世界のクィア映画祭で高い評価を受ける東海林毅監督がコミックを原作にトランスジェンダーの青春を描く中川未悠さん主演『となりのとらんす少女ちゃん』に、はるな愛さんが出演することが発表されました。作品は2026年の公開を目指して制作中で、現在クラウドファンディングがおこなわれています。
トランスジェンダーの青春を描く東海林毅監督『となりのとらんす少女ちゃん』にはるな愛さん出演
『となりのとらんす少女ちゃん』は、トランスジェンダー当事者である「とら少」さんによる同名コミックの実写映画化。中学生の少年のもとに、未来の自分自身がトランスジェンダー女性として現れることから始まるコメディ作品となっています。
脚本・監督は東海林毅(しょうじ・つよし)監督。これまで『片袖の魚』(2021年)で日本初となるトランスジェンダー俳優の一般公募オーディションをおこない、『老ナルキソス』(短編版2017年・長編版2022年)で高齢世代のゲイを描くなど、作品を通してLGBTQ+と社会の関わりを探り続け、世界各地のクィア映画祭で高い評価を受けている東海林監督が、クィアの当事者たちも明るく笑える作品を目指して作品づくりに取り組みます。
主人公・ユウカ役には、トランスジェンダー当事者であり、11月14日に公開を控える『ブルーボーイ事件』(2025年/飯塚花笑監督)で演技未経験ながら主演に抜擢され注目を集めている中川美悠さん起用されています。
そしてこのほど、新たにはるな愛さんの出演が発表されました。
はるな愛さんが演じるのは、主人公・ユウカの母親。日本でトランスジェンダーという言葉がまだ一般的ではなかった時代からニューハーフタレントとして芸能界の第一線で活躍してきたはるな愛さんにとって、ニューハーフやトランスジェンダーでない母親役はキャリア初となり、映画出演を通して若いトランスジェンダー当事者をサポートするとともに、はるなさん自身にとっても新境地となる出演となっています。
出演発表にあたり、はるなさん、中川未悠さん、東海林毅監督がコメントを発表。はるなさんは母親役に感じる思いを、中川未悠さんはその活躍に勇気づけられたというはるなさんと共演する喜びを、それぞれ述べ、東海林監督は長く活躍してきたはるな愛さんが作品に参加する意義を語っています。
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主人公・ユウカの母親役:はるな愛さんコメント
今回、トランスジェンダーの子供を持つ母親役という役柄を与えて頂き、興奮していると同時に楽しみな気持ちでいっぱいです。親子の関係をお芝居を通じて体験することで、改めて、私の母親があの時どう思っていたのか?どう考えていたのか?それを、この映画を通じて体感したいと思います。全力で演じます。是非ご覧ください。
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主人公・ユウカ役:中川未悠さんコメント
私が性別に悩んでいた時にテレビで活躍されていたはるな愛さんを拝見して、凄くたくさん勇気をいただきました!共演させていただくことが夢みたいです。お母さん役と聞いて、はるな愛さんの優しい雰囲気がピッタリだと思いました。これからの撮影が楽しみです!!!
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東海林毅監督コメント
性的マイノリティは世代によって呼び名や社会での受け入れられ方に違いがあり、時にはそれが世代間の分断の原因になることすらあります。この作品が、はるな愛さんのように長く活躍されている方と、中川未悠さんや原作のとら少さんのようにこれから活躍が期待される世代との接着剤になれることを嬉しく思います。
日本にはクィア映画製作を支援する基金や団体がないことから、映画『となりのとらんす少女ちゃん』製作にあたってはクラウドファンディングがおこなわれており、5月のスタート後2週間で目標額の200万円を達成し、さらにストレッチゴールの330万円も達成。クラウドファンディングは9月9日まで引き続きおこなわれます。

実写映画「となりのとらんす少女ちゃん」製作応援プロジェクト
- 実施期間:2025年5月14日(水)より9月9日(火) 23時59分まで
- URL:https://motion-gallery.net/projects/tonatoramovie
- 目標額:200万円 ※達成/ストレッチゴール:330万円 ※達成
- リターン:エンドロールに名前掲載・オンライン試写招待など 法人・団体向け上映権付きの支援コースも
中核となるスタッフには、撮影に『夏目アラタの結婚』(2024年/堤幸彦監督)中国映画『戦慄のリンク』(2020年/鶴田法男監督)や大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年)などの神田創さん、音楽には『舟を編む』(2013年/石井裕也監督)で第37回日本アカデミー賞優秀音楽賞を受賞した渡邊崇さんと、過去の東海林監督作品にも参加しているスタッフの参加が決定。
また、被災地域である福島県沿岸部の14市町村からなる相双地区のフィルムコミッション・一般社団法人相双フィルムコミッションの全面協力のもと、撮影の一部を福島県の浜通り地区でおこなうことが決定しています。
トランスジェンダーへの強い差別感情が世界中に溢れる現状だからこそコメディをという東海林監督の思いが込められた『となりのとらんす少女ちゃん』は、2026年公開を目指して制作進行中。今後の情報も楽しみです。
原作「となりのとらんす少女ちゃん」

- トランスジェンダー当事者であり、SNSで作品を発表して話題となった「とら少」さん初の短編作品州。ネットで発表した作品をリメイクした3編に新作1編を加え「退廃的なとらんすちゃん」「弟はとらんすちゃん」「未来から来たとらんすちゃん」「似つかわしいとらんすちゃん」の4編が収録されており、制作中の映画はその中から「未来から来たとらんすちゃん」を原作にしている
- 著者:とら少
- 発行:在野社
- ISBN978-4-9913920-0-9
- 定価:【紙書籍】本体1650円+税 【電子書籍】本体1000円+税
- 出版社の書籍公式ページ
『となりのとらんす少女ちゃん』ストーリー
未来のオレはトランスガール!?
中学二年生のユウタは未来からやって来た自分自身=トランスジェンダー女性のユウカから、大人の身体になる前に今すぐ女になるよう説得される。自分の性別違和にうっすら気づいていたユウタだが、あまりに強引で自己中心的なユウカに反発。
ユウタの親友・遠野マサキも巻き込み、女にしたいユウカと、男でいたいユウタの攻防がはじまる!
となりのとらんす少女ちゃん
- 中川未悠 はるな愛
- 原作:とら少「となりのとらんす少女ちゃん」(在野社)より「未来から来たとらんすちゃん」
- 監督・脚本:東海林毅
- 製作プロダクション:みのむしフィルム株式会社
2026年公開予定