日本映画専門情報サイト:fjmovie.com

fjmovie.comトップページニュース一覧>異色のロマンティック・コメディが伝えるのは「感性や知が大切」 『森のカフェ』初日舞台あいさつ

異色のロマンティック・コメディが伝えるのは「感性や知が大切」 『森のカフェ』初日舞台あいさつ

記事メイン写真

舞台あいさつをおこなった伊波麻央さん、橋本一郎さん、管勇毅(かん・ゆうき)さん、若井久美子さん、榎本憲男監督(左より)
※画像をクリックすると大きく表示します

 ロマンティック・コメディに「哲学」を盛り込んだ異色の作品『森のカフェ』が12月12日にヒューマントラストシネマ渋谷で初日を迎え、主演の管勇毅さんとヒロイン役の若井久美子さんら出演者と榎本憲男監督が舞台あいさつをおこないました。
 榎本監督の長編第2作となる『森のカフェ』は、哲学研究者の青年・松岡が主人公。論文が書けず気分転換に自宅近所の森を訪れた松岡と、森のカフェのウェイトレスを名乗る不思議な女性・洋子との出会いから始まる物語が描かれていきます。
 松岡を演じ“論文の書けない哲学研究者”という複雑な設定の役に挑んだ管さんは「ほかの役と比べてとりたててどうということはなかったんですけど、(論文が)書けないというのは結果であって、松岡さんも書くまでの準備はしているわけですよね。だから、できるだけたくさんの本を読んで、できるだけたくさんの知識を吸収しようとはしました」と、実際に哲学関係の本を読んで撮影に臨んだと話し、哲学用語も含まれた長いセリフをワンショットで撮影したシーンについて「個人的な話なんですけど、2回同じことをするのが嫌いなんですよね。なので、ワンショットと聞いたときに一番この映画で楽しみなシーンというか、カメラマンさんとの呼吸とかもあるし、一発勝負的な感じで、すごくやりがいのあるシーンでした」と感想を述べました。
 洋子を演じた若井さんはミュージカルを中心に活動しており本格的な映画出演は『森のカフェ』が初めてで「目の前にお客様がいるという、生のものをいままでやってきたので、カメラを意識して演じるということがいままでなかったので、とても新鮮でした。楽しかったです」とコメント。若井さんは劇中で映画オリジナルのフォークソングも披露しており、若井さんが「いままで歌ったことがない感じの歌だったので、歌えるのかなと心配だったんですけれども」と振り返ると、榎本監督が「全然心配じゃなかったよ(笑)」とすかさずフォロー。若井さんは「好きな歌です。気に入ってます」と笑顔で話しました。

コメント写真

友人でもある共演の橋本一郎さんの推薦で主人公・松岡啓志役に起用された管勇毅さん。「橋本くんが監督の脚本を見せていただいて、ぼくのことが思い浮かんだと。それで電話をいただいたのが最初でした」

コメント写真

劇中で歌った歌について「私はもともと音楽大学にいて高い音とかビブラートをかける癖があったので“ビブラートはこの曲に合わないからやめてくれ”と言われました」という森野洋子役の若井久美子さん

コメント写真

映画の舞台となっている森は榎本憲男監督の自宅からほど近い場所でロケ撮影されており、榎本監督はその場所について「東京のすごく西、かなり外れた西のほう。ジブリっぽいところ(笑)」とヒントを

 悟役の橋本一郎さんは榎本監督の前作『見えないほどの遠くの空を』に続いての出演で「監督独特の演出法がありまして、ホン読みのときに“橋本、その音は違う。もう半音上げてくれ”とか、そういう細かな指示が来るんです。(完成した映画を)拝見するとその半音上げたり下げたりというのがショットに活きているんですよね。その演出法が変わらず続けていらして、なおかつ精度が上がっていて、すごくやっていて楽しかったです」と、榎本作品常連の立場からの感想を。
 由美役の伊波麻央さんは映画初出演で「普段はスチールとか広告とか、短い期間に収まる仕事が多いんですけど、長い期間スタッフ、キャストと一緒に作っていくということを初めて経験して、映画にも一体感がでるし、現場が映画に反映されるんだなと思って、すごいいい経験になりました。楽しかったです」と初めての映画の現場の印象を語りました。

コメント写真

友人の管勇毅さんとの共演に「やりにくいところもあったですし、やりやすいところもあった」という悟役の橋本一郎さん。「(管さんと)現場で構築できることもあって、それはよかったと思ってます」

コメント写真

あるシーンの撮影が「タイミングがすごく難しくて、一番回数を重ねたシーンだったので」苦労したという由美役の伊波麻央さんですが「きれいに撮ってもらって、できあがりを観たときは感動しました」

コメント写真

若井久美子さんが歌う劇中歌は榎本監督が作詞。若井さんは自身のコンサートでもその歌を歌っており、コンサートを観にいった榎本監督は「自分で聴いていていい曲だなと思っちゃった(笑)」

 榎本監督は「いまの世の中、なんとなく科学的な知識というのがすごく幅を利かせている気がします。自然科学だけが真実を独占しているような風潮が強いんですけど、この映画は人文系というか文系というか、そういった感性とか知、そういうものが人間にとってはすごく大事なんだという心づもりで作りました。気に入っていただけたら、ぜひいろいろな人に勧めてください」と、映画に込めたメッセージを述べて舞台あいさつを締めくくりました。

 舞台あいさつ登壇者のほか、東亜優さんや志賀廣太郎さん、永井秀樹さん、映像作家の安藤紘平さんらが出演し、美しい映像と音楽の心地よい調べで観客を知の世界に誘う『森のカフェ』は12月12日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷にて上映中。ほか全国順次公開されます。

スポンサーリンク