蒔田彩珠さんと碧木愛莉さんが演じる高校生カップルの日常と別れを描く洪先恵監督初監督作の短編『サラバ、さらんへ、サラバ』が9月26日より東京の新宿バルト9ほか全国公開されることが発表され、ポスターヴィジュアルと予告編、コメントが解禁されました。
『サラバ、さらんへ、サラバ』は、アイドルを夢見る恋人を応援する高校生・仁美を主人公に、女子高校生カップルに訪れる別れを描くストーリー。
夢を持つ恋人を支える主人公・広瀬仁美役で主演をつとめるのは『朝が来る』(2020年/河瀨直美監督)で数々の映画賞を受賞、『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(2017年/湯浅弘章監督)『ハピネス』(2024年/篠原哲雄監督)公開予定の『消滅都市』(2025年/川村誠監督)など主演作も多い蒔田彩珠(まきた・あじゅ)さん。
仁美の恋人でアイドルになることを夢見る外山菜穂を、映画『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』(2023年/井上淳一監督)やテレビドラマ「顔に泥を塗る」(2024年)などで注目を集める碧木愛莉(あおき・あいり)さんが演じています。
メガホンをとったのは韓国出身の洪先恵(ほん・そね)監督。韓国の国立大学である韓国芸術総合学校映画学科に入学後、日本映画に関心を持って日本映画大学脚本コースに編入、卒業後に「富士山がついてくる」で第32回新人シナリオコンクール入選を果たし現在は脚本家として活躍する1996年生まれの新鋭です。
『サラバ、さらんへ、サラバ』は、レズビアンである自身の体験をもとに脚本を執筆、初の監督をつとめています。
『サラバ、さらんへ、サラバ』場面写真。蒔田彩珠さんが演じる広瀬仁美(右)と、碧木愛莉さんが演じる外山菜穂
第20回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門や、イギリスで開催された第39回BFIフレア・ロンドンLGBTQ+映画祭(BFI Flare: London LGBTQIA+ Film Festival 2025)Day Dreamers部門など各国の映画祭に出品され、韓国で開催された第13回ディアスポラ映画祭(13th Diaspora Film Festival 2025)では観客賞を受賞した『サラバ、さらんへ、サラバ』が、短編としては異例となる単独での劇場公開決定。ポスターヴィジュアルと予告編が解禁されました。
仁美が菜穂に「サランヘ(愛してる)」と囁く場面で幕を開ける予告編は、ふたりの過ごす日々や、菜穂の夢が現実に近づくゆえに仁美との関係に生じる変化などが、瑞々しさを感じる映像で映し出されていきます。
また、仁美役の蒔田さんと菜穂役の碧木さん、洪監督がそれぞれ公開に向けたコメントを発表。大阪アジアン映画祭プログラミング・ディレクターである映画評論家の暉峻創三(てるおか・そうぞう)さんが作品にコメントを寄せています。
広瀬仁美役:蒔田彩珠さんコメント
サラバ、さらんへ、サラバは、有難いことに、様々な映画祭などで上映されていますが、撮影当時は日本での劇場公開が決まっていませんでした。そのため、撮影から2年が経った今、日本でも上映されることになりとても嬉しいです。撮影期間は2週間ほどであっという間だったのですが、スタッフキャスト全員で試行錯誤しながら臨むことができた楽しい撮影でした。より多くの人に観ていただけると嬉しいです。
外山菜穂役:碧木愛莉さんコメント
外山菜穂を演じました、碧木愛莉です。LGBTQ作品が増える中で、自分の留学経験を初めて活かせた作品で、心からやり甲斐を感じました。セリフよりもト書きの多い台本で、言葉にしきれない2人の空気感がより仁美と菜穂の関係性をグッと高められたと感じています。オーディションを経て、相手役が蒔田彩珠さんと聞いたときは本当に驚きましたが、初日から安心感を与えてくださる方で、明るい現場で本当に楽しくお芝居をすることができました。未来を変える力は、自分の中にある。そう信じられるようになった作品です。劇場でお届けできること、心から嬉しく思います。たくさんの方に観ていただけたら嬉しいです。
洪先恵監督コメント
いつの間にか終わってしまった初恋を思って作った映画です。同性の相手に長い間片思いして、やっと両思いだと分かった途端、ケンカも、話し合いもできないまま、親同士の話し合いだけで無かったことにされてしまった記憶。その記憶は29歳の今になっても、解決できないモヤモヤとしてまだ私の中に残っています。だからこそ、本気で別れに向き合う女の子たちを描きたいと思いました。ダサくても、汚くても、二人にとっては真剣な、自分たちで決めた別れです。映画を観てくれる皆さんも、自分の真剣だった恋を思い出してほしいと思います。
映画評論家(大阪アジアン映画祭プログラミング・ディレクター)暉峻創三さんコメント
タイトルが示唆しているように、これは別れについての映画だ。それにしても何という別れ方だろう。映画史が繰り返し飽くことなく描いてきた別れの場面。その中でもこれだけは絶対に、永遠に、誰もが忘れられないだろう別れ方だ。愛することの喜び、切実さ、悔しさ、惨めさ。そして相手への感謝、相手の将来の幸せを祈る気持ち。それらすべてがないまぜになったものが、徹底した肉体のアクションを通じて鮮烈に表現されている。
『サラバ、さらんへ、サラバ』は、9月26日金曜日より、東京の新宿バルト9、神奈川の横浜ブルク13、大阪のT・ジョイ梅田、福岡のT・ジョイ博多ほかにてロードショー。短編での単独公開となり、各上映劇場では通常鑑賞料金1300円での上映が予定されています。