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全寮制女子校に通う少女たちのファントム・ファンタジー 坂本悠花里監督『白の花実』12月公開

 全寮制女子校に通う少女たちの物語を耽美かつ繊細に描く坂本悠花里監督の初長編『白の花実』(しろのかじつ)が12月26日公開となることが発表され、美絽さん、池端杏慈さん、蒼戸虹子さんらキャスト情報も解禁されました。

 『白の花実』は、全寮制女子校に転校してきた少女・杏菜が主人公。美しく誰にも好かれる「完璧な少女」であったルームメイト・莉花が自ら命を絶ったのをきっかけに、莉花の遺した日記と彼女の魂に心を揺らす杏菜と、莉花の幼なじみの栞の織りなす物語が描かれていきます。

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『白の花実』より、美絽さんが演じる主人公・杏菜(中央)、池端杏慈さんが演じる栞、蒼戸虹子さんが演じる莉花

 脚本・監督をつとめたのは、大学時代に映画制作をはじめ、東京藝術大学大学院映画選考で編集を学んだ坂本悠花里(さかもと・ゆかり)監督。MOOSIC LAB 2014で上映された『おばけ』(2014年)や女性監督によるオムニバス『21世紀の女の子』(2018年)の一編「reborn」(坂本ユカリ名義)などの短編や、各地の映画祭で上映された中編『レイのために』(2019年・坂本ユカリ名義)などの作品を送り出してきた俊英が、心を揺らす少女たちが「死の向こう側」へと踏み込んでいく、これまでにないガーリーなファントム・ファンタジーを完成させ、堂々の長編デビューを飾ります。

 周囲に馴染めず転校を繰り返してきた主人公・杏菜を演じるのは、サントリー天然水 スパークリングレモンなど数多くのCMや雑誌モデル、アパレルブランドモデルとして活躍する美絽(みろ)さん。
 杏菜のルームメイトだった莉花の幼なじみで、次第に杏菜と近づいていく栞には、結婚情報誌「ゼクシイ」15代目CMガールに選ばれ、出演作『ストロベリームーン』(2025年/酒井麻衣監督)公開も控える池端杏慈(いけはた・あんじ)さん。
 杏菜のルームメイトでカリスマ的存在でありながら自ら命を経つ莉花には、RADWIMPSのミュージックビデオ「正解」(2024年)や現在放送中のドラマ「DOPE 麻薬取締部特捜課」に出演する蒼戸虹子(あおと・にこ)さん。
 モデル・演技など各ジャンルで注目を集める新世代の才能たちが集結しました。
 さらに、彼女たちを取り巻く大人たちには、河井青葉さん、岩瀬亮さん、伊藤歩さん、門脇麦さんら、数々の話題作に出演する実力派キャストが揃っています。

 公開決定・キャスト情報解禁にあたり、坂本監督と美絽さん、池端さん、蒼戸さんがコメントを発表しています。

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坂本悠花里監督コメント

昨年の今頃、キャストとワークショップやダンスの練習をしていました。撮影はあっという間でしたが、日々新しい発見と確かな充実感がありました。『白の花実』を作りながら、私は私自身を持て余していた時期があったと思い出していました。作り終えた今、自分というものはずっと持て余したままで良いものなのかもしれないと思い始めています。この映画とともに歩いてくれたキャスト・スタッフに、心から感謝を伝えたいです。そして、これから観ていただけることを心待ちにしています。
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杏菜役:美絽さんコメント

杏菜を通して、表向きの自分と本当の自分との間にあるギャップに改めて気付かされました。揺れ動く少女たちの葛藤や苦悩には、きっと誰しも共感できる部分があるのではないでしょうか。
壮大な自然や美しい歴史的建造物も、物語と共に楽しんでいただけたら嬉しいです。
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栞役:池端杏慈さんコメント

乃川栞 という役に出会えたこと、心から感謝しています。オーディションで決まったときは本当に嬉しかったです!親友の死に喪失感を抱く栞の感情を、自分なりに丁寧に噛み砕いて向き合うことができました。
生と死に目を向ける彼女たちの繊細な姿が丁寧に描かれている作品です。劇中の衣装がすてきなのでそこにも注目してほしいです。たくさんの人にこの作品が届きますように。
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莉花役:蒼戸虹子さんコメント

「白の花実」は私にとって初めての映画です。
わからないことだらけの中で、莉花と同じように揺れたり、悩んだりしながら、
坂本監督とたくさん話をして、莉花と自分を少しずつ重ねていきました。
ダンスレッスン、ワークショップ、そして撮影を通して、美絽さん、池端さん、スタッフキャストの皆さんと過ごした時間は、今でも私の中で特別な記憶として残っています。
作品の中から、揺れ動く、様々な感情をたくさん感じていただけたら嬉しいです。

 『白の花実』は、映像産業振興機構(VIPO)による次代の才能の発掘と育成を目的とした「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト2022」の「長編映画の企画・脚本開発サポート」に選出され企画・開発が進められた作品。
 2024年にはアジアで最も重要な企画マーケットである香港アジア・フィルム・ファイナンシング・フォーラム(The Hong Kong – Asia Film Financing Forum)で、アジアとヨーロッパ間での共同製作の奨励・促進を目的とした賞であるウディネフォーカスアジア賞(Udine Focus Asia Award)を受賞し、イタリアで開催されたウディネ・ファーイースト映画祭(Far East Film Festival)同時開催の企画マーケットFocus Asia 2024に招待されるなど、完成前からすでに国際的な注目を集めており、日本のみならず海外での展開も期待されます。

 新鋭監督が新世代の才能たちを迎え、美しいものに潜む痛みや違和感、そして少女たちの “名づけられない心の揺らぎ”を繊細かつ耽美に描いていく『白の花実』は、12月26日金曜日より、東京の新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国順次公開されます。

『白の花実』ストーリー

周囲に馴染めず、転校を繰り返してきた少女・杏菜。たどり着いたのは、静かな森の奥にある全寮制の女子校。その寄宿舎で彼女を迎えたルームメイトは、美しく、完璧で、誰からも好かれる少女・莉花だった。しかし間もなく、莉花は屋上から身を投げ、自ら命を絶った。
残されたのは、一冊の≪日記≫。そこには、笑顔の裏に潜んでいた苦悩、怒り、痛み—— そして、幼なじみ・栞との記憶や、言葉にできなかった“ある想い”が綴られていた。 杏菜が≪日記≫を読み進めるうちに、青白く揺れる鬼火のような“魂”が現れる。それはまるで、莉花の魂そのもののように、静かに、杏菜の中へと入り込んでいく。
一方の栞は、杏菜を「変わった子」だと遠ざけていた。だが、杏菜を通じて莉花の魂に導かれるように、次第にふたりは歩み寄っていく。「完璧な少女は、なぜ飛び降りたのか?」その問いはやがて、生き残った少女たちの心に深く染みわたり、それぞれの“わたし”が、静かに揺らぎはじめる――。
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白の花実

  • 美絽 池端杏慈 蒼戸虹子
    河井青葉 岩瀬亮 山村崇子 伊藤歩 吉原光夫
    門脇麦

  • 監督・脚本・変種:坂本悠花里
  • プロデューサー:山本晃久
  • 製作・配給:ビターズ・エンド
  • 制作プロダクション:キアロスクロ

  • 2025年/カラー/ビスタサイズ/5.1ch/DCP/110分

2025年12月26日(金) 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

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