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『コトバのない冬』完成披露試写会

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舞台あいさつをおこなった広田レオナさん、渡部篤郎監督、高岡早紀さん(左から)。高岡さんのアップをあしらったポスターに高岡さんは「この顔も(撮影がおこなわれた)6年前ってことですよね。ちょっと離れてみたり(笑)」と話して客席の笑いを誘いました

 俳優・渡部篤郎さんが初の長編監督をつとめた『コトバのない冬』(2月20日公開)の完成披露試写会が2月10日に品川プリンスシネマでおこなわれ、渡部監督と出演者の高岡早紀さん、広田レオナさんが舞台あいさつをおこないました。
 2008年の東京国際映画祭コンペティション部門で上映されたほか、すでに海外の映画祭に出品され高い評価を得ている『コトバのない冬』は、高岡さんが演じる牧場で働く女性と、渡部監督自身が演じる言葉の話せない青年の出会いを、北海道・由仁町と夕張市周辺でのオールロケで描いた作品。
 撮影がおこなわれたのは2004年。渡部監督は「ほんとに自主制作でいつ公開すると決めずに撮影していまして、でもいつかみなさんの前にと思っていたので嬉しいかぎりです」とあいさつし「夕張はいろいろあって(撮影に使われた)遊園地とかがもうなくなっているんですよ。現地の人たちから“映像に残してくれたのがありがたい”と言われまして、記憶に残したり映像に残したり、自分が少しでも役に立てたんじゃないかと思います」と、撮影から6年を経ての一般公開を前にした心境を語りました。
 高岡さんは「(撮影から)4年くらいかと思っていたのですけど、6年も前だと聞いてビックリしました。ようやくみなさまの前に公開できるということで嬉しく思います」と話し「とにかく渡部さんは気配りさんで、とても完璧な現場の雰囲気作りをなさっていました。それから撮影方法は最大4台のカメラを回してNGなしのワンテイクで撮るんですね。だから毎日そのプレッシャーはかなり大変でした」と撮影を振り返りました。
 また、広田さんは「今日、初めて(完成した)映画を観たんですけど、(自分の出番で)ガッツリ切られて(=カットされて)いるところがありましたね。猛吹雪の中で命がけでやったところが切られていました」と話し、会場の笑いを誘いました。

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「みなさん感受性を大事に演じてくれたので、あまり技術的なことは考えずカメラを回しっぱなしでやっていました」と、門倉渉役で出演もしている渡部篤郎監督

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「車を運転しているシーンが多くて、自分でその土地を自走することで、その街に生きているんだなあというのを実感できました」という黒川冬沙子役の高岡早紀さん

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「(監督が)少年みたいにかわいかったり、すごくしっかりしていたり、いろんな面を見せてくれるので惚れちゃいけないと思いました(笑)」と田所啓子役の広田レオナさん

 監督業への挑戦について「常日頃から演じる側もスタッフの一員と思っていますし、ぼくの中ではそこに垣根がなかったんです。ものを作るという想いがあればどなたが撮ってもいいと思っていますし、スタッフの人たちもみんな仲間で、その人たちが背中を押してくれたというか、そういう想いと仲間がいてくれたことがこういう結果につながった」という渡部監督。「自分で飛行機の時間を調べたりお弁当の手配をしたり大変なことだらけだったんですけど、それは自分の映画ですので。助監督さんがいなかったんですよ」と明かすと、会場からは驚きの声も上がりました。

 渡部監督が「大きいテーマはなかったんです。ごくごく平凡な日常の中にもいろいろなストーリーがあって、それは大袈裟なものではないけれども、その人からみればすごく大事なことだったりということがある。それが表現できればと思っていました」という『コトバのない冬』は、2月20日(土)より渋谷ユーロスペースほかにて全国順次公開されます(配給:ジョリー・ロジャー)。

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