オンナゴコロ
監督：松田礼人
出演：前田綾花 大浦龍宇一 保阪尚希 ほか
２００９年３月７日(土)より渋谷シアターTSUTAYAにてレイトショー
２００８年／カラー／ビスタサイズ／ステレオ／１００分
「楽しいか楽しくないかで言えば、楽しくはない。哀しいか哀しくないかで言えば、哀しくはない」。そんな刺激の感じられない毎日を生きるアコは、心の隙間を埋めるように男たちと“ゲーム”に興じるようになる……。
『オンナゴコロ』は、都会の片隅で生きる女の子の生活を、そっと追いかけるような独特のタッチで描いていく。
主演をつとめるのは『閉じる日』『BORDER LINE』『２番目の彼女』などの前田綾花。独特の存在感を放ち、行定勲監督をはじめ多くの監督たちから信頼される若手個性派女優が、貪欲に生きる意味を求めようとするヒロインを見事に体現。さらに本作では美しい肢体も大胆に初披露している。
そしてアコの通いつめるダーツバーのミステリアスなママ・ゲイのリリーには大浦龍宇一が扮し、アコとの距離感を巧みに表現。また、保阪尚希がアコの生活を大きく揺るがしていく謎の男・マナブ役で作品に重厚さを加えている。
アコを巡る男たちには、田中要次、佐藤二朗、山本浩司、水橋研二、高野八誠、波岡一喜、弓削智久、石田卓也、深水元基など、ベテランから若手まで日本映画界を支える俳優たちが顔を揃え、ひと癖もふた癖もある役でそれぞれの個性を炸裂させている。猫ひろし、増田英彦（ますだおかだ）、山里亮太（南海キャンディーズ）という人気お笑い芸人の出演も注目だ。
監督は、本作が初の劇場長編作品となる松田礼人。「砂時計」「ラブレター」など、多くのテレビドラマで高く評価されてきたその演出手腕で、切なさを優しくユーモアで包んだような、ユニークな作品を生み出した。
アコ（前田綾花）は、ごく普通の女の子。ただ、セックスでイッたことがない。だから、付き合っていた彼氏も、合コンで知り合った男も、サイアクな言葉を投げかけて去っていってしまう。でも、アコは怒りや哀しみさえ感じることはない。夜になるとゲイのリリー（大浦龍宇一）がママをつとめるダーツバーに通い、ビールを飲む毎日を過ごしている。
ある夜、いつものようにひとりで飲んでいるアコに、男がダーツの勝負をもちかけてくる。男が勝てば、アコは今夜だけ男の彼女になる。アコが勝てば、男のおごりでビール飲み放題。勝負に勝ったのはアコだった。
次の夜、同じ男がまた声をかけてくる。今度の勝負に勝ったのは、男。だけど一夜をともにした男は、明日早いからとあっさり帰っていく。「ドキドキしないのは、私のせい？」。自分に問いかけるアコ。
その夜から、アコはダーツバーで毎晩のようにバーに来た男たちを相手に“ゲーム”に興じるようになる。あるときは自分から声をかけ、あるときは男たちから声をかけられ。アコは普通の女の子だけど、ダーツの腕前は普通じゃない。自分の体を賭けておこなう“ゲーム”は、アコにこれまでにない刺激と快感を与えてくれる。
やがて、アコの“ゲーム”は噂になり、アコ目当てでバーにやってくる男たちも現われる。段々とエスカレートしていくゲームの罠。アコは歯科医の受付の仕事も辞めて、派手な服装でダーツバーに通うようになっていく。
そんな毎日が続いていたある夜、アコはダーツバーのカウンターで、マナブ（保阪尚希）という男と出会う……。
