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今泉力哉監督「新しいチャレンジ」となった新作公開 『知らない、ふたり』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった今泉力哉監督、芹澤興人(せりざわ・たてと)さん、木南晴夏さん、韓英恵さん、青柳文子さん(左より)
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 現代のリアルな恋愛を描き続ける今泉力哉監督の新作『知らない、ふたり』が1月9日に初日を迎え、新宿武蔵野館で出演者の青柳文子さん、韓英恵さん、木南晴夏さん、芹澤興人さんと今泉監督が舞台あいさつをおこないました。
 『知らない、ふたり』は、他人を避けるように生きている靴職人の韓国人青年・レオン、彼と同じ店で働きひそかにレオンに恋する女性・秋子を中心に、お互いの気持ちを「知らない」7人の男女の想いが交錯していく恋愛群像劇。
 『知らない、ふたり』は韓国発ボーイズグループNU'EST(ニューイースト)のメンバーが出演するというこれまでの今泉監督にはなかった趣向もあり、今泉監督は「いままではもっと言葉に頼ったり、ほんとに会話だけで成り立っているようなものが多かったので、韓国の方とやれるということもあって、もうちょっと言葉に頼らないものとか、そういうことをやってみようと思ったのは新しいチャレンジだったのかなと思いますね。NU'ESTというアーティストの方とやることになって、プロデューサーとかマネージャーさんとかから“アイドル映画みたいにはしなくていい”と言ってもらえたので、いつも自分がやっているような市井の人にみんなを落としこむような作品を作らせてもらえたので、ストレスなくできたかなと思っています」とコメント。今泉監督の作品にはヒット作『サッドティー』を含め4作目の出演となり、本作では秋子を演じた青柳さんは「最初台本を読んだときに今回もまた不思議な今泉節が流れているのではないかと思って、(完成した作品を)観終わったときには“あれ? ちょっといままでよりいい映画になっている!”って思いました」と、今泉作品常連の立場から感想を述べて客席の笑いを誘い、今泉監督も「いつも最後に誰も幸せになれないみたいな話をよく作っていたので(笑)、ちょっとはよくしてもいいのかなと思いながら今回は書きました」と、新しいテイストを意図していたことを明かしました。
 また、今泉作品初出演となるソナ役の韓さんは「『サッドティー』も観ていて、青柳さんと監督のコラボというのがフワッと空気があるような感じで、その恋愛映画の中に一緒に関わりたいなと思っていたので、(出演を)聞いたときすごい嬉しかったです」と念願かなっての今泉作品出演を振り返り、共演シーンの多かったNU'ESTのメンバーについて「みなさんキャラクターが違うのがすごい魅力的だなと思って、ひとりひとりの個性がこの映画で生きているなと思っています。ほんとにか監督のアドバイスとかも120%くらいの力で受け答えしたりとかお芝居に対してもすごくひたむきで、すごいビックリしました。学ぶことがたくさんありました」と印象を語りました。

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小風秋子役の青柳文子さんは、なかなか自分の気持ちを伝えないという役柄に「私もあんまり伝える派ではないので、そこは共感できてすんなりやれたと思います」

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韓国語のセリフが多く「毎日毎日、翻訳の方とイントネーションのことだったりとか言い回しのことだったりとかを勉強しました」というハン・ソナ役の韓英恵さん

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今泉監督について「(現場で)なにも言ってくれない(笑)。だから、ちょっと(演技が大丈夫か)不安な感じはありましたね(笑)」と幸田加奈子役の木南晴夏さん

 日本語学校の講師・加奈子役で韓国語のセリフも多かった木南さんは、以前にドラマ(※2010年放送「素直になれなくて」)で韓国人役を演じたのをきっかけに興味を持ち趣味として1年間韓国語を習っていたことを明かし「日本にいるとなかなか話す機会がないので、初めて仕事で活用できてよかったです」と笑顔を見せ、恋人との関係に悩むという役柄について「いま30歳になったんですけど、29歳とか30歳とかそのくらいの年齢になると“結婚か仕事か”で迷う役柄がとても多くて、周りの友だちとかを見ていてもほんとに世の中の29歳、30歳ってそういうことで悩んでいるんだって思っていて、私自身も撮影のとき29歳だったので、ほんとに等身大のそのままの想いでやった感じですかね」とコメント。
 加奈子の恋人・巳喜男を演じた芹澤さんは今泉監督のインディーズ時代からたびたび作品に出演しており「今泉さんの持っている独特のテンポとかは変わっていなくて、ぼくは好きでした」と話し、シリアスな役どころについて「いままでわりとふざけた役が多いので、ちょっと真面目な芝居を見るのが恥ずかしかったですね」と照れたような表情も見せながら、木南さんとの共演シーンを「なんか、すごくおごそかな現場でしたよね。部屋の灯りも暗いしね、儀式みたいでしたね(笑)」と笑いを交えて語りました。

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「セリフの少ないところとか、リアルっぽいところとかですかね、あと、編集の頑固さというか」に「今泉監督さしさ」を感じたという荒川巳喜男役の芹澤興人さん

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「自分はいままでレイトショーが多くて“昼(の上映で)やりたい”ってずっと言っていたので、やっと昼やれたなって」と初日を迎えた心境を語った今泉力哉監督

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お互い人見知りという木南さん(右)と芹澤さん。共演シーンについて話し合いなどはあったかという質問に芹澤さんは「ないです」と即答し、共演者からも笑いが

 何度も仕事をしている今泉監督について青柳さんは「毎回、猫背がすごいなあと思いながら、この小ささとは裏腹にすごい深い慈悲のある大物のような、神のような佇まいがあるなと見るたびに思っています」。
 そう評された今泉監督は『知らない、ふたり』の大きな要素にもなっている「好き」という言葉について「同じ言葉でも使うときとか相手によって状況とかでまったく違う言葉になって、全然わからないからそれについてやるんだろうな(=映画を作るんだろうな)と思います。(この映画の)パンフレットでキャストのみなさんが“好きってなんですか?”という質問に答えてるのを読んだら全員バラバラのことを言っていて、それをすごく面白く感じました。キャストのみなさん、それからお客さんも含めてすべての人の答えが違うと思うので」と話しました。

 昨年の第28回東京国際映画祭日本映画スプラッシュ部門にも公式出品され、公開前から話題を呼んでいる『知らない、ふたり』は1月9日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開。新宿武蔵野館では公開期間中にゲストと今泉監督によるトークショーなども予定されています。

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