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筒井真理子さん髙田万作さんW主演の佐藤慶紀監督新作『もういちどみつめる』11月公開

 筒井真理子さんと髙田万作さんのダブル主演で、少年院を出た若者と生きづらさを抱えた彼の叔母の“心の触れ合い”を描く佐藤慶紀監督『もういちどみつめる』が11月22日より東京の新宿K's cinemaほか全国順次公開されることが発表され、場面写真と佐藤監督のコメントが解禁されました。

 『もういちどみつめて』は、山のキャンプ場を舞台に、生まれつき行動や感覚に周囲とのズレがある女性・典子と、典子の姉の息子であり少年院入所の過去と複雑な家庭環境を持つ18歳の青年・ユウキ、それぞれに違った理由で「生きづらさ」を抱えるふたり、そして絶滅に瀕する希少なコケを探す学生・由香理の交流を通して、対話することの重要性を描いた作品。

 監督は、フリーのディレクターとして活動しつつ映画制作をおこない、第21回釜山国際映画祭に種品された長編第2作『HER MOTHER 娘を殺した死刑囚との対話』(2016年)では娘を殺された母親と加害者である娘の夫の対話を描いた佐藤慶紀(さとう・よしのり)監督。
 2022年の少年法改正により18歳・19歳にも厳罰化が図られたことへの疑問から作品制作を思い立ち、そこから浮かび上がる「生きづらさ」をテーマに『もういちどみつめる』を生み出しました。

記事写真

解禁された『もういちどみつめる』場面写真。筒井真理子さん演じる典子(右)と、髙田万作さん演じるユウキ

 典子を演じるのは、主演作『淵に立つ』2016年/深田晃司監督)『よこがお』(2018年/深田晃司監督)『波紋』(2022年/荻上直子監督)で多くの映画賞に輝いた筒井真理子さん。ユウキを演じるのは、三宅唱監督の新作『旅と日々』(2025年)出演で話題の髙田万作さん。現在の日本映画界に欠かせない名優と期待の若手俳優がダブル主演をつとめています。
 そのほか、典子の理解者である明夫役には『HER MOTHER』にも出演していたにしやま由きひろさん、典子の息子でユウキと同い年の健二には第30回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストDDセルフプロデュース賞を受賞した徳永智加来(とくなが・ちから)さん、希少なコケを探す学生・由香理には2020年開催のSTARDUST × sweet モデルオーディションでグランプリに輝いた中澤実子(なかざわ・みこ)さん、さらに、第16回「FINEBOYS」専属モデルオーディションファイナリストの吉開湧気(よしがい・ゆうき)さん、アイドルグループ・HUNNY BEEのメンバーでミュージカルなどに出演するリコさん、「くまをまつ」(2024年/滝野弘仁監督)などの内田周作さん、『Chime』(2024年/黒沢清監督)などの川添野愛(かわぞえ・のあ)さんが共演しています。

 公開決定にあたり、佐藤監督は次のようにコメントを発表しています。

監督・脚本・編集・プロデューサー:佐藤慶紀監督コメント

本作は、18・19歳の厳罰化を目的とした、2022年の少年法改正に対して抱いた疑問から制作を始めました。

この改正には、多くの専門家から「更生の機会を奪い、少年法の理念に反する」といった倫理的な批判や、「統計的に少年犯罪は減少傾向にある」といった実証的な批判もあり、私もそうした指摘に同意します。ただ同時に、「なぜ、厳罰の対象となるような事件が起きてしまうのか」「未然にそれを防ぐことはできないのか」という根本的な問いに向き合いたいと思いました。

その過程で、「生きづらさ」というテーマが浮かび上がってきました。

本作では、生きづらさを抱えているのは少年院を出所したユウキだけではありません。彼が訪ねる叔母・典子もまた、異なるかたちで生きづらさと向き合っています。ユウキの場合は、家庭環境や社会との関わりのなかで生まれた心理的な要因によるものです。一方で典子は、持って生まれた感覚や行動の傾向が、日常生活の中で周囲とずれてしまい、それが生きづらさにつながっています。

そうしたふたりが、相手の「生きづらさ」にどう気づいていくのか。そして、そのなかで「対話」はどのような役割を果たしうるのか描きたいと思いました。

また本作では、自然をただの背景としてではなく、出演者と同等の存在として捉えたいと思いました。絶滅に瀕した原始植物を探す由香理の姿には、言葉にならない違和感や感覚に導かれるもうひとつの対話を重ねています。声なき自然の道理に触れることが、何かを見つめ直すきっかけになればと思いました。

主演の筒井真理子さんはもちろん、髙田万作くんも、非常に感受性が豊かで、繊細な表現ができる俳優です。特に、ふたりの対話シーンでは、お互いの「私」がふっと消えているように感じる瞬間がありました。それはふたつの存在の響き合いのように感じ、素晴らしかったです。

本作では、夕闇や夜明け前の、景色と輪郭が溶け合い、一体感を感じられるひとときを大切に撮影しました。ぜひ、劇場でご覧いただけたら嬉しいです。

 実力派俳優陣と次代を担っていくであろう期待の若手キャストの出演で真摯にテーマに向き合っていく『もういちどみつめる』は、11月22日土曜日より東京の新宿K's cinemaほか全国順次公開されます。

記事写真

解禁された『もういちどみつめる』場面写真。筒井真理子さん演じる典子(左)と、にしやま由きひろさん演じる明夫

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解禁された『もういちどみつめる』場面写真。徳永智加来さん演じる健二(右)と、中澤実子さん演じる由香理(右)、リコさん演じる大学の友人

『もういちどみつめる』ストーリー

 山のキャンプ場を営む典子の元に突然の来訪者がやって来る。それは、1年前に少年院を出所した甥っ子のユウキ。ユウキは、典子の姉である母親を探していると、このキャンプ場にやってきたが、典子が義理の兄に電話すると、ユウキと義理の兄はうまくいっていないとのこと。ユウキにキャンプ場でバイトをさせてあげ、「私にできることは、あなたの話を聞くことだけ」と寄り添う典子は、近所に住む明夫によると、人の表情を読み取るのが苦手で、言葉が大事。「世界の見方は皆同じじゃない」と言う典子に、次第に心を許していくユウキ。
 そんなある日、典子の息子でユウキの同い年の従兄弟である健二が、大学の友達とキャンプにやってくる。森の植物や星など、ユウキと由香理が共通の話題で盛り上がるのを見て嫉妬した健二は…

もういちどみつめる

  • 筒井真理子 髙田万作
    にしやま由きひろ 徳永智加来 中澤実子 吉開湧気 リコ(HUNNY BEE) 内田周作 川添野愛

  • 監督・脚本・編集・プロデューサー:佐藤慶紀
  • プロデューサー:小林良二
  • 撮影:喜多村朋充/大渡仁
  • 録音・スチール:近藤俊哉
  • 助監督:齋藤成郎
  • メイク:桐山雄輔
  • 衣裳:チバヤスヒロ
  • 音楽:中野晃汰
  • 配給:渋谷プロダクション
  • 制作:Aerial Films

  • 2025年/ヨーロピアンビスタ/ステレオ/113分

2025年11月22日(土) 新宿K's cinema ほか全国順次公開

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