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名作反戦漫画の熱を伝えるドキュメンタリー『はだしのゲンはまだ怒っている』11月公開決定

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『はだしのゲンはまだ怒っている』ポスターヴィジュアル ©BS12 トゥエルビ(※クリックで拡大します)

 反戦漫画の名作「はだしのゲン」の誕生から現在までを見つめるドキュメンタリー『はだしのゲンはまだ怒っている』が、11月より東京のポレポレ東中野と広島のサロンシネマほか全国順次公開されることが発表され、ポスターヴィジュアルなどが解禁されました。

 1945年8月6日8時15分に広島に落とされた原子爆弾がもたらすものを、被爆を経験し貧困や偏見の中で力強く生きる少年・ゲンの姿を通して描いた漫画「はだしのゲン」。6歳で被爆を経験した中沢啓治さんが自らの体験を反映させて描いたこの作品は、1973年に雑誌・週刊少年ジャンプで連載されて以来、半世紀以上にわたり日本のみならず世界25ヶ国で翻訳出版され、多くの人々に反戦のメッセージを伝えてきました。
 しかし近年は、劇中の描写について、現在の道徳的規範に合わない、過激であるなどの指摘や、歴史認識に関する指摘までもがあり、学校図書館で閲覧制限を求める意見が出されたり、広島市の平和教材から消えるなど、大きな議論を巻き起こしています。

 『はだしのゲンはまだ怒っている』は、2024年9月に放送され優れたテレビ報道に贈られるメディア・アンビシャス大賞映像部門大賞を受賞するなど高い評価を受けたBS12のドキュメンタリー「「はだしのゲン」の熱伝導 ~原爆漫画を伝える人々~」を劇場映画化した作品。「はだしのゲン」という作品が50年以上にわたりなぜ人々を熱くするのかを、その誕生から現在まで、作品に関係するさまざまな人々への取材などを通して描いていきます。

 監督をつとめたのは、ディレクターとして多くのテレビドキュメンタリーなどを手がけ、本作が初の劇場監督作となる込山正徳監督。
 映画化にあたっては、大きな反響を呼んだドキュメンタリー『国葬の日』(2023年)の監督・大島新さん、同作のプロデューサーで自身もドキュメンタリー『NO 選挙,NO LIFE』(2023年)の監督をつとめた前田亜紀さんのふたりが共同プロデューサーとして参加しています。

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解禁された『はだしのゲンはまだ怒っている』場面写真。「はだしのゲン」原作者の中沢啓治さんと妻の中沢ミサヨさん

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解禁された『はだしのゲンはまだ怒っている』場面写真

 劇場公開発表に合わせて、込山正徳監督、テレビ放送版から引き続きプロデューサーをつとめたBS12の高橋良美さん、共同プロデューサーの大島新さんがメッセージを発表しています(記事最後に掲載)。

 戦後80年という節目を迎える2025年に、名作「はだしのゲン」を通して、世界にあふれる怒りや哀しみ、そして優しさを映し出していく『はだしのゲンはまだ怒っている』は、11月に東京のポレポレ東中野と広島のサロンシネマで公開されるほか、全国順次公開されます。

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『はだしのゲンはまだ怒っている』場面写真。NPO法人ANT-Hiroshima理事・渡部久仁子さん

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『はだしのゲンはまだ怒っている』場面写真。講談師・神田香織さん

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『はだしのゲンはまだ怒っている』場面写真。書籍編集者・大嶋賢洋さんと翻訳者アラン・グリースンさん

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『はだしのゲンはまだ怒っている』場面写真。元教諭で被爆経験を持つ江種祐司さん

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『はだしのゲンはまだ怒っている』場面写真。「はだしのゲン」原作者・中沢啓治さんの妻・中沢ミサヨさん

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『はだしのゲンはまだ怒っている』場面写真。中沢啓治さんの詩に曲をつけた作曲家・山本加津彦さん

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『はだしのゲンはまだ怒っている』場面写真。元広島市長・平岡敬さん

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『はだしのゲンはまだ怒っている』場面写真。被爆経験を持つ阿部静子さん

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『はだしのゲンはまだ怒っている』場面写真。腹話術で被爆体験を語る小谷孝子さん

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『はだしのゲンはまだ怒っている』場面写真。「はだしのゲン」原作者・中沢啓治さん

『はだしのゲンはまだ怒っている』に登場する語り継ぐ人々

企画・監督・編集:込山正徳監督メッセージ

記事写真 私の祖父は東京大空襲で殺され、骨も出てこなかったそうです。母親はその悲惨な出来事を、私が子どもの頃、何度も語っていました。現代は、あの戦争のことを語る方が高齢になり、戦争によって苦しんだ記憶を皮膚感覚で知る機会が、極端に減りました。辛い記憶が伝承されないことに危惧を感じています。また戦争が起こるのではと。戦争によって命を落とすのは一般人なのに、なぜ我々は戦争を止められないのでしょうか。未だに核兵器によって、他国を脅すことが普通に行われています。人類は、ヒロシマ、ナガサキから何を学んだのでしょうか。「はだしのゲン」から学ぶことは、たくさんあります。この映画から感じ取っていただけたら幸いです。

プロデューサー:高橋良美さんメッセージ

記事写真 2024年に放送したテレビ番組「『はだしのゲン』の熱伝導~原爆漫画を伝える人々」が、より力強い内容になり、映画となりました。BS12が自ら映画を作ることはこれが初めてです。この作品のテーマは、「怒り」。「なぜこんな目に合わなければいけないのか」というゲンの怒り、その怒りを今に伝える人々の熱を感じてほしい、その思いで映画化までたどり着きました。ゲンの怒りは、2025年のこの今にこそ伝えるべきものだと、思いはますます強くなっています。

共同プロデューサー:大島新さんメッセージ

記事写真 込山正徳監督とはもう30年の付き合いになる。ずっと尊敬する先輩ディレクターだったが、目標にするのは早くから諦めた。なぜなら「込山スタイル」は、とても真似ができないから。込山さんは、人懐こい笑顔と優しい人柄で、難しい被写体とも自然体で向き合う。差別に苦しむ人たちや難病患者、百姓家族や悪ガキたちにカメラを向け、数々の傑作ドキュメンタリーを作ってきた。そんな込山さんが初めて映画に挑んだのが「はだしのゲン」だ。ところが今回の込山さんは、いつもとちょっと違う。果てしない優しさに、静かな「怒り」が加わった。映画は叫んでいる。「日本人よ、人類よ、これでいいのだろうか」と。
ポスター

はだしのゲンはまだ怒っている

  • 企画・監督・編集:込山正徳
  • プロデューサー:高橋良美/木村利香
  • 共同プロデューサー:大島新/前田亜紀
  • 制作:東京サウンド・プロダクション
  • 制作協力:ネツゲン
  • 宣伝協力:リガード
  • 配給:アギィ
  • 製作:BS12 トゥエルビ

  • 2025年/カラー/DCP/16:9/90分

2025年11月 東京・ポレポレ東中野 広島・サロンシネマ ほか全国順次公開

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