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若いキャスト3人から同世代のみなさんにメッセージ 『赤々煉恋』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった小中和哉監督、吉沢亮さん、土屋太鳳さん、清水富美加さん、有森也実さん(左より)

 注目の若手女優・土屋太鳳(つちや・たお)さんを主演に迎え、霊となった女子高生を主人公に、自殺の悲しみと生きることの大切さを描いたファンタジー『赤々煉恋』(せきせきれんれん)が角川シネマ新宿で12月21日に初日を迎え、土屋さんと共演の清水富美加さん、吉沢亮さん、有森也実さんと小中和哉監督が舞台あいさつをおこないました。
 直木賞作家・朱川湊人さんの短編小説を原作にした『赤々煉恋』は、自ら命を絶ち誰にも気づかれることのない孤独な浮遊霊となって街や学校をさまよう少女・樹里が主人公。残された家族の想いや、人を自殺に追いやる無気味な存在“虫男”の行動が、樹里の視点で描かれていきます。
 樹里を演じた土屋さんは、浮遊霊という役柄のためひとりだけでの演技が多く「演じているときの孤独感というのは樹里ちゃんの孤独に活かすことができたのでよかったなと思っています」と振り返り、樹里が道路に座り込んでいる場面の撮影で、近くを通りがかった車にクラクションを鳴らされたという撮影中のエピソードを紹介。「(車に乗っていた方が)心配してくださっているのが伝わってきて、人の優しさというものをすごく感じました」と笑顔で語りました。
 また、元気だったころの樹里がクラスメイトのミドリと潤也と会話するシーンは即興で演技をおこなうエチュード形式で撮影された部分も多かったそうで、潤也役の吉沢さんは「“ザリガニって食べられるんだよ”とか“ハトも食べられるぜ”みたいな話をしていて、なんであんな話になったんだろうね(笑)」と笑いながら振り返り、ミドリ役の清水さんは「(即興で)“なにを話したらいいんだろう”みたいになってるときに“よーい、スタート”ってなって、パッと思いついたのがハトが食べられる話(笑)」と話して場内の笑いを誘いました。
 さらに土屋さんは「私、特撮が好きなんですけど、ふたり(清水さんと吉沢さん)が揃ったときに“あ、ライダー部だ!”って思って(笑)。でも私自身はウルトラ出身なので、人数じゃ負けてるけど負けないぞって気持ちでいました(笑)」と、撮影中の意外な(?)想いを明かしました。(※清水さんと吉沢さんは「仮面ライダーフォーゼ」に出演、土屋さんは映画『『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』に出演)

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「今回の現場はすごく遠くから撮っていただいたり、静かに撮っていただいたり、演じているというよりかはドキュメンタリーを撮っているような気分でした」と樹里役の土屋太鳳さん

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「泣きのシーンで全然泣けなくてダメダメだったんですよね。そのときなによりも土屋太鳳ちゃんがお芝居でカバーしてくれて、ほんとに助けられました」とミドリ役の清水富美加さん

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即興で演じたという樹里、ミドリ、潤也の会話シーンについて「そんな面白くないことで無理に爆笑したりしていたよね(笑)。すごく面白かったです」と振り返った潤也役の吉沢亮さん

 樹里と仲良くなる幼い女の子の母親・祥子を演じた有森さんは、1986年公開の小中監督のデビュー作『星空のむこうの国』でヒロインを演じて映画デビューしており「『赤々煉恋』の撮影のころは私も原点回帰をというような年で、ちょうどそのときに小中監督からお話をいただいて、まさに“原点回帰だ!”って。とてもタイムリーな時期にまた小中監督とご一緒できて、ほんとによかったと思っています」と久々の小中作品出演への想いを語りました。

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「監督はイメージがちゃんとできているので役者はそこにはまらなくちゃいけなくて、少女のときも大変でしたけど、この歳だとなかなかはまらないんだよね(笑)」と、祥子役の有森也実さん

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「映画はお客さんに観ていただいて完成するので、1回目の上映が終わったこの瞬間に、ようやくこの映画は世に出たと思っています」と初日を迎えての心境を語った小中和哉監督

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土屋さんは「実は舞台からみなさんのことがすごくよく見えるんですけど、今日はたくさんみなさんのお顔をしっかり拝見して、心を通わせたいと思います」と、メガネを持参して登壇

 そして、土屋さん、清水さん、吉沢さんの3人から、映画の中で死を選ぶ樹里と同世代の若い方々に向けて、メッセージが送られました。

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樹里役・土屋太鳳さんのメッセージ

10代ってすごく大変だと思うんですね。教室という限られた空間で、どんなコンディションでもふんばらなきゃいけないって、ほんとに大変だと思うんですよ。特に悩んでいるときは「目の前の世界がすべてだ」って思ってしまうこともあるんですけど、でも本当は世界ってすごく広いし、人もたくさんいるじゃないですか。だからぜひ、自分の心の中に眠っている本当の自由の扉というのを見つけて、それを開けて、本当に出会うべき人だったり、本当にいるべき場所を見つけてほしいです。

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ミドリ役・清水富美加さんのメッセージ

「自殺をしたい」とか「死にたい」と思っているときって、もう気持ちのベースが憂鬱になっちゃっているので(自分が死んだら)誰が悲しむとかも考えられないくらいで「いま逃げたい」とか「いま終わらせてしまいたい」と思っていると思うんです。まず、つらいことに耐えなきゃいけないってうのがあって、さらに、耐えるだけじゃなくてその先に行かなきゃいけないって、ほんとに疲れることだと思うんですけど、でもそういうことにたくさん向きあって味わった人には、それよりもプラスアルファでおいしいものがそのあとに絶対残っているので、生きておいたほうが絶対に得だというのは、私はまだ19なんですけど、すごく感じているので、とりあえず「生きよう」というのが意見です。

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潤也役・吉沢亮さんのメッセージ

なんでも自分でひとりで抱え込まずに周りの人に頼ってみるというというのがひとつあるかなというか、やっぱり10代のときって、誰も自分のことをわかってくれないと思ったり、すごく敏感に孤独を感じる時期だと思うんですけど、ほんとは家族だったり友達だったり、周りには自分のことを想ってくれる人、支えてくれる人というのが必ずいるので、心から人に頼るのってすごく難しいことだとは思うんですけど、一歩勇気を出して、そういう他人に心の内をさらけ出してみたりとか、そうすることで意外とあっさりと悩みって消えるものだったりもするので、なんでも自分でしょいこまずに、周りの人に頼るというのは大事なことかなと思います。

 25年前にも『赤々煉恋』と同じく“死を通して気づく生きることの大切さ”を描いたファンタジー『四月怪談』を監督している小中監督は「『四月怪談』を撮ったときも(アイドルの)岡田有希子さんの自殺という事件があって、あと追い自殺をされる方がたくさんいて“これをやらなきゃいけない”というような想いもあって作っていました。いまは自殺される方の数がそのころよりも増えている状況で、いろいろコミュニケーションツールが発達している中で逆に人と繋がっていないとすごく心配になってしまうみたいな傾向も若い人にはあって、悩むことも多くなっていると思うんですよね。この映画の“幽霊”という状態は、ほんとに自殺した幽霊ということでもあるし、同時に日常感じている孤独感みたいなものの表現であるかもしれないし、いろいろなことを感じていただければ嬉しいなと思って作りました。なにか感じたことがあれば周りの方と話していただいて、この小さな作品を広げていただきたいなと思います」と作品に込めた想いを述べ、土屋さんは「私はまだ18年しか生きていないんですけど、それでも“生きていく”ってすごく大変だなって思うんです。ちょっとつらいなと思うとき、この映画がみなさんの記憶の中に、時空を越えて星のように、小さくても淡くてもいいので、光ってくれたら嬉しいなと思います」と、舞台あいさつを締めくくりました。

 自殺という重いテーマに正面から取り組みつつ、同時に高いエンターテイメント性を持った作品となっている『赤々煉恋』は、舞台あいさつ登壇者のほか、大杉漣さん(声の出演)、秋本奈緒美さんらが出演。12月21日(土)より角川シネマ新宿ほか、全国順次ロードショーされます。

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