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『呪怨 白い老女』『呪怨 黒い少女』原案&監修・清水崇さんインタビュー

清水崇さん写真 1999年、オリジナルビデオ版『呪怨』『呪怨2』発売。2003年、劇場版『呪怨』が東京・大阪2館での公開から全国100館以上に公開規模を拡大する異例のヒットとなり、続編『呪怨2』も大ヒット。2004年、清水崇監督自身の手によるハリウッド版『THE JUON 呪怨』(原題『The Grudge』)公開、全米ナンバー1ヒットを記録。2006年、ハリウッド版第2作『呪怨 パンデミック』(原題『The Grudge2』)公開。そして2009年――
 これまでにない恐怖表現で日本のみならず世界を震撼させ、日本のホラーの代名詞的存在となった『呪怨』シリーズが、原点であるオリジナルビデオ版発売から10周年となる今年、新たな展開を見せます。
 日本では6年ぶりとなる新作『呪怨 白い老女』『呪怨 黒い少女』でメガホンをとったのは、シリーズの生みの親・清水崇監督ではなく、三宅隆太監督(『白い老女』)、安里麻里監督(『黒い少女』)のふたり。
 ふたりの才能に新作を委ね、新たな領域へと踏み込んだ『呪怨』シリーズ。新生『呪怨』はどのように生まれ、そしてどこへ向かうのか? 新作では原案・監修として参加した清水崇さんにお話をうかがいました。

清水崇(しみず・たかし)さんプロフィール

1972年生まれ、群馬県出身。大学で演劇を学び、助監督として現場入り。脚本家・高橋洋氏と映画監督・黒沢清氏の推薦により関西テレビ「学校の怪談G」(1998年)の短編で監督デビュー。その後、オリジナルビデオ作品「呪怨」「呪怨2」(1999年)を監督し、ホラーファンの間で評判となる。2003年公開の劇場版『呪怨』と続編『呪怨2』が大ヒットを記録し、同作品のハリウッドリメイクとなる『THE JUON 呪怨』(2004年)では、日本人監督初となる全米興行成績1位を記録した。
ほかの監督作に『富江 Re-birth』(2001年)、『稀人』(2004年)、『輪廻』(2006年)、『呪怨 パンデミック』(2006年・米)、テレビシリーズ「怪奇大家族」(2004年)など。劇場公開最新作はオムニバス作品『非女子図鑑』。また、日本初のデジタル3D実写長編映画となる『戦慄迷宮3D』が10月公開予定。

「これまでの世界観を離れて、清水の『呪怨』とは違うものをやってほしかった」

―― 今回『呪怨 白い老女』『呪怨 黒い少女』として『呪怨』シリーズが復活するということで、正直かなり驚きました。

清水:ぼくも驚きました(笑)。

―― (笑)。清水さんには最初に一瀬隆重プロデューサーからお話があったんだと思うんですけど、そのときは率直にどう思われました?

清水:「もういいです」って(笑)。今回はまず先にゲーム化(7月発売のWii用 ゲームソフト“恐怖体感「呪怨」”)の話があって、それから「どうせなら10周年だし、真新しい試みを!」という流れがあって、新作の企画になったんです。それで原案者として「清水に相談してみるか?」っていうことだったと思うんですけど、ぼくは「やるからにはちゃんと口出ししますよ」ということで、原案・監修として入ることになったんです。

―― 最初の「もういいです」というのは、あんまり積極的ではなかったということですか?(笑)

清水:実は、これ以上『呪怨』で引っ張るのはもういいんじゃないかと思っていたんです(笑)。やっぱり、ぼくのことを知っていてくれる人からは「『呪怨』を撮った清水さん」という言われ方をずっとされていますし、それはもちろんリメイク版とかで続いているからなんですけど、そろそろ違ったタイトルの代表作を作らねばなという意識もあったんです。それで『呪怨』からちょっと離れようと思っていたので、「え、また?」っていう感じだったんですけど、「10周年だし」と言われて「ああ、もう10年経っていたんだ」っていう感じでしたね。

―― 今回は、復活自体も驚きだったんですけど、ほかの監督が撮るというのがそれ以上に驚きだったんです。いまは試写で作品を観たあとなので印象変わっているんですけど、最初はやはり『呪怨』は清水さんのオリジナルということもあるし、作り手である清水さんと切り離せない作品という感じがあったんです。

清水:ぼく自身もそういう意識はありましたね。ただ、ヒットしてくれたことでマンガになったりノベライズされたりする中で、自分の手を離れていっているというのは感じていましたし、あと、アメリカ版の続編が低予算のDVDストレート(劇場公開しない作品)ですけど『The Grudge3』(2009年/トビー・ウィルキンス監督)というかたちで、まったく違うアメリカの監督に委ねたというのもあったんです。その一方で、日本で『呪怨3』があるとしたら自分がやりたいっていう意識はあったんですけど、今回は原点回帰で、ぼくがやってきた伽椰子と俊雄の世界とは違ったものをということだったので、そういうことだったら面白いし、これまでの世界観を離れて、清水の『呪怨』とは違うものをやってほしかった。だからぼくも、どんな作品になるのか完成を楽しみにしたいと思ったんです。とはいえ、自分も参加するからには、楽しみにするだけじゃなくって、ちゃんと監督のサポートになるようなことをやらなければならないし、そうでなければ意味がないなと思っていました。

―― 記者会見の際の一瀬プロデューサーのお話ですと、かなりの候補者から監督を選ばれたということでしたが?

『呪怨 白い老女』スチール

三宅隆太監督『呪怨 白い老女』より。ある一家を襲った惨劇から恐怖が始まる

清水:ええ、一瀬さんが何人かの名前を挙げていまして、東映ビデオの加藤さん(加藤和夫エグゼクティブ・プロデューサー)も挙げていたのかな。それから黒沢清さんが推薦した人もいて、その人は学生でまったくの新人ですね。もちろんぼくが推薦した人もいました。それで、名前の挙がった人たちにプロットを書いてもらったんです。ぼくはスケジュール的な都合で遅れて参加したので、その段階で名前が挙がっていたのは6、7人だったんですけど、その前に加藤さんと一瀬さんで絞っていたみたいで、最初の段階では10何人くらいいらっしゃったと思います。

―― それで三宅隆太監督と安里麻里監督のおふたりに決まるわけですが、おふたりとも清水さんとはかなり縁の深いおふたりですよね。

清水:前から知っていましたしね。でも、実はそこは偶然なんですよ。ぼくが入った時点で一瀬さんからすでに名前が挙がっていたので「えっ、三宅さんと安里さんも入っているんですか?」って。おふたりとも言ってみればぼくと同期に近いくらいですし、三宅さんはぼくなんかよりホラーに造詣の深い方ですから「ぼくがどうこう言える感じじゃないんじゃないですか?」って言ったんですけど、「いや、それは『呪怨』だからいいんだよ」って(笑)。

―― おふたりとも、すでに実績や経験もある監督さんですけど、そこが決め手となったわけではないんですか?

清水:ではないですね、プロットの選考でおふたりになったということで。ぼくは逆に、同期とか先輩だとかは関係なく「こういう作品を作っている人が『呪怨』を撮ったらどうなるんだろう?」っていう飛び道具的な人を紹介していたんです。なので「たしかにこの人のは観たいけど、飛びすぎじゃないですか?」って(笑)。それは原点回帰じゃなくて新しい方向性になってしまうので「今回は原点回帰がテーマなんで」って一瀬さんと加藤さんに言われて「あ、なるほど」というのはありました(笑)。

―― 会見では「『呪怨』から離れすぎてる作品があった」みたいなお話もありましたけど。

清水:そうそう(笑)。「これは面白いけど『呪怨』の枠にはめられないし、違うタイトルで違う企画として扱ったほうがいいんじゃない?」っていうのもあったんですね。今回はあくまで『呪怨』の新生シリーズということだったので選ばれなかったんですけど、監督として見たら「あの人はこれからなにをやらかしてくれるか楽しみだね」って、ぼくも一瀬さんも加藤さんも意見が一致するくらい期待できる人ばかりでした。

「映像を観て“あっ、『呪怨』になる”って初めて思った」

―― 監督のおふたりが決まってからは、清水さんはどんなかたちで作品に携わられたのでしょうか?

清水:ホン(脚本)の直しですね。大体こういうことをやりたいのねっていうのが固まるまで、毎回、脚本の直しに参加して、一瀬さんとぼくとで「何ページのあのシーンのここはこうで」とかいろいろ言ってました(笑)。最初はぼくも、ふたりとも知っているということもあって気を遣っていたところがあったんですけど、ふたりとも「いや、『呪怨』なんですから腹をくくっているのでどんどん言ってください」という感じだったんです。それで、ぼくがスケジュール的な問題があって打ち合わせに参加できないときにはメールで意見を送ったりとか、そろそろ撮影に入るというときには両監督に電話して「一瀬さんとやりづらいことがあったら、なんかできるかもしれないから言ってくれ」とか(笑)。そのあとキャスティングについては、ぼくまで入ると泥仕合になると思ったので1回身を引いて、撮影中もあんまり三宅さんや安里さんが意識するといけないということで、1回見学に顔出すくらいでしたね。

―― 脚本作りの段階で、清水さんから「これは必ずやってほしい」とか、逆に「これはやめてほしい」とか要望したことってあるんですか?

清水:いや、細かくはないですね。今回は『呪怨』のシリーズでありながら新しいものを作るということで、どうルールを作るかを一瀬さんと加藤さんとぼくで話しあって「伽椰子と俊雄で、あの家での話というのはやめよう」となったんです。その上でなにが『呪怨』になるのかといえば、それは構成なんじゃないかと。構成は監督によって描き方が違うだろうけど、時間軸をバラバラにするとか、短編の綴りのようにしてほしいというのは、一瀬さんと加藤さんとぼくの話しあいの中で決まっていたんです。だから、ぼくから言ったのはもっと抽象的なことで、自分の世界観でやってほしいし、いままであった“『呪怨』=清水”みたいなところは平気で壊してほしいということですね。

―― 脚本が完成に近づいて、全貌が見えてきたときはどう思われました?

『呪怨 黒い少女』スチール

安里麻里監督『呪怨 黒い少女』より。謎の病気で入院した少女の秘密とは?

清水:三宅さんはやっぱり丁寧で緻密で、なんて真面目な作り方をする人だろうと思いました(笑)。原点回帰の第1弾をこの人にやってもらってバッチリだなって。2本目にやっている安里さんについては、少し飛んでほしいというのがあったので、安里さんのほうが悩んでいましたね。その中で白塗りに対抗して黒塗りという発想が出てきて「あ、飛んでくれた」って(笑)。だけど、この脚本が果たして新しい『呪怨』というタイトルにはまるだろうかというのが、楽しみであり心配ではありました。でも、結果的に見事にはめてくれましたね。そのあと編集でも平気でどんどん並び替えもやっていて、「並べ替えちゃっていいんじゃない?」っていうのはぼくもホンの段階から言っていましたし。

―― 現場にはほとんどノータッチということで、次に清水さんが関わるのは?

清水:次は仮編集ですね。監督が一瀬さんの意見も東映ビデオの意見も入れずに繋いだものを観て、意見を箇条書きにして「あくまで参考ということでいいからね」とメールで送って、反映させるところは反映させてもらって。

―― 映像になったものを観てどう思いました?

清水:「あっ、『呪怨』になる」って初めて思いました(笑)。三宅さんは脚本の段階でもかたちを気にしてくれていたので、ある程度見えてはいたんですけど、安里さんのは、ぼくからもどうなるか見えないものを追求していたので、映像を観て「ああ、なるほど」と思いましたね。

―― 試写で三宅監督の『白い老女』を観て驚いたのが、オムニバスの『怪談新耳袋 劇場版』(2004年)で三宅さんが監督した『姿見』とリンクしていますよね。それって清水さんが最初の『呪怨』でそれ以前にやった『学校の怪談G』をリンクさせたのと同じで()、そこまで『呪怨』を踏襲するのかって(笑)。

清水:三宅さんは当然『学校の怪談G』も観ていましたし、当初から「あの男の子(=俊雄)を『呪怨』に持ってきたのは正解でしたよね」って話をしていて「自分のそれにあたるゴーストキャラクターはないかな」って考え方をしていたらしいんですよ。それで、初めて三宅さんと脚本の打ち合わせをしたときに「やっぱり『姿見』の老女を出すべきじゃないですか」っていうのをぼくからも言ったし、三宅さんもそう考えていたんです。あれは原作の「新耳袋」に出てくるわけじゃなくて三宅さんが作ったものだから、BS-TBSの多聞さん(『怪談新耳袋』の丹羽多聞アンドリウプロデューサー)がOKならってことで(笑)。それを見事に自分のオリジナルゴーストキャラとして持ってきて、一瀬さんも『姿見』は知っていたので「なるほど」ということでした。

―― 三宅監督はそれ以外にも、清水さんが『呪怨』でやった細々としたことを踏襲してますよね。なんと細かいことをやる人なんだろうと(笑)。

清水:ほんと緻密なんですよ(笑)。

―― 個人的に三宅さんの『白い老女』が最初のビデオ版『呪怨』っぽくて、安里さんの『黒い少女』が劇場版『呪怨』っぽいかなという印象を受けたんですけど、それは特に意識されてはいなかったんですか?

清水:いや、そこまでは考えてなかったですね。単純に安里さんのほうには少し壊れてほしいというのがありましたけど。三宅さんはホラーに造詣が深いゆえにいろいろコントロールできると思ったし、安里さんはもともとアクションをやりたい人だったり、いろいろ違う方向性を持っている人なので、そっちにあわせて自分色のものを作ってもらえればと思っていたんです。それで安里さんは三宅さんの“『姿見』の老婆”ほど固まったものは持っていないだろうから、そこでいろいろ考えて黒塗りというところに行ったんだと思います。

―― 黒塗りという話が出たところで、『白い老女』『黒い少女』というサブタイトルはどう決まったんでしょうか?

清水:タイトルは、ぼくがけっこうこだわりましたね。『新呪怨』とか『黒い呪怨』とか、ほかの案があったので、ぼくは「いやいや、そうじゃない」と。「さんざん『呪○』とかいう作品がある中で、ちゃんと『呪怨』って謳った上でサブタイトルならわかるけど、『黒い呪怨』とかだとタイトルを真似した亜流の作品だと思われちゃう。そしたらせっかくの原点回帰が損じゃないですか」みたいな話をして、『呪怨 白い老女』『呪怨 黒い少女』で行くべきですと言ったんです。安里さんのはプロットからもともと少女の話だったし、三宅さんも最初から老女で行きたいということだったので、そこから発想してこのタイトルにしたんです。

  • :清水崇監督は、オリジナルビデオ版『呪怨』を手がける以前の1998年に、関西テレビの単発ドラマ『学校の怪談G』(のちにビデオソフト化)に参加している。この作品で清水監督が手がけた『片隅』『4444444444』という2本の短編はオリジナルビデオ版『呪怨』とつながる話となっており、『呪怨』のキャラクターである伽椰子と俊雄も登場している。

「“新しいものを作るぜ”という勢いは持ち続けたい」

―― 『呪怨』の10年って、日本におけるホラーというジャンルの状況が大きく変わった10年でもあったと思うんです。清水さんはそのほぼど真ん中にいらしたわけで、当事者の立場でこの10年というのはどうでした?

清水:そうですね、ぼくも結局『リング』とか『富江』のブームの中で出てこられたので。ただ、ホラーの監督としてデビューして、そのままホラーが得意技になるとは思っていなかったし、いきなり『呪怨』が代表作になるとは思っていなかったので不思議ですけど、“ブームだから撮らせてもらえた新人監督”で終わりたくないという意識はあったんです。そのうちホラーが続いてきたんで「あれ、いつホラーをやめたらいいんだろう?」ってなって(笑)。「ほかの方向もありますよ、できますよ」っていつ見せたらいいんだろうと思いつつも「ここまで来ちゃったら誰も行っていないところまで行こう」という意識がでてきて、最初は断っていたリメイク版を引き受けた感じがあったので、そういう意味ではワーっと持ち上げられて、あれよあれよという間の10年だったですね。でも、日本が誇れるものがここにあったというのを示せた10年だったとも思うんです。幽霊って文化のひとつだと思うんですよ。ほかの国にも影響を与えていますし、ホラー映画というものにメジャー感をちゃんと持たせられるということを示せたとは思います。ただ、一時期は作られ過ぎましたけどね(笑)。

―― ちょうど“作られ過ぎ”というのを聞こうと思ってたんですけど、さっきもちょっと話に出たように、特にオリジナルビデオ作品を中心に、タイトルが『呪怨』に似てたりとか、タイトルは違っても中身が『呪怨』や『リング』の上っ面だけをなぞったようなものとかが山ほど作られましたよね。そういう作品がたくさん出ている現状って、清水さんからはどう見えてます?

清水崇さん写真

清水:最初は「ウザいな」と思いましたね(笑)。タイトルを真似するのは恥ずかしくないのかなって思うんですよ。ぼくも最初の『呪怨』のときに、東映ビデオから散々「『呪怨霊』にしてくれ」って言われたんです。東映ビデオとしては『女優霊』『○○霊』、そして『呪怨霊』ってシリーズみたいにしたかったらしいんですけど、「そういうのだけは避けたい」とずっと言い続けて『呪怨』になったんです。タイトルって大事だと思うんですよ。最初は「意味わかんねえ、なんて読むのかわかんねえ」と言われていた『呪怨』が、ヒットした途端にほかの会社のプロデューサーからも「いいタイトル付けたよね」って言われるんです。でも、そこに行かなきゃいけないだろうと。ブームに乗っかるんじゃなくて、実際は乗っかって作ったんだけど「新しいものを作るぜ」っていう勢いがぼくにも一瀬さんにもあったと思うんですね。そういうものを大事にしたいなというのがあったんで、それは今後もホラーであろうとなかろうと持ち続けなくちゃならないと思うんです。
 とはいえ、似たタイトルの作品でも、たぶん会社側の意向で付けただけで、観てみたら新しいことをやっている作品もたくさんあるんですよね。だからタイトルだけでバッタもの的に思われるのは、作品も監督も出てる人もかわいそうだなと思うところもあるんです。ただ、リメイク版の『呪怨』をやったときに、オーディションに来た子のプロフィールを見て『呪怨』モドキのタイトルの主役とか準主役とかをやっていたりすると「あれに出てるならいいじゃん」ってなっちゃいますよね、気持ちとしては(笑)。それは損しちゃうから、『呪怨霊』を『呪怨』にしたときに突っぱねていてよかったなと思います。

―― そんな中で、今回は本家である『呪怨』がほかの監督で撮るという新展開を見せて、いったい今後『呪怨』シリーズはどう展開していくのかなと。

清水:それは一瀬さんと東映ビデオさんでいろいろ考えてるのかもしれないですけど(笑)。たぶん、今回は本家本元のシリーズでって意味合いも含めてぼくが呼ばれたところもあると思うんですよ。「清水が関わっているんだったらほんとのシリーズだ」的なところもあって呼ばれたと思うので、次は気がついたら呼ばれないかもしれないですね(笑)。でも、自分が関わっていなくても、広がってくれたら楽しみなので、たぶん借りて観ると思います。それで、裏で「なんで言ってくれなかったんですか」って(笑)。

―― 今回の2作って、ほかの監督が撮ったということで『呪怨』がひとつのシリーズからもっと広い枠組みの作品群へとスケールアップしたんじゃないかと思うんですよ。それはある種、ハリウッドでのリメイクより大きな出来事じゃないかなと思うんです。

清水:そうですね、『呪怨』を観続けてくれた人にとっては、そうかもしれないですよね。

―― 今回、三宅監督と安里監督が作った『呪怨』を観て、逆に清水さんが刺激を受けたりしたこととかはありました?

清水:刺激を受けたのはですね、『黒い少女』の松本花奈ちゃん(芙季絵役)を見出してくれたところですね。

―― そういうところですか!(笑)

清水:いや、三宅さんと安里さんとこういうかたちで関われたのは嬉しいですね、ぼくとしては。おふたりがどう思っているかはわからないですけど。だから三宅さんと安里さんに聞くと全然違う話が聞けるかもしれない(笑)。

―― それは機会さえあればぜひ聞きたいです(笑)。では最後に、まとめ的に一言お願いします。

清水:今回、『白い老女』『黒い少女』という2作ができましたので、次は『黄色い中年親父』に期待してください。

―― はい、ありがとうございました。

(2009年5月13日/東映ビデオ本社にて収録)

作品スチール

呪怨 白い老女

  • 監督・脚本:三宅隆太
  • 原案・監修:清水崇
  • プロデューサー:一瀬隆重
  • 出演:南明奈 鈴木裕樹 みひろ 宮川一朗太 ほか

2009年6月27日(土)より新宿バルト9、梅田ブルク7にて『呪怨 黒い少女』と同時上映

『呪怨 白い老女』の詳しい作品情報はこちら!

作品スチール

呪怨 黒い少女

  • 監督・脚本:安里麻里
  • 原案・監修:清水崇
  • プロデューサー:一瀬隆重
  • 出演:加護亜依 瀬戸康史 中村ゆり 勝村政信 ほか

2009年6月27日(土)より新宿バルト9、梅田ブルク7にて『呪怨 白い老女』と同時上映

『呪怨 黒い少女』の詳しい作品情報はこちら!

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