６月20日に公開になる佐向大監督最新作『中山教頭の人生テスト』より、渋川清彦さんが演じる主人公・中山教頭の忙しい１日を感じさせる本編映像が解禁されました。

　『中山教頭の人生テスト』は、山梨県の小さな小学校を舞台に、校長への昇進を目指す真面目なベテラン教師の教頭先生・中山晴彦が、ある事情によりクラスの臨時担任をつとめることになったことから始まるヒューマンストーリー。
　名優・大杉漣さん最後の主演作『教誨師』（２０１８年）や『夜を走る』（２０２１年）で高い評価を受けた佐向大（さこう・だい）監督の最新監督作です。

　主人公の中山晴彦を演じるのは渋川清彦さん。『ポルノスター』（１９９８年／豊田利晃監督）で映画デビュー（KEE名義）して以来、激しい役からコミカルな役など、幅広い役柄をこなしてきた現在の日本映画界に欠かせない俳優が、誰にでも柔らかく接する教師生活30年の主人公を演じ、真面目な中年男という役柄で新たな魅力を見せます。
　共演には、同じ学校の教師・椎名香澄役に連続テレビ小説「さくら」（２００２年）主演で知られる高野志穂さん、晴彦の娘で中学生の中山未散役には雑誌「Seventeen」モデルなどで活躍しこれが本格的な映画出演は初となる希咲うみさん、教師の黒川良太郎役には「仮面ライダーオーズ／ＯＯＯ」（２０１０年）主演の渡部秀さん、教師の葉山源役には『夜を走る』に続いての佐向大監督作品出演となる高橋努さん。
　さらに、校長の鷹森真希役には石田えりさん、教育委員会教育長・岸本雄介役には風間杜夫さんと、長いキャリアを持つベテラン陣も出演。
　そして、櫛田遙流さん、太田結乃さん、大角英夫さん、矢部玲奈さん、笹木祐良さんら、オーディションで選ばれた実際に小学生世代のキャストがしっかりと作品世界を支えています。

『中山教頭の人生テスト』場面写真。渋川清彦さん演じる主人公・中山晴彦

『中山教頭の人生テスト』場面写真。渋川清彦さん演じる主人公・中山晴彦

『中山教頭の人生テスト』場面写真。高野志穂さん演じる椎名香澄(右)と、渋川清彦さん演じる中山晴彦、児童たち

『中山教頭の人生テスト』場面写真。希咲うみさん演じる中山未散(左)と、渋川清彦さん演じる中山晴彦

『中山教頭の人生テスト』場面写真。渡部秀さん演じる黒川良太郎

『中山教頭の人生テスト』場面写真。高橋努さん演じる葉山源(左)と、渋川清彦さん演じる中山晴彦

『中山教頭の人生テスト』場面写真。石田えりさん演じる鷹森真希

『中山教頭の人生テスト』場面写真。風間杜夫さん演じる岸本雄介(左)と、渋川清彦さん演じる中山晴彦

　このほど解禁された本編映像は、苦手なパソコン作業に苦労しているところ、教室の照明の交換や、学校への理不尽な苦情への対応、怪我をした児童への対応などなど、仕事や雑務に追われる中山教頭の日常を描くとともに、同僚教師や生徒たちなど、登場人物ひとりひとりのキャラクターも示す、４分強の短さながら中身の詰まった映像となっています。
　あわせて、教室の照明を交換中の中山教頭や、保護者会で説明中の中山教頭など、新たな場面写真４点も解禁されています。

　また、俳優の光石研さんや放送作家の町山広美さん、映画評論家の森直人さんら、著名人が作品へコメントを寄せています。

映画評論家：秦早穂子さんコメント

縦の考え方に、日本人は一斉整列するのが大好き。
監督佐向大の人間たちは、もろもろの問題を抱えて頼りない。
だが、大人も子供も、絶対に正しいとは言わない。
この視線、しなやかな強さ。共感した。

俳優：光石研さんコメント

大人も子供も、先生も生徒も、
立ち止まったり、突き進んだり。
何が正解か誰も分かんない。
佐向監督の映画には、いつも「真」があります。

放送作家：町山広美さんコメント

「前へならえ」と号令をかけられても、前は右往左往か立ち往生。
とはいえ、そもそも「前へならえ」なんぞは軍隊教育の名残なんだし。
大人が絶滅して長いこの社会で、前走者はせめて
右往左往を隠さず立ち往生を晒そうではないか。
中山先生、合格です。

映画評論家：森直人さんコメント

渋川清彦が良すぎる。これは羊の皮の隙間から、
狼の精神が優しく笑顔を見せる映画だ。
困難だらけの世界に向けて、“本当のこと”を伝えようとする
ポンコツ教頭の肉声に涙があふれた。
まるでチャップリンの『独裁者』じゃないか！

編集者・映画評論家：佐野亨さんコメント（Xへの投稿より抜粋）

すぐれた学校映画はすぐれたミニチュア社会映画であることを証すにとどまらず、
『ザ・中学教師』以来のハードボイルドな学級描写の果てに
是枝裕和的な「統御」の世界を容赦なく解体せしめる。
間違いなく『夜を走る』を経て実現しえた作品。

　ひとつの社会と言える”小学校”を舞台に、児童や教師、保護者、そして自身の家族との関わり合いの中少しずつ変わっていく中山教頭の姿を通して「人間」を描いていく『中山教頭の人生テスト』は、６月20日金曜日より、東京の新宿武蔵野館、EBISU GARDEN CINEMAほか、全国公開されます。

『中山教頭の人生テスト』あらすじ

　山梨県のとある小学校。教頭の中山晴彦（渋川清彦）は、教員生活30年を迎えた教育現場のベテラン。とても真面目な性格で、誰に対しても物腰柔らかく接する反面、流されやすくどうにも頼りない人物だ。4年前に妻に先立たれた彼は、中学2年生の娘との将来のために校長への昇進を目指しているものの、日々の忙しさから受験勉強はうまく進まない。そんなある日、ひょんなことから晴彦は5年1組の臨時担任を務めることに。子供たちと真正面から向き合うことで、浮き彫りになってくる問題の数々。児童、教師、保護者、そして自身の家族といった、さまざまな者たちの思惑が複雑に絡み合う中、晴彦の人生は緩やかに、けれども確実に動き出していく──。