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『王様ゲーム』熊井友理奈さん(Berryz工房)インタビュー

熊井友理奈さん写真 ある日、本多智恵美と金沢伸明たち、2年B組の生徒全員に送られてきた1通のメール。それは、指令に従わなければ存在を抹消されてしまう、恐ろしい「王様ゲーム」の幕開けだった。想像を絶する事態に誰もが戸惑う中、孤独な少女・岩村莉愛はひとり冷静にクラスを見つめる。そして智恵美は――。
 多くの女性アイドルが所属するハロー!プロジェクトの人気グループ・Berryz工房(ベリーズこうぼう)と℃-ute(キュート)のメンバー全員の共演で話題を集めている『王様ゲーム』は、中高生から圧倒的な支持を集めたケータイ小説の映画化作品。日本が誇るホラー映画の名手・鶴田法男監督がメガホンをとり、高校の1クラスが体験する恐怖の「ゲーム」と、その背後にある謎が描かれていきます。
 主人公の智恵美を演じたのは、これが映画初主演となるBerryz工房の熊井友理奈さん。異様な「ゲーム」に脅えつつも毅然と状況に向きあう強さを持ったヒロインを、凛とした佇まいで演じています。
 トップアイドルとして活躍し続ける熊井さんにとって、初の映画主演はどんな経験となったのでしょうか? お話をうかがいました。

熊井友理奈(くまい・ゆりな)さんプロフィール

1993年生まれ、神奈川県出身。2002年に開催された「ハロー!プロジェクト・キッズオーディション」に合格して芸能活動を開始し、2004年に同オーディション合格者から選抜されたメンバーで結成されたグループ“Berryz工房”でCDデビュー。以降、さいたまスーパーアリーナでの同会場最年少記録となるコンサートを成功させるなど、トップアイドルグループの一員として活躍中。Berryz工房として歌手活動に加えて舞台活動も活発におこなっている。
映画出演作に『仔犬ダンの物語』(2002年/澤井信一郎監督)『ほたるの星』(2003年/菅原浩志監督)がある

Berryz工房オフィシャルサイト:http://www.helloproject.com/berryzkobo/

「“お祓い行きたいです!”ってお願いして、無理やり行かせてもらいました(笑)」

―― 熊井さんは、怖い映画とか怖いお話はお好きでしょうか?(笑)

熊井:あの、怖い話は好きなんですけど、怖い映画は苦手です(笑)。心霊写真とか怖いお話とかは、ついつい見たり聞いたりしちゃうんですけど、映画となると、かなりリアルになるじゃないですか。なので、観たとしてもCMでチョロっと流れているのを観るくらいですね(笑)。

―― ハロー!プロジェクトのほかのメンバーの方が、何本かホラー系の作品にご出演になっていますよね。そういう作品をご覧になったりは?

熊井:正直、ほんとにすごく苦手なので、チラシとか宣伝の写真とかは見られるんですけど、映像までは観てないですね。同じメンバーが出ているんですけど、けっこう勇気がいるじゃないですか。だから……残念ですけど(笑)。

―― では、怖い映画で主演をつとめるというのは、どんなお気持ちでしたか?

熊井友理奈さん写真

質問のひとつひとつに丁寧に答えてくれた熊井友理奈さん

熊井:映画の撮影自体が8年ぶりだったんですよ。なので、撮影のやり方とか台本の覚え方とかも忘れちゃっていて、すごい不安でいっぱいだったんです。それにプラスしてホラーということなので、ホラーだと撮影のやり方も普通の映画とは違ってくると思って、そういったところでも初めての経験だったので不安はありました。まず撮影に入る前に「無事に終わりますように」というのでお祓いがあるじゃないですか。今回はけっこう人数も多かったので、Berryz工房のキャプテン(清水佐紀さん)と℃-uteのリーダー(矢島舞美さん)の子が代表で行って、全員は行かなかったんですね。ほかの子はいろいろ仕事とかもあったので。でも、私はそういうのけっこう敏感なんで「お祓い行きたいです!」ってマネージャーさんにお願いして、無理やり行かせてもらいました(笑)。

―― 主演をつとめるというのは、どういうかたちでお聞きになったのでしょうか?

熊井:まず、マネージャーさんから「Berryz工房と℃-uteで映画に出るよ」ということだけを言われて、お話の内容とか、誰がどういう役かというのは、そのあとで撮影が近づいてから知ったんです。それで、台本をいただいたときに、本多智恵美役で私の名前が書いてあったので、そこで知ったという感じでした。

―― Berryz工房と℃-uteのみなさんで映画に出るというのは、どう思われました?

熊井:オーディションに受かった当初に、まだ小学生だったんですけど1回全員で映画に出たことがあるんです()。そのときはモーニング娘。さんも一緒だったんですけど、今回はBerryz工房と℃-uteだけで、しかも学園ものなので「メンバーみんなが一緒のクラスだったらこういう雰囲気なのかな?」って思いました。

―― メンバー全員が出る中で主演をつとめられるということに、プレッシャーはありませんでしたか?

熊井:もう、すごくプレッシャーでした。たぶん、周りの方が思っている以上にすごいプレッシャーを感じていて……あの、ご飯が食べれなくなったんですよ(笑)。食欲なくなることって風邪ひいたときしかなかったんですけど、プレッシャーで食欲がなくなるっていうのはこういうことなんだなって、今回初めてわかりました(笑)。やっぱり、主演というのも初めてだったし、個人的には演技に自信がなくて、苦手意識が強かったんです。それで余計にプレッシャーも感じていたんですけど、でも、ほかのメンバーも「がんばってね」ってすごく言ってくれたし、スタッフさんからもいろいろと優しく教えていただいたので、無事に撮影を終えることができました。

  • :現在Berryz工房と℃-uteとして活動しているメンバーは、オーディション合格直後の2002年に、モーニング娘。主演の2本立て映画『仔犬ダンの物語』(澤井信一郎監督)『ミニモニ。じゃムービー お菓子な大冒険!』(ヒグチしんじ監督)に出演している。この際は『仔犬ダン〜』出演メンバーと『お菓子な〜』出演メンバーに分かれていたため、全員が1本の作品に出演するのは『王様ゲーム』が初となる

「真剣に自分の役に入り込めていたので、不思議な空間が作れたのかなって思います」

―― 初めて主演として映画の現場に入られていかがでしたか?

熊井:やっぱり、舞台はやってるんですけど、舞台と映画では感覚がまったく違うんですね。舞台は最初から最後まで台本を覚えて、動きも含めて何回もリハーサルがあるんですけど、映画では撮影期間も決まっていますし、練習も個々でが多かったので、ホン(台本)の読み合わせも1日だけだったんです。そのあとすぐ「じゃあ全部覚えてきてね」という感じでしたし、撮影もシーンごとに撮っていくので、順番がゴチャゴチャになるじゃないですか。流れでやっていると感情とかも入りやすいんですけど、ゴチャゴチャだと感情を入れるのも余計に難しくなるので、映画の撮影はすごい難しいなと思いました。

―― 今回の映画は、怖いだけではなくてちょっと青春な感じもありますよね。特に智恵美と伸明の関係とか。そういう部分をどう演じるかについて、監督さんから言われたことはありますか?

熊井:原作の中では、智恵美ちゃんと伸明はつきあっている内容なんですけど、映画の中では幼なじみなんですね。幼なじみで、本当はお互いに好きなんですけど、それをうまく伝えられないみたいなところがあるんです。監督さんからはそこまではっきり言われたわけではないですけど「お互いにわかっているんだけどそれを言わないみたいな初々しい感じを出して」というようなことはありました。それから、幼なじみなので「頼るところは頼って」みたいな感じですね。

―― 伸明役の桜田通さんの印象はいかがでしょう?

『王様ゲーム』スチール

『王様ゲーム』より。「王様」からのメールは智恵美や伸明たちのクラス全員を恐怖に陥れる……

熊井:ホン読みのときに初対面だったんですけど、桜田くんもすごい人見知りらしいんですよ。私もすごい人見知りなので、ホン読みのときには、席が決まっていて隣の席だったんですけどほとんど喋らなかったんですよ、なかなか話しだせなくって。でも、桜田くんはいろいろな作品に出ている方なので、撮影していく中で私がわからないところを教えてくださって、すごい勉強になりました。役の上でもそうですけど、撮影をとおして話せるようになったというか、優しい方なんだなって思いました。

―― 映画の中では、鈴木愛理さんが演じた莉愛と智恵美の関係も重要だったと思いますが、熊井さんは智恵美と莉愛の関係をどういうふうにとらえていましたか?

熊井:愛理がやっている莉愛ちゃんは、感情もあるのかないのかよくわからないような役なんですよね(笑)。なので、智恵美ちゃんは莉愛ちゃんを「不思議な女の子だな」と思っていて、でも嫌いなわけじゃないし、普通に友達として話そうとしているんだと思います。

―― 鈴木愛理さんは、普段からああいう雰囲気の方ではないんですよね?(笑)

熊井:全然違いますね(笑)。

―― では、鈴木さんが普段と違った役を演じるのを間近で見ていていかがでした?

熊井:愛理は「ほかの子とあんまり話しちゃうと役に入れなくなる」って言っていて、普段からあんまり話さなかったって言ってたんですよ。撮影のときは、まず目の色が変わるっていうか、目つきが変わるんですよ。まずそこが「すごいな」と思って。莉愛は映画の中で1回も笑ってないんですよ。そういうところでは、愛理も「初めての役だ」って言っていましたね。

―― 最後のほうの、図書館の中での智恵美と莉愛のふたりの場面は緊張感があって、熊井さんも力のあるお芝居をされていますね。

熊井:その図書館のシーンは、カメラマンさん的にも撮り方が難しいシーンだったらしいんですよ。私と愛理と、もちろんカメラマンさんの息もあってないとできなかったシーンだと監督さんも言っていたんです。お互い真剣に自分の役に入り込めていたので、ああいう不思議な空間というか、ちょっとゾッとする空気を作れたのかなって思います。

―― ほかのメンバーの方も、普段のイメージとは違った役を演じられているのではないかと思ったのですが、熊井さんからほかのメンバーの方をご覧になっていかがですか?

熊井:そうですね、いつもと違う表情とか雰囲気が見られるので、そういう面ではすごい面白いっていうか、みんながそれぞれ、演じるからこそ出てくる自分というか、普段は見せない自分を見てもらえるんじゃないかと思います。

「この映画をやることで、自分に自信を持つことができました」

―― 今回の映画をやって、お互いにメンバーのこういうところに気づいたってことはありますか? あと、熊井さんがほかのメンバーや共演者の方を見ていて感じたこととか。

熊井:周りのメンバーは、私が撮影しているところを見ていたりもしていたので「いつもの熊井ちゃんじゃない」って言われました(笑)。もちろん役に入っているからそうなんですけど「全然違う」って言われたので、そこはちゃんと役に入れていたのかなって思いました。あと、ほかのメンバーや、共演者の方も、いろいろなドラマや舞台や映画に出演している方がたくさんいたので、やっぱりそういったところでは「さすがだな」って思う部分がたくさんあって、勉強になりました。

―― 撮影中に楽しかったこととか、印象に残っていることはありますか?

熊井:ご飯休憩があって、いつもスタッフさんがおいしいご飯を作ってくれるんです。そういうのが、みんなでキャンプに来たみたいな雰囲気がしてすごく楽しかったです。みんなで並んで、給食みたいに取っていって、みんなで食べてっていう感じだったので、ほんとに学校みたいでした。

―― 鶴田法男監督の印象はいかがでした?

熊井:ホン読みと顔合わせで初めてお会いして、すごい優しそうな方だなって思ったんですけど、やっぱり撮影に入ると鶴田監督もスイッチが入って監督モードになるんですね。最初のころは私も全然できないというか、うまくいかなかったシーンもあって、そういうときはいっぱい注意もされたんです。そのときは「怖いな」って思ったんですけど、でも、そこで凹むんじゃなくて褒められるようにがんばろうって思えたし、撮影が終わるころには「最初はどうなるかと思ったけど、こうして撮影をやってきてすごくよくなったよ」って褒めてくださったので、それがすごく嬉しかったですね。

―― 映画の撮影のあとにもコンサートや舞台などのお仕事をされていますが、映画をやる前と後で、お仕事をする上で変わったところってあります?

熊井友理奈さん写真

映画の中とは違った茶目っ気のある表情も見せてくれました

熊井:なんて言うか、映画が始まる前は自分に自信がなかったんですよ、全然。なので、この『王様ゲーム』の話を聞いたときも、すごい「ほんとに私でいいのかな」って思って不安だったんですけど、この撮影をやることによって、監督さんにもダメな部分もいい部分もいろいろと言っていただいたので、自分に自信を持つことができました。

―― 映画主演という大きな仕事をひとつ経験されて、新しくできた目標はありますか?

熊井:やっぱり、演技に自信がなかったのが、今回の映画をやらせていただいて「演技も楽しいな」って思えるようになったし、また違った作品にも出演できる機会があれば、やってみたいなと思います。

―― そういう大きな経験となった映画で、特にこういうところを観てほしいというポイントがあればお願いします。

熊井:映画の中で泣くシーンがあったんですけど、ほんとに泣けるか心配で、個人的にはそこが一番の山場だったので、できあがりを観てもらいたいなって思うのと、悲しくなって、体の力が抜けて崩れ落ちるみたいなシーンがけっこうあって、足がアザだらけになっちゃったんです(笑)。いまは消えたんでよかったんですけど、そのくらいがんばったので、そういうところも観ていただきたいです。あと、やっぱり莉愛ちゃんと智恵美のやりとりのところですね。重要なシーンにもなっているので。

―― では最後に、もし映画のように王様から命令のメールが届いたら、熊井さんは従うか逃げようとするか、どっちですか?(笑)

熊井:それ、すごい迷うんですけど(笑)。……でも、従わなかったら抹消されてしまうので、抹消されちゃったら、もうそこにいなかったってことになってしまうじゃないですか。それは嫌なので、命令に従うと思います(笑)。

―― Berryz工房と℃-uteのほかのメンバーで「この子はこんな反応をしそう」とかってあります?(笑)

熊井:そうですね……徳永千奈美ちゃん(Berryz工房)はよく「長生きしたい」とか言っているので、絶対抹消されたくないだろうと思うので、たぶん命令に従うと思います(笑)。あと誰だろうなあ……。℃-uteだと、岡井千聖ちゃんとか萩原舞ちゃんとかは、いつもキャピキャピして明るいワンパクな感じなんですけど、そういうふたりは「こんなのウソでしょ!」とかって言って、従わないと思いますね(笑)。

(2011年10月26日/BS−TBSにて収録)

作品スチール

王様ゲーム

  • 監督:鶴田法男
  • 出演:熊井友理奈(Berryz工房) 鈴木愛理(℃-ute) 桜田通 ほか

2011年12月17日(土)よりシネ・リーブル池袋ほか全国順次ロードショー

『王様ゲーム』の詳しい作品情報はこちら!

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