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『星砂の島のちいさな天使 〜マーメイドスマイル〜』飯田里穂さんインタビュー

飯田里穂さん写真美しい海に囲まれた南の島に現われた不思議な少女。彼女の存在は、島の人々に忘れかけていた笑顔を思い出させてくれる。島で生まれ育った青年は、いつしか少女に想いを寄せていくのだが、島に伝わる人魚伝説に誰も知らない少女の秘密が隠されていた――。
 『星砂の島のちいさな天使 〜マーメイドスマイル〜』は、沖縄県八重山諸島の小さな島・竹富島を舞台に、少女と島の人々の交流、そして少女と青年の切ない恋を描いていく、ファンタジックで心温まる物語です。
 ヒロインの美海(みう)を演じたのは、これが映画初主演となる飯田里穂さん。まさに映画のタイトルそのままの「ちいさな天使」のような笑顔で、人々の心に安らぎを与えていく美海を見事にスクリーンに息づかせています。
 南の島からあたたかな癒しを届けてくれる『星砂の島のちいさな天使 〜マーメイドスマイル〜』。実際に竹富島に滞在しての撮影は、飯田さん自身にとっても大きな経験となったようです。素顔は美海以上に明るくチャーミングな飯田さんにお話をうかがいました。

飯田里穂(いいだ・りほ)さんプロフィール

1991年生まれ、埼玉県出身。小学生時代から子役として活躍。2002年から2005年までNHK教育の人気番組「天才てれびくん」シリーズに出演して注目を集める。女優としてドラマ・映画・舞台に出演するのに加え、歌手としてCDもリリースするなど、幅広く活動中。
劇場用映画出演作品に『身障犬ギブのおくりもの』(2002年/吉野晴亮監督)、『ひとりね』(2002年/すずきじゅんいち監督)、『精霊流し』(2003年/田中光敏監督)、『グラキン★クイーン』(2009年/松本卓也監督)など。

「自分の中で、笑顔をすごく大事にしていました」

―― 最初に『星砂の島のちいさな天使 〜マーメイドスマイル〜』で映画初主演が決まったときのお気持ちを聞かせていただけますか?

飯田:お話を聞いて、すごくビックリしました。ビックリしすぎて食欲がなくなっちゃったんですよ(笑)。「あれ? なんかおなか減らないなあ」みたいな感じで、それが1週間くらい続きました。それくらい緊張していましたね(笑)。

―― それはけっこう大変でしたね(笑)。映画の内容についてはどんなふうに思われました?

飯田:最初は「人魚」というキーワードだけを聞いていたので「どんな話なんだろう?」って思っていたんです。そのあとで台本をいただいて、読んでみてほんとに泣きそうになりましたね。すごく心がきれいになる話だなって思いました。

―― 今回は海と島が舞台の映画ですね。プロフィールによると水泳がお得意だそうですが、もともと海もお好きだったのでしょうか?

飯田里穂さん写真

飯田:そうですね、海は小っちゃいころに家族で毎年行っていました。それから、私は南の島が大好きなんですよ。私的に“いい方角”って南な気がするんです (笑)。なので、もう南の島に行けるということだけでワクワクしていました。すごく自分にあっている映画かなって思いました。

―― 映画の内容はファンタジックなところがあって、飯田さんが演じた美海は不思議な女の子という設定になっていますね。

飯田:かなり不思議ですよね(笑)。ファンタジックなお話はすごく興味があったので、お話をいただいたときには「そういうお話に出られる!」って思ったんですけど、まさか自分が不思議な役を演じることになるとは思っていなかったので、余計に緊張しました(笑)。でも、撮影は竹富島に3週間くらい滞在してやったので、島に長期間いて撮影できたことで、すごくその世界に浸れた感じがしました。不思議な感じになれたのは、竹富の持っている力みたいなものも、すごくありますね。

―― 映画を観ると、美海は常にどこか周りと違った雰囲気を漂わせているように感じたのですが、そういう雰囲気を出すために意識したところはありますか?

飯田:私は基本的に、普段は人と会ったらすぐお喋りしちゃうんですね。初対面の方でもすぐに冗談とか言っちゃうほうなんです。でも、撮影のときには、なんとなーく、そういう部分はあんまり出さないほうがいいなと思ってやっていました。やっぱり、普段どおりだとそのノリが出ちゃうなって思ったんです。だから、この映画で初めて会ったスタッフさんには「あの子あんまり喋らないな、ノリ悪いな」とか思われてたかもしれないですね(笑)。

―― では、撮影の間は、ちょっと我慢をしていた感じですか?

飯田:自分をあんまり出さなかったところはありますね(笑)。でも、やっぱり撮影の間は一緒にいるから、スタッフさんや共演者のみなさんと仲良くなりますし、ほんとにいい方ばかりだったので、すっごくよくしていただきました。空いている日は「どこかに行こう」みたいな感じで島巡りをしたりとか、すごく楽しかったです。やっぱり、この映画では笑顔が大事だったんですよ。自分の中で笑顔をすごく大事にしていたので、楽しさという面では、ずっと笑っていました。

「島で過ごしている間に、自然と自分の中で世界ができていきました」

―― 美海という役を飯田さんご自身の目から客観的に見ると、どんな女の子だって思いますか?

飯田:うーん、そうですね……クラスにいたら、友達にはならないかな(笑)。

―― ならないんですか!(笑)

飯田:それはちょっと極端なたとえですけど(笑)。でも、クラスにいたら、ずっと気になる感じの女の子だと思います。「どんな子なんだろう、仲良くなりたいな」って気にはなっているんだけど、結局、喋れないまま卒業、みたいな感じの女の子なんじゃないかなあって。

―― そうすると、やっぱり飯田さん自身とはちょっと違う女の子ですか?

飯田:もう、ぜーんぜん違います(笑)。

―― そういう役を演じるにあたって、難しかったり、戸惑った部分はありませんでしたか?

『星砂の島のちいさな天使 〜マーメイドスマイル〜』スチール

『星砂の島のちいさな天使 〜マーメイドスマイル〜』より。瞬一(演:牧田哲也)と光一(演:三上真史)の兄弟は砂浜で美海(演:飯田里穂)を見つける

飯田:竹富に行くまではわからないことだらけで、すごい緊張していて、竹富に着いてからもなんとなく不安があったんです。でも、竹富で過ごしている間に、美海の過去を考えていったんです。映画の中でも美海の過去はちょっと出てくるんですけど、そのときはどんな気持ちだったんだろうとか、それからどうやって生きてきたんだろうとか考えて、そうしているうちに自然と自分の中で世界ができていったところはありましたね。

―― この映画は美海以外にもいろいろな登場人物が出てきて、ご覧になった方がそれぞれに共感できる人物を見つけられるんじゃないかと思うんですが、飯田さんが、美海以外で「この気持ちはわかるなあ、共感できるなあ」という登場人物はいますか?

飯田:気持ちがわかるなあって思うのは、相手役の瞬一さんですね。なんかもう見ていて「切なすぎるーっ!」みたいな(笑)。映画を観ていたら、絶対に「瞬一ぃっ!」ってなっちゃいますね(笑)。

―― 瞬一のお兄さんの光一についてはどんな印象でしょう?

飯田:島を大事に思っているのはすごくわかるんだけど、それが空回っちゃっていて、ほかの人とうまくいかなくて、みたいな感じの役ですよね。でも、すごく気持ちが伝わる熱い人だなと思いました。光一役の三上(真史)さんを現場ではマーシーって呼んでたんですよ。牧田(哲也:瞬一役)さんがマッキーで、マッキーとマーシーって呼んでいたんですけど、マーシーお兄ちゃんはその“熱い男”にすごくピッタリでしたね、マーシーも熱い方なので。

―― ちなみに、飯田さんご自身は光一タイプと瞬一みたいなタイプではどちらを魅力的に感じますか?(笑)

飯田:どうだろう……どっちかって言うと、あんまり熱くないほうが(笑)。でも、そう言ったらマーシーを否定するみたいになっちゃうから!(笑) どっちも素敵です!(笑)

「竹富島にいると、暗いことを考えなくなるんです」

―― 島での長期間のロケを経験されていかがでしたか?

飯田:撮影の間にも何回か東京に戻ってくることがあったんですけど、そのときには、すぐ竹富に戻るのがわかっていても「早く帰りたい!」みたいになりましたね。もう、竹富が“帰る場所”でした。竹富にいると、悪いことを考えないんですよ。気持ち的にもそうなんですけど、すべて明るい方向になるっていうか、ほんとに暗いことを考えなくなるんです。絶対にケンカとかをする気にもなれないし、人の悪い部分を見たりするって気にもなれないし、竹富は、色で言うと黄色とか赤とか、そういう感じの場所ですね。

―― では、撮影中はあんまりお芝居で考え込んで悩んだりとかもしなかった感じですか?

飯田:やっぱり、まったくないわけではなかったんです。でも、泊まっていた旅館にテラスがあって、夜、そこに出ると星がほんとにきれいで、いい風が吹いてて、なんかもう、悩んでいたことが消えちゃうんです。「自分はもっと生きていけるな」って、そこまで考えちゃうくらいの感じでした。

―― ロケ中の出来事で印象に残っていることはありますか?

飯田:不思議なことはいっぱい起こったんですよ。以前、お仕事をした方で、もう何年もお会いしていなくて連絡もとってなかった方がいたんですけど、竹富で偶然に再会したんです。東京では1度も会うことがなかったのに竹富で会ったんですよ。それから、高校のときの担任の先生がいたんです(笑)。沖縄がすごく好きで、ひとりで三線を持って旅行しちゃう先生なんですけど、ある日、ビーチで撮影していて周りを見ていたら、すごい似ている人がいるので「あれ?」と思って声をかけたら、やっぱり担任の先生で「え!?」みたいな感じになって。先生も私が島に来ていることを知らなかったので、ほんとにビックリでした。そういう出来事がほんとに多くて、やっぱり自分のいい方角は南なんだと思います(笑)。

―― そういう環境の中で撮影されたシーンで、飯田さんが気に入っているシーンがあれば教えてください。

飯田里穂さん写真

飯田:私が好きなのは、美海と瞬一さんが、家の縁側みたいなところに夜、ふたりでいるところですね。その前の場面で美海の秘密が瞬一さんにわかっちゃって、お互いちょっとぎこちなくなっているんです。それで、瞬一さんが思いきって「俺……」って美海に声をかけるんだけど、ちょうどお母さんに呼ばれて遮られちゃって……みたいな感じで、そのシーンは撮影しているときの周りの雰囲気もすごく好きだったし、できあがったそのシーンもすごく好きです。

―― 映画の中では、現在の島が抱える問題点みたいなところも描かれていますよね。そういう部分について、島で実感したりはしましたか?

飯田:いま、島には若い方があまり来なくなってしまっているんですね。でも、ほんとに竹富に行ってみてほしいんです。小さい島なので観光で行ったら1時間くらいでも回れちゃうかもしれないんですけど、ぜひ泊まってほしいんです。そしたら竹富のよさがもっともっとわかると思うんです。島にはいまの若い人が好きな遊びとかはないんですけど、楽しいことってそれだけじゃなくて、心がリフレッシュされるようないいことがあるんだってすごくわかります。私も今回の映画がなければ、たぶん竹富という島を知らないままだったと思いますし、すごくいい出会いだったなって思うんです。その体験を、みなさんにもしてほしいですね。私もまた島に行って、そういう体験をしたいと思います。

―― そういう感覚は、映画でも感じられるかもしれませんね。

飯田:そうですね、心がすごくあったかくなると思います。きれいな景色も映っていて竹富のいいところが伝わると思いますし、人間のあったかいところが伝わる映画だと思うので、絶対に浄化されると思います。だから、映画を観た方を「自分はもっと頑張れるな」って勇気づけることができたらいいなと思いますね。私も撮影を通じてそういう気持ちになれたので。

―― 今回は美海という不思議な女の子を演じられましたが、今後、こんな役を演じてみたいという役があれば教えてください。

飯田:いじめる役をやってみたいんです。「そんなのありえないだろ」ってくらいコッテコテなのって面白そうじゃないですか(笑)。そういう役に挑戦してみたいと思います。それから、遊んでいる女の子みたいな軽い役もやってみたいですね。普段の自分だと絶対にありえないことだからやってみたいという気持ちがすごく強いんです。やっぱり、役をやることで、いまの自分にない引き出しを作りたいですね。

(2010年5月19日/都内にて収録)

作品スチール

星砂の島のちいさな天使 〜マーメイドスマイル〜

  • 監督:喜多一郎
  • 出演:飯田里穂 牧田哲也 三上真史 長州力 ほか

2010年6月19日(土)よりキネカ大森・池袋テアトルダイヤほか全国順次公開

『星砂の島のちいさな天使 〜マーメイドスマイル〜』の詳しい作品情報はこちら!

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