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忍成修吾さん「異質な世界」を感じた主演作公開 『ひかりをあててしぼる』初日舞台あいさつ

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舞台あいさつをおこなった坂牧良太監督、永山たかしさん、忍成修吾さん、派谷惠美(はたちや・めぐみ)さん、桜井ユキさん(左より)
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 実際に渋谷で起きたバラバラ殺人事件をモチーフに夫婦の歪な愛を描いた『ひかりをあててしぼる』が12月3日に渋谷ユーロスペースで初日を迎え、主演の忍成修吾さん、ヒロイン役の派谷惠美さんらキャストと坂牧良太監督が舞台あいさつをおこないました。

 『ひかりをあててしぼる』は、坂牧監督の作・演出により2011年に上演された同名舞台劇の映画化。高級マンションに住む幸福な夫婦に見えた浩平・智美夫妻の隠された生活と、その果てに起こる惨劇が描かれていきます。

 初日の上映は満席でのスタートとなり、妻に激しい暴力を振るう夫・浩平を演じた忍成さんは「これだけの方々が映画館にこの映画を観にきてくださって、本当に幸せです」とあいさつ。浩平という役について「撮影の前にリハーサルがあったので、そこで監督とも話したりとか、やりながらセリフだったり気持ちだったりを自分の中に落とし込んでいけたかなという感じですね」と役作りを語りました。
 暴力を受けつつ夫に依存する虚栄心の強い妻・智美を演じた派谷さんは、インフルエンザのために撮影前のリハーサルには参加できなかったことを明かし「みなさんがみっちりとリハーサルをされていた中に迎えていただけたので、安心してみなさんに甘えて演じることができました」と振り返りました。

 舞台で好評を得て自らメガホンをとって映画化に取り組んだ坂牧監督は「もちろん舞台をそのまま映画にするわけにはいかないので、もう一度(事件を)取材しなおしたり、台本も脚本の宮崎(大祐)くんはじめ、みなさんの協力をいただいて書かせていただいて映画になったという感じです」と映画化への道程を説明。
 また『ひかりをあててしぼる』は日本公開に先駆けてアメリカの批評サイトHollywood Investigator主催のTabloid Witch Awardsで日本映画初の最優秀ホラー賞と最優秀女優賞を受賞しており、坂牧監督は「ホラー映画と思って作っていないんですけどね(笑)」と笑いも見せつつ「海外の方は、情緒とか情念というものをそう(=ホラー的なものだと)捉える方もいるのかもしれませんが、日本の方々にどう捉えていただくかも楽しみなので、(受賞を)素直に喜びたいと思います」と受賞の感想を述べました。

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妻に激しい暴力を振るう夫・谷中浩平役の忍成修吾さん

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暴力に耐えつつ夫に依存する妻・谷中智美役の派谷惠美さん

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メガホンをとった坂牧良太監督

 ただひとり浩平・智美夫婦の秘密を知る友人・巧(たくみ)を演じた永山たかしさんは、これまでの永山さんとは異なる印象を与える役柄を「監督に“全部を表現しないで”みたいなことを言われたんです。“余白を残さないとダメだよ”と言われたので、たとえばセリフがなくてもハッと上を向くとなにかに気づいたってわかるじゃないですか。そういう“自分がこう思っています”ということを極力やらなかったので、その辺が違う印象になったんじゃないかなと思っています」と語り、智美の妹・恵美を演じた桜井ユキさんは「壮絶なシーンも多いんですけど、私は撮影中あまりそこを見ることがなく、試写で初めて知ることが多くて、役柄的にも一歩引いたところにいる役柄だったので(撮影中に壮絶なシーンを見なかったのは)逆にベストだったんじゃないかなと」と、役について話しました。

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浩平の友人・豊永巧役の永山たかしさん

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智美の妹・木下恵美役の桜井ユキさん

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トーク中に笑顔を見せる夫妻役の忍成さんと派谷さん

 永山さんは「渋谷という街を象徴しているような作品で、みんなが見えている華やかな明るい渋谷のイメージと、ほんとは見えていないところがこの作品には描かれているんじゃないかなと思います」、桜井さんは「見る方によって見る目線が変わってくるんじゃないかなと思うので、ぜひ楽しんでみていただけたらと思います」、派谷さんは「監督が“この作品は俳優の顔と体を撮った作品なんだ”とおっしゃっていて、観ていただくとまさにそういう作品だと思うので、ぜひ役者の顔と体に注目して観ていただけたらと思います」と、それぞれ作品についてコメント。
 忍成さんは「ここも渋谷ですけど、この映画は渋谷というわりと身近な街の中で異質な世界があったんだという、事実をもとにしたお話になっています。演じてみて“こんなふうにはならないな”とは自分でも思うところはあるんですけど、あるきっかけでスイッチが入ってしまうと誰もがそんな異質な世界に入り込んでしまうんじゃないかと、そういうふうに感じるストーリーでした。ちょっとショッキングな映像とかもあるので、お帰りの際はボーっとして転ばないように気をつけて帰ってください」とアドバイスも込めて語り、坂牧監督は「みなさんに観ていただけることが映画にとっても大事なことで、ぼくはずっと渋谷で育ってきた人間ですので、渋谷という街を切り取ってみたいなと思ったときにキャストとスタッフのおかげでこの作品を撮ることができたので、あとはみなさんにどのように届くかということが楽しみです」と語るとともに「小さな映画です。賛否なんでもいいので、SNSなどで話題にしてください」と呼びかけて舞台あいさつを締めくくりました。

 凄惨な事件を通して幸せのあり方を問う『ひかりをあててしぼる』は、12月3日(土)よりユーロスペースにてレイトショー。上映期間中には、監督・キャストや多彩なゲストによるトークショーも開催されます。

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