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『3泊4日、5時の鐘』小篠恵奈さんインタビュー

インタビュー写真 茅ヶ崎にある老舗旅館・茅ヶ崎館を訪れたふたりの若い女性・花梨(かりん)と真紀。元・同僚の結婚パーティー出席のためにやって来たふたりだが、奔放な花梨と先輩で真面目な真紀、対称的な性格のふたりの関係は円滑とは行かず……。
 デビュー以来、多くの作品で印象に残る役を演じてきた若手女優・小篠恵奈さんが『3泊4日、5時の鐘』で初の映画主演をつとめます。新鋭・三澤拓哉監督の監督デビュー作で、出演者でもある杉野希妃さんがエグゼクティブプロデューサーをつとめる『3泊4日、5時の鐘』は、実在する老舗旅館を舞台にした恋愛群像劇。小篠さんが演じる花梨と杉野希妃さん演じる真紀のふたりを中心に、交錯する人間模様が描かれていきます。
 小篠さんは、花梨の自由奔放さを自然に表現。映画の中で花梨というひとりの人物をしっかりと息づかせています。その自然な自由さは、小篠さん自身の持つ奔放さから生まれたものでもあるようです。
 “小篠恵奈”と“花梨”の関係を中心に、小篠さんに『3泊4日、5時の鐘』についてうかがいました。

小篠恵奈(こしの・えな)さんプロフィール

1993年生まれ、東京都出身。高校生のときに所属事務所のオーディションを受けて芸能活動を開始。初の映画出演は2010年撮影の『ももいろそらを』(小林啓一監督/2013年一般公開)。その後、『カルテット』(2012年/三原順一監督)、『ふがいない僕は空を見る』(2012年/タナダユキ監督)など出演作の公開が続き注目を集める。そのほかの出演作に『今日子と修一の場合』(2013年/奥田瑛二監督)、『ほとりの朔子』(2014年/深田晃司監督)、『花宵道中』(2014年/豊島圭介監督)、『ストロボエッジ』(2015年/廣木隆一監督)など。また、テレビドラマや舞台にも出演している。

「“花梨ちゃんでいよう”としか考えていなくて、具体性はそこにはないですね」

―― まず最初に『3泊4日、5時の鐘』で主演をつとめられてのお気持ちから聞かせてください。

小篠:主演は初めてだったんですけど、単純に「わーい」って思いました(笑)。「やった、初主演だ! とうとう私もここまで来たか!」って、率直な感想としてはそうでした(笑)。

―― 今回、小篠さんが演じられた花梨という役は、いままで小篠さんが演じてきた役とはちょっと違うタイプの女性かなと思ったのですが、小篠さんご自身はどう感じられました?

小篠:うーん、私は前にドラマの「クレオパトラな女たち」(2012年・NTV)でもえちゃんという役をやっていて、その役のもうちょっと女の内心の嫌な部分が出た感じなのかなというのがイメージとしてはあったんです。なんていうか、台本を読んだときに「できる」って思ったんです。心境として「花梨になれる」って思ったかな。

―― 花梨という女性をどういう女性だと感じられました?

小篠:言いたいことをハッキリ言う子ですね。それでちょっとかわいい子の設定なので、女が嫌いなタイプの女の子なんですけど、でも花梨ちゃんは別に男に媚びているわけでもないんですよ。だからモテそうだなって思いました(笑)。映画の中の花梨ちゃんを見ると、みんな「花梨って嫌な女だな」って思うと思うんですけど、たぶん実際に花梨ちゃんが現実にいて喋ったりしたら男の人は惹かれると思います。

―― では、花梨という女性像はすんなりと受け入れられた感じですか?

小篠:そうですね、意外となんの迷いもなくという感じでした。

―― 花梨を演じるときに意識されたのはどういうことでしょう?

小篠恵奈さんインタビュー写真

小篠:難しい質問ですね(笑)。なんか、もう「花梨ちゃんでいよう」としか考えていなくて、それが具体的にどういうことなのかとかじゃなくて……具体性はそこにはないですね。でも、しいて言うなら私の多少わがままな部分とか、自分本位なところを出して、自分の思っていることのままに動いたり発言したりしてみようという感じで現場ではいましたね。

―― それは、役ではなくて小篠さんとして現場で思ったことをそのまま出していこうということですか?

小篠:そうですね、たぶん私としてだったと思います。そういうことで花梨ちゃんにつながると思ったので。

―― 三澤拓哉監督と撮影前に役についてお話はされたのでしょうか?

小篠:聞きに行ったんですけど「いいんじゃないですか?」って言われて(笑)。

―― 小篠さんが考えたとおりでいいんじゃないですか、ということですね。

小篠:そうだと思います。監督とはあまり役についてお話していなくて「このシーンの動きはこうしたほうがいいんじゃないか」とかしか喋っていないんですよね。でも、監督が言うことがなかったということはそれでよかったんだなって思います(笑)。

―― 映画を観ていて印象に残るのが、花梨はソファに座るときって必ず膝を抱えるようにして座りますよね。

小篠:ごめんなさい、あれ私の癖です(笑)。

―― あ、花梨を演じるために意識した動きではなかったんですね。

小篠:でも「花梨ちゃんだったらどうするか」ということは考えてますね。たしかに私は座るとき足を上げたほうが楽で、自由奔放に動いていたらああなっちゃったんですけど(笑)、自分が楽でもそれが「花梨ちゃんはやらないことだな」と思ったらやらないです。

「ケンカのシーンは、相手の真紀さんをどう腹立たせるかを考えていました(笑)」

―― 花梨が旅館で周りの人たちを時計の針に喩えるセリフがありますよね。花梨の独特な感覚を示したセリフかなと思うのですが、小篠さんはあのセリフをどう感じられましたか?

小篠:すごい感覚的ですよね。でも、ありませんか? ああいうふうに喩えることって。だから別に変わったセリフだとは思わなかったです。言いにくそうだなとは思いましたけど(笑)。

―― そういうふうに自然に捉えられたというのは、小篠さん自身も花梨に近いところがあるのでしょうか?

小篠:まあ、そうですね。似てると思いますよ(笑)。言いたいこと言っちゃうとか、空気読まないとか、花梨ちゃんをちょっと男っぽくしたのが私だと思っていて、あまり内面的なものは変わらなくて表面的な部分がちょっと違うだけだと思っています。

―― そういう花梨の自由さって、お芝居でやると極端な人に見えてしまう可能性もあると思うのですが、それを自然に見えるように意識していたことってありますか?

小篠:うーん……でも、私はもともと極端に表現するようなお芝居ができないので、あまり自然にとは考えなかったです。それに、今回は真紀さんという人がわりとヒステリック気味で役としてすごく立っていたので、花梨ちゃんはけっこうヤンチャしても許されるというか、(手で円を示して)ここに真紀さんがいて、私はその中で暴れている感じなので、あまり意識はしていなかったですね。

―― その、杉野希妃さんが演じた真紀とは、花梨が約束を守らなかったために言い争いになるシーンがありますね。印象的なシーンですが演じていていかがでした?

『3泊4日、5時の鐘』スチール

『3泊4日、5時の鐘』より。小篠恵奈さん演じる花梨(右)と、杉野希妃さん演じる真紀

小篠:あれは、最初は納得してくれるだろうと思って、普通に冷静に話しているんでしょうけど、たぶん、真紀さんの言っていることにカチンと来たんですよね。もう「どう伝えればいいんだよこの人に!」みたいな感じで、ほんとに話にならないと思って感情的になっていたかな……。真紀さんの言っている意味がわからなかったですね。「間違ったこと言ってないもん、私」って感じでした(笑)。

―― では、あのシーンは台本できちっと段取りを決めてたのではなくて、その場でやりとりを作り上げた感じなのですか?

小篠:そうです。アドリブっていうか。

―― あのシーンで面白いのは、花梨ってカッとなって言い返すんじゃなくて、ちょっとヘラヘラしてますよね。

小篠:私、なんか人を煽る癖があって(笑)。

―― 嫌な癖ですね、それ(笑)。

小篠:アハハハ(笑)。でも、そこで普通の言いあいだったら普通のケンカのシーンになっちゃうわけじゃないですか。シーンとしてあまり面白みがないというか。だから、あそこでは真紀さんをどう腹立たせるかを考えていました(笑)。

―― そうすると真紀を演じた杉野さんも、お芝居をやりつつ本当にイライラされていたんではないでしょうか?(笑)

小篠:はい、カットがかかったあとで「ほんとムカつくんだもん!(笑)」って言われました(笑)。

―― アハハ(笑)。まあ、あの花梨の態度はイライラしますよね。

小篠:でも、あのケンカって客観的に見てどっちが正しいと思いますか? みんな「花梨がムカつく」って言うんですけど、絶対に真紀さんのほうが言ってることおかしいんですって! ほんとに納得いかない!(笑)

「現場はアットホームな感じがして、そういう感じをすごく楽しんでやっていました」

―― 杉野希妃さんとは『ほとりの朔子』でもご一緒されているんですよね。杉野さんと一緒にお芝居をされるのはどういう感じですか?

小篠:そうですね……。私はけっこうお芝居に関して他力本願なところがあるというか、相手の方に任せちゃうところがあるんですね。そういう意味では、頼りになるお芝居をされる方だと思いました。

―― 三澤拓哉監督も『ほとりの朔子』にアシスタントプロデューサーとして参加されていますが、三澤監督とは『ほとりの朔子』のときにはお会いされていたんですか?

小篠:たぶん、お会いしていたと思います。『ほとりの朔子』のときにはそんなにお話はしていないと思うんですけど、今回、監督としてお会いしたときに覚えていましたので。

―― 現場での三澤監督はどんな印象でしたか?

小篠恵奈さんインタビュー写真

小篠:監督のすごいところは、全部が細かく決まっているんです。だからなにを質問しても「これはこういうことです」って即答で返ってきて「でも、ここはこうじゃないんですか?」って言ったら「そこはこうなんで、だからこうなっているんです」って説明してくれるんです。私はそこまで説明されるのって初めてで、ほかの監督さんでも細かく設定を決めている監督さんはいるのかもしれないですけど、少なくとも私は現場でここまでのお話を監督としたことがなかったんです。そういう設定的なところが本当にすごかったです。

―― 今回は杉野希妃さんが出演者であると同時にエグゼクティブプロデューサーでもあって、ほかのキャストの方もスタッフを兼任されている方がいらっしゃいますよね。そういう現場の独特さというのはありましたか?

小篠:なんか、ちょっと自主制作映画っぽいところもあるんですよね。アットホームな感じがして、すごいよかったと思います。私はそういう感じをすごく楽しんでやっていました。

―― 今回の撮影はずっと湘南に滞在されていたのですか?

小篠:はい、泊りがけで、茅ヶ崎館に泊まっていました。ちょっと離れみたいなところがあって、そこに。

―― 実際に舞台となる場所に泊まっていると、映画の中での登場人物同士の関係の変化みたいな部分も表現しやすかったのではないでしょうか?

小篠:でも、難しいですね(笑)。私はすごい仲の悪い役でも現実では仲がよいほうがお芝居もやりやすいので、みんなと仲良く喋っていましたけど、それがやりやすいかどうかはその役者さんによって人よりけりなんじゃないかと思います。

―― 小篠さんご自身が映画の中で気に入っているシーンはどんなところでしょう?

小篠:気に入っているシーンはいっぱりありますね。まず、やっぱりさっきも話した真紀さんとのケンカのところですね(笑)。あとは、後半に茅ヶ崎館の庭で夜にみんなで卓球をやるシーンと、花梨ちゃんが海に行くとき自転車に乗るシーンも好きですね。

―― では最後に『3泊4日、5時の鐘』でこういうところを観てほしいという見どころを挙げていただけますか?

小篠:映画全体が見どころなので、どちらかというと人に注目して観てほしいですね。誰に感情移入してもいいし、誰にも感情移入できなくても「ああ、いるいるこういう人」みたいな感じでも面白いと思うんです。やっぱり変わった人が多いから、人と人の関係性とか、セリフの言い回しとかにも、ぜひ注目して観ていただけたらいいと思います。

インタビュー写真

取材時にもさまざまな表情を見せてくれた小篠恵奈さん。その表情の魅力は『3泊4日、5時の鐘』で存分に発揮されています。ぜひ劇場のスクリーンで小篠さんの魅力をたしかめてください。

※クリックすると拡大表示されます。

(2015年8月11日/東京都内にて収録)

作品スチール

3泊4日、5時の鐘

  • 監督:三澤拓哉
  • 出演:小篠恵奈 杉野希妃 掘夏子 中崎敏 栁俊太郎 福島珠理 二階堂智 ほか

2015年9月19日(土)より新宿K's cinemaほかにて公開

『3泊4日、5時の鐘』の詳しい作品情報はこちら!

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