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井土紀州監督が夭折の作家の小説を映画化 古屋呂敏さん宮森玲実さん出演『愛のごとく』クランクイン

 芥川賞候補に4度選ばれるなど将来を期待されながら34歳の若さで不慮の死を遂げた作家・山川方夫の代表作を、井土紀州監督と脚本の小谷香織さんのコンビで映画化する『愛のごとく』が6月にクランクインすることが発表され、主演の古屋呂敏さんとヒロインを演じる宮森玲実さんのコメントが発表されました。

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『愛のごとく』ティザーヴィジュアル。主演の古屋呂敏さん(中央)、共演の宮森玲実さん(左)、井土紀州監督 ©2026「愛のごとく」製作委員会

 『愛のごとく』は、昭和30年代に4度の芥川賞候補、1度の直木賞候補に選ばれるなど活躍し、「夏の葬列」など日本ショート・ショートの名手としても知られる作家・山川方夫(やまかわ・まさお)が執筆し、交通事故による作者の急逝後に出版、芥川賞候補ともなった同名小説の映画化。
 主人公「私」と人妻との関係をエロティックかつ詩情豊かに描いた原作をもとに、作家のハヤオと元恋人のイズミ、再会を遂げたふたりの、背徳と快楽の「愛」が描かれていきます。

 史上初となる同作の映画化に挑むのは、近年『卍』(2023年)『痴人の愛』(2024年)と、谷崎潤一郎文学を現代を舞台に再解釈して映画化し、名作に新たな息吹を与えた井土紀州監督と脚本の小谷香織さんのコンビ。今回は、戦後日本社会の空気を伝える原作を、令和の時代に生きる人々に向けた作品として映画化します。

 出演は、主人公の作家・及川ハヤオ役に、テレビドラマ「VIVANT」(2023年)「恋をするなら二度目が上等」(2024年)「東京タワー」(2024年)など、話題作への出演が続く古屋呂敏(ふるや・ろびん)さん。
 そしてハヤオの元恋人・栗原イズミ役には、監督・プロデュースもつとめた主演作『わたしの頭はいつもうるさい』(2024年)で第18回田辺・弁慶映画祭俳優賞に輝いた宮森玲実さん。
 映像クリエイター・フォログラファーとしても活躍する古屋さん、監督・プロデューサーとしても高い評価を得ている宮森さんと、多彩な才能を発揮するふたりの俳優が共演します。

 井土監督と脚本・小谷さんの《令和の純文学》シリーズの集大成となる『愛のごとく』が2025年6月にいよいよクランクイン。情報解禁にあわせて、主演の古屋さんとヒロイン役の宮森さん、井土監督、脚本の小谷さんがそれぞれコメントを発表しています。

及川ハヤオ役:古屋呂敏さんコメント

記事写真 及川ハヤオ役を演じさせていただきます、古屋呂敏です。
「愛」という美しい言葉の裏にある、孤独や欲望、満たされなさを彼の中に感じながら、静かな情熱や揺れ動く感情を丁寧に表現したいと思います。ぜひお楽しみに。
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栗原イズミ役:宮森玲実さんコメント

初めて脚本を読み終えたとき、心のざわめきがおさまりませんでした。
原作小説を拝読し究極の他人である男と女、その一つの愛の形を描く今作に参加できる幸せを感じています。
ハヤオとイズミ2人の、関係や日常の中にある何かを見つけられたら。見つけられるよう精一杯演じます。
静かに読み継がれてきたこの物語が映画として芽吹くことを楽しみにしています。
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井土紀州監督コメント

青春の行き止まり。
そんな場所で途方に暮れる男と女。
女は忘れものを探し、男は捨てたはずの夢を拾う。
青春の終わるところ。
男と女はそんな場所で何かにあらがうように互いを求め合う。

そんなことを考えながら、シナリオを作り、そして、撮影にのぞみます。

脚本:小谷香織さんコメント

私に求められたのは原作の『私と女』の物語を『ハヤオとイズミ』として令和の世界に立ち上げることでした。他者への諦念と渇望という相反する想いを抱えたハヤオと原作で多くは語られないイズミ。約一年間、ひたすら彼らに向き合い、寄り添い、脚本を完成させました。キャストのお二人がどんな世界を作り上げてくれるのかと、とてもワクワクしています。

 幻の天才作家の作品を、令和の時代に愛に怯え愛を求める主人公の物語として映画化する『愛のごとく』は、2026年の劇場公開を予定しています。

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『愛のごとく』ティザーヴィジュアル ©2026「愛のごとく」製作委員会

『愛のごとく』あらすじ

停滞する小説家・ハヤオ(古屋呂敏)は、恩師の死をきっかけに元恋人・イズミ(宮森玲実)と再会する。過去に自ら手放した愛と向き合うように、彼の心は静かに揺らぎ始める。
ある夜、ハヤオは街角で、SMに耽る夫婦の姿を垣間見る。夫に束縛される妻がこちらを見てほほ笑むその光景は、背徳と快楽、そして失われた情念の象徴として、ハヤオの心に深く刻まれる。
現実と記憶、幻想が交錯する中、ハヤオはイズミとの関係に再び引き寄せられ、過去と現在の境界が曖昧になっていく。
愛とは、幸福とは、人生とは。官能と純文学が織り成す、喪失と再生の物語。

愛のごとく

  • 古屋呂敏 宮森玲実

  • 監督:井土紀州
  • 脚本:小谷香織
  • 原作:山川方夫
  • 制作:レジェンド・ピクチャーズ
  • 配給:Cinemago
  • ©2026「愛のごとく」製作委員会

  • 2026年/カラー/DCP/ステレオ/16:9|R15+想定

2026年公開予定

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