SKIPシティ国際Ｄシネマ映画祭２０２４で観客賞を受賞するなど国内外の映画祭で注目を集めた『雨花蓮歌』（うくわれんが）が10月25日より東京の新宿K's cinemaほか全国順次公開されることが発表され、ポスターヴィジュアルと場面写真、予告編や、朴正一監督とキャストのコメントが解禁されました。

　日本人高校生の日系ブラジル人学校への訪問を通して在日外国人の現在を描いた短編『ムイトプラゼール』（２０２０年）がSKIPシティ国際Ｄシネマ映画祭２０２０国内コンペティション短編部門で観客賞を受賞し、２０２２年に劇場公開を果たした朴正一（ぱく・まさかず／ぱく・じょんいる）監督。その初の長編監督作となるのが『雨花蓮歌』です。
　在日三世である朴監督自身の経験とさまざまな国籍の若い世代への取材で得られた声から生まれた作品で、主人公の大学生・ハルミの経験を通して“十人十色な生きる選択”が描かれていきます。

　ハルミを演じるのは「アサルトリリィ」シリーズなどの舞台や映像作品で活躍し『ムイトプラゼール』に続いての朴監督作品出演となる山﨑悠稀（やまざき・ゆうき）さん。
　ハルミの姉で恋人との結婚を考えているレイコ役には『１秒先の彼』（２０２３年／山下敦弘監督）『ぼくが生きてる、ふたつの世界』（２０２４年／呉美保監督）など映画を中心に活動する齊藤由衣さん。
　レイコの恋人・シゲル役にはミュージカル「刀剣乱舞」シリーズなど舞台や映画・ドラマに出演する林光哲（はやし・みつあき）さん。
　次代を担っていく若手俳優たちが揃いました。

　SKIPシティ国際Ｄシネマ映画祭２０２４国内コンペティション長編部門で観客賞受賞や、第28回うえだ城下町映画祭自主制作映画コンテスト 審査員賞（古厩智之賞）受賞、ドイツで開催されたNIPPON CONNECTION2025出品など、国内外の映画祭で注目を集めてきた『雨花蓮歌』が、10月より劇場公開されます。

　公開決定に合わせて解禁されたポスターヴィジュアルは、主人公・ハルミの表情に「わたしは、わたしを、生きていく。」というコピーが印象的なデザイン。
　予告編は、ハルミとレイコの何気ない会話で幕を開け、登場人物ひとりひとりを映し出しながら、それぞれが抱えるものを予感させるような映像となっています。

　そして、公開決定にあたり、朴正一監督、山﨑悠稀さん、齊藤由衣さん、林光哲さんが、それぞれコメントを発表しています。

朴正一監督コメント

前作を日系ブラジル人の仲間たちと撮影した後、今回は自分自身のアイデンティティをテーマに作品を撮ってみたいと思いました。とはいえ、前作と同様に特定の国籍や人種、立場の人々に向けて描いたわけではありません。誰もが抱える心の葛藤や揺らぎ、他者との意思疎通の中で生まれる壁などを、登場人物たちを通して表現したつもりです。
その結果、「在日コリアンと」という題材を忘れさせるような、誰もが共感しうる青春映画を完成させることができたと自負しています。この作品が、これまでの私の人生で出会い、つながってきた人たち、また多くの観客の皆さまへ届けば嬉しく思います。

ハルミ役：山﨑悠稀さんコメント

私が演じたハルミは普通の大学生です。友達と楽しく話し、遊び、家族とご飯を食べ、他の皆と何ら変わらない生活を送ります。ただ1つ違うのは、在日韓国人であるということ。その1つが、彼女を取り巻く環境を少しずつ変えていきます。その1つに向き合っていく女性を演じさせていただきました。
演じていく際、朴監督はどんな些細なことも私に尋ね、委ねてくれました。今の若者の意見を、今の世界を教えてくれと言わんばかりに。一介の女優にすぎない私に、この世界に触れる権利をくれました。
それから私の意見や、姉役を演じられた由衣さんなど、様々な人の生きてきた経験、感じてきた価値観を皆で擦り合わせ、この作品が完成したように思います。だからこそ、この作品は様々な視点から描かれているのだと思います。そんな作品に出演出来たこと、朴監督の優しさ、思い、全てが宝物です。
そしてこれからご覧になる皆様には、是非自分の視点でご覧いただきたいです。感じたこと、思ったこと、それは皆様だけのもので、とても素敵な事だと思うのです。皆様の人生に、少しの視点が増えたら、それが何よりも嬉しい事だと思います。

レイコ役：齊藤由衣さんコメント

長女のレイコ役の齊藤由衣です。家族との食事・姉妹の会話・友達や恋人と過ごす時間など、何気ないけれどとても豊かな日常を描きながら、その中で抱える期待や悩みを穏やかに優しく映し出している作品です。
一人一人それぞれが大切にしているものが違う中、人間関係が上手くいかずに孤独や不安を感じ葛藤する事が、私だけでなく多くの方々にあると思います。相手への思いやり、人との関わりの大切さ、普段何となくやり過ごしてしまう物事への感じ方を、麗子を演じることで改めて気付かせてもらい、完成した作品を観てまた心に沁みました。
是非スクリーンで観て頂けたら嬉しいです！よろしくお願いします！！

シゲル役：林光哲さんコメント

主人公ハルミの姉レイコの恋人を演じさせていただきました。監督さん、スタッフさん、共演者の皆さんがとても温かく楽しい現場でした。自分が演じたシゲルは人を差別するような感覚を持ち合わせていない人。そんな彼は恋人の家族のいざこざに巻き込まれる形となるのですが、そんな状況でも自分を変えない芯が強い人だと思います。
これからご覧いただく方へ、肩に力を入れずに楽しめる作品だと思います。ご自分を各キャラクターに置き換えて観てみると新しい発見があるかも。

　何気ない生活を贈りながらも、家族との関係や周囲の言葉に心を揺らす主人公の姿を通して「その人自身」を受け入れることを描いていく『雨花蓮歌』は、10月25日土曜日より、東京の新宿K's cinemaで公開。ほか、全国順次公開されます。

『雨花蓮歌』ストーリー

大学生のハルミは学生生活を何気なく送りながらも、友人のさりげない言葉や、家族関係に悩まされていた。ハルミの姉レイコは、結婚を考えている。しかし、在日二世の母や周囲はその恋人に反対する。次第に彼女たちはまわりと、小さな衝突を繰り返すようになる。それは、相手を愛するが故に起こることだった。
愛することは、ときにむずかしい。けれど、誰にだって、幸せになる権利はある。
これは、かけがえのない“わたし”と、大切な“あなた”とともにあゆむ物語。