日本映画専門情報サイト:fjmovie.com

fjmovie.comトップページニュース一覧>藤原季節さん主演で在野の考古学者の若き日を描く金子雅和監督『赤土に眠る』2027年春公開

藤原季節さん主演で在野の考古学者の若き日を描く金子雅和監督『赤土に眠る』2027年春公開

 大きな功績を残した考古学研究者の故・相澤忠洋さんの若き日が、藤原季節さんの主演、金子雅和監督のメガホンで『赤土に眠る』として映画化され、2027年春に劇場公開されることが発表されました。相澤さんの発見の地となった群馬県みどり市によるプロジェクトとして制作され、10月よりみどり市を中心に群馬県周辺で撮影が開始されます。

記事写真

『赤土に眠る』制作発表会見でタイトルパネルを持つ主演の藤原季節さん(提供写真)

 1926年生まれの故・相澤忠洋さんは、独学で考古学を学び行商の仕事をしながら群馬県を中心に調査研究を続けた在野の研究者。1946年には、現在のみどり市にあたる新田郡笠懸村岩宿の関東ローム層から石器を発見し、それまでの定説を覆し日本列島に旧石器時代が存在したことを証明しました。
 2026年に相澤さんの生誕100周年と岩宿遺跡発見80周年、みどり市誕生20周年を迎え、さらに相澤さんの研究資料などを展示する岩宿博物館がリニューアルオープン予定と、メモリアルイヤーが重なることから、相澤さんの功績を改めて伝える映画制作プロジェクトが2024年にスタート。『アルビノの木』(2016年)『リング・ワンダリング』(2022年)『光る川』(2024年)など、自然と人間を捉える独自の視点と映像美で海外でも高い評価を受ける金子雅和監督がメガホンをとることが2024年12月に発表されていました。

 そして去る9月16日、みどり市の岩宿博物館で制作発表会見がおこなわれ、主演が藤原季節さんに決定、タイトルが『赤土に眠る』に決定し、2027年春に劇場公開されることが発表されました。

記事写真

『赤土に眠る』制作発表会見に出席した藤原季節さん(中央)、金子雅和監督(左)、須藤昭男みどり市市長(提供写真)

 会見には須藤昭男みどり市市長と金子雅和監督、藤原季節さんが出席。

 『辰巳』(2024年/小路紘史監督)や主演作『あるいは、ユートピア』(2024年/金允洙監督)、WOWOWドラマ「災」(2025年)など話題作への出演が続く藤原さんは「大きなプロジェクトかつ、責任の伴うプロジェクトだと思うんですけど、そんな大役を自分という未熟な俳優に任せていただけて、すごく責任感を感じています」とコメント。舞台である群馬にも考古学にもこれまで縁がなかったことから、もっと役にふさわしい人がいるのではという気持ちもあったと明かしつつ「このようなご縁をいただけたということで、この縁を自分なりに育てていかないといけないって思いました」と心境を述べました。
 藤原さんはさらに、相澤さんが石器を発見した岩宿遺跡を実際に訪れて当時の相澤さんに思いを馳せたときに相澤さんの姿が見えたような気がしたと話し「そのときに、この人を演じたいと思えて」と役への思いを。その後もかつて相澤さんが住んでいた場所などを訪れ「ひとつひとつの縁だったり思い入れを自分の中に取り込んで作業をやっている最中です」と、実在の人物を演じるにあたっての取り組みを話しました。

 金子監督は藤原さんについて、出演作を観たり周囲の映画関係者からの評価を聞いて「いつかガッツリとご一緒したいなと思っていました」と話し、作品の規模にかかわらず真摯に作品に取り組んでいる藤原さんの姿勢が、地位や名誉などのためでなくひたむきに発掘作業を続けた相澤さんの姿勢と重なる印象があると述べると「相澤さんという人物を描くにおいて、藤原さんの俳優としての姿勢が、必ずこの作品を成功に導いてくれるものだと思っていますし、藤原さんとともにやれば、この作品は素晴らしいものになると信じています」と、藤原さんへの信頼を覗かせました。

 須藤昭男市長は「国内のいろんな方に相澤さんの生き様を見ていただく、そして旧石器時代を日本列島で初めて発見した相澤忠洋さんという人を全世界にアピールできれば」と、国内でのロードショーに留まらず海外の映画祭への出品にも意欲を見せ「映画を観た方々が、国内はもとより海外からもロケ地巡りをしていただいて、さらに交流人口が増え、みどり市が全国にアピールできるような、そんな地域ができるといいなと思っています」と期待を寄せました。

 藤原さんが「この映画が自分の最後の作品になっても悔いはないというような気持ちで臨みたいと思えるくらい素晴らしい脚本になっていると思います。ぜひ楽しみにしていてください」と意気込みを見せ、金子監督が「お客様がとにかくいい映画を観たと思えるようなものを完成させたい」のに加えて映画への感動が相澤忠洋さんや岩宿への興味につながれば「それがベストなかたちではないかと思います」と展望を語る『赤土に眠る』は、2025年10月より11月にかけてみどり市を中心に群馬県周辺で撮影され、2027年春の公開を予定。作品の完成と今後の情報にも期待です。

記事写真

『赤土に眠る』制作発表会見にて、岩宿遺跡の時代に生息したマンモスの骨格標本をバックに、みどり市のマスコットキャラクター・みどモスと並ぶ藤原季節さん、金子雅和監督、須藤昭男みどり市市長。金子監督の手には石器のレプリカが(提供写真)

赤土に眠る

  • 主演:藤原季節
  • 監督・脚本:金子雅和

  • 配給:東京テアトル

2027年春 全国ロードショー

スポンサーリンク