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報道記者が自らの暴力性とも向き合うドキュメンタリー『揺さぶられる正義』9月公開 特報など解禁

記事写真

解禁された『揺さぶられる正義』メインヴィジュアル ©2025カンテレ(※クリックで拡大します)

 弁護士であるテレビ局報道記者が「揺さぶられっ子症候群」を巡る長年の調査報道を経て作り上げたドキュメンタリー映画『揺さぶられる正義』が9月20日より東京のポレポレ東中野と大阪の第七藝術劇場ほか全国順次公開となることが発表され、メインヴィジュアルと特報映像、上田大輔監督らのメッセージなどが解禁されました。

 乳児が激しく揺さぶられることで脳などに損傷を受け、場合によっては死に至る「揺さぶられっ子症候群(Shaken Baby Syndrome)」略称・SBS。
 日本では2010年代に入ると乳幼児がSBSと診断され、親や親族などが揺さぶりによる虐待をおこなったとして逮捕・起訴される事件が急増する一方、裁判では無罪判決が相次ぎました。
 関西テレビは、このSBSを巡る「虐待冤罪」の問題の取材を続け、ドキュメンタリー番組として放送。一連の「揺さぶられっ子症候群」検証番組は、文化庁芸術祭賞テレビドキュメンタリー部門優秀賞、ギャラクシー賞報道活動部門優秀賞ほか多くの賞を獲得し、高い評価を受けています。
 映画『揺さぶられる正義』は、この一連のSBS検証番組を元に、新たな取材を加え、新たな視点によってまとめあげたドキュメンタリー映画です。

 SBSを巡る問題は、虐待をなくしたい正義と冤罪をなくしたい正義、ふたつの正義の衝突であると同時に、実名報道が消えることのない痕跡をネット上に残し、長期勾留が貴重な時間を奪う、個人の人生が大きく損なわれる問題でもあります。
 社内弁護士から報道記者へ転身した異色の経歴を持ち、報道記者キャリア1年目からSBSの問題を追ってきた上田大輔監督は、取材を通して「報じる側の暴力性」を自覚した上で、司法やメディアのあり方に向き合い続け「贖罪と覚悟の物語」として『揺さぶられる正義』を完成させました。

 公開発表にあわせて解禁されたメインヴィジュアルはデザイナーの成瀬慧さんによるもの、特報予告編は映画編集者の遠山慎二さんと、昨年公開され話題となったドキュメンタリー『どうすればよかったか?』(藤野知明監督)の宣伝ヴィジュアルと予告編を手がけたコンビによるもの。それぞれ作品が描くものを象徴的に示しています。

【『揺さぶられる正義』特報予告編】

 また、関西テレビの社内弁護士として法務に従事したのち報道記者へと転身し、SBS検証番組のディレクターをつとめ今回初めて劇場用作品を手がけた上田大輔監督と、自身もディレクターとして多くのドキュメンタリー番組を手がけてきた宮田輝美プロデューサーが、メッセージを発表しています。

上田大輔監督メッセージ

記事写真 記者に転身した 1 年目に「揺さぶられっ子症候群(SBS)」事件の取材を始め、虐待をなくす正義と冤罪をなくす正義の衝突を 8 年にわたり追い続けてきました。
「“犯人”と疑われている人をどこまで信用していいのか?」
「“冤罪”を前提にした発言は、記者としての一線を越えていないか?」
私の中で記者の正義と弁護士の正義がぶつかることもありました。
この映画は、記者として、弁護士として、そして一人の弱い人間として悩み続けた私の 8 年間の記録です。

宮田輝美プロデューサーメッセージ

記事写真 想定を超えてしまった。
8年間の取材をまとめ、冤罪で家族が引き裂かれることの理不尽さと、再び結ばれた家族の愛を描くのだと思っていた。有罪率 99.8%の刑事裁判で異例尽くしの無罪の山を総括する必要もあった。
しかし振り返るだけでは気が済まなかったのか...上田は無謀にも飛び込んだ。懲役12年の独房から無実を叫ぶ最難関事件の只中へ。
どこに向かうつもりなのか?
迷宮を掻き分け辿り着いた先は、出口ではなく、入口だった。

 「ふたつの正義のぶつかり合い」を追う記者が、その過程で報道するメディア=自身の暴力性とも向き合っていく、唯一無二のドキュメンタリーとなっている『揺さぶられる正義』は、9月20日土曜日より、東京のポレポレ東中野、大阪の第七藝術劇場、ほか全国順次公開されます。

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解禁された『揺さぶられる正義』場面写真

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解禁された『揺さぶられる正義』場面写真

ポスター

揺さぶられる正義

  • 出演者

  • 監督:上田大輔
  • プロデューサー:宮田輝美
  • 撮影:平田周次
  • 編集:室山健司
  • 音声:朴木佑果/赤木早織
  • 音響効果:萩原隆之
  • 整音:中嶋泰成
  • 製作:関西テレビ放送
  • 配給:東風

  • 2025年/DCP/129分

2025年9月20日(土)より 東京・ポレポレ東中野、大阪・第七藝術劇場にて公開 ほか全国順次公開

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