かれた4人のヒロインのイラストは「ぼのぼの」などの作品で知られるマンガ家・いがらしみきおさんによるもの。
いがらしさんと、上映作品の出演者である板谷由夏さん、川添野愛さん、木原勝利さんは、特集上映開催に向けコメントを寄せています。
マンガ家(特集上映宣伝メインヴィジュアルを担当):いがらしみきおさんコメント
常本監督、相変わらずのきめ細かい演出でいずれ劣らぬおもしろさでした。
俳優(『みつかるまで』主演):板谷由夏さんコメント
20数年前、監督と、夜中まで熱く話をし、
この作品に取り組んでいた20代の私の情熱は
まだ今の私の中に居るだろうか、と考えました。
それが残っている限りこの仕事を続けたい、
そんな思いが浮かびます。
経験に感謝します。ありがとうございました
俳優(『何もない部屋』主演:川添野愛さんコメント
私は、夢を見ていた…? 人間の脳みそはなんと、
愉快。壮大。
何もない部屋には全てがあって、
あると思っていたことは何もなかった。銀座という街には、夢も、現実も、人生も、
不思議の国への入り口までもが渦巻いている。
常本監督の織りなすワンダーランドを、
どうぞ、ご堪能ください。
俳優(『何もない部屋』主演:木原勝利さんコメント
いつの時代も男は女に振り回される。いや、振り回されてるぐらいが
実は幸せなんだと思えてくる。振り回されるぐらい魅力的な
女性に出会えたこと自体に感謝しなきゃならないのだ。
もうすぐ彼もそれに気づくと思います。
特集上映「ツネモト✕4人のヒロイン」上映作品『なにもない部屋』撮影現場での常本琢招監督(中央)、川添野愛さん(左)、木原勝利さん(提供写真)
特集上映は、4作品をプログラムA(『何もない部屋』『みつかるまで』)とプログラムB(『蜘蛛の国の女王』『アナボウ』)の2プログラムに分けて上映。
男性目線ではない作劇で自分の意思を持った女性を描き続けてきた常本琢招監督。その作品群は、いまの時代が求めてられているに違いありません。
そんな作品群をまとめて鑑賞できる機会である「ツネモト✕4人のヒロイン」は、5月22日木曜日、5月31日土曜日、6月12日木曜日の3日間、東京・菊川のStrangerで開催されます。