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上田慎一郎監督は秋山ゆずきさんにとって「映像のお父さんみたい」 上田慎一郎監督スペシャルイベント

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トークイベントをおこなった上田慎一郎監督(左)と秋山ゆずきさんは『カメラを止めるな!』を観ているとわかるポーズを、おふたりのTシャツはファンの方にプレゼントされた販売されていないカラーのものとのこと
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 大ヒット上映中の『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督とゆかりの深いSKIPシティ彩の国ビジュアルプラザで9月22日に『カメラを止めるな!』ロケ地めぐり&上田慎一郎監督スペシャルイベントが開催され、上田監督と『カメラを止めるな!』出演者の秋山ゆずきさんがトークイベントをおこないました。

 埼玉県川口市のSKIPシティ彩の国ビジュアルプラザと上田慎一郎監督は、SKIPシティを会場に毎夏に開催されている「国際Dシネマ映画祭」で上田監督の短編作品が2012年と2016年にコンペティション部門にノミネート、また施設内の各所が『カメラを止めるな!』のロケ地として使用されているなど関わりが深く、この日のイベントではトークとロケ地めぐりのほか『恋する小説家』(2011年)『猫まんま』(2015年)『テイク8』(2015年)の上田監督の短編3作品が上映されました。

 トークイベントは短編3作品の上映前に開催され、上田監督と秋山ゆずきさんが登場すると満席の会場からは大きな拍手が。会場には自作のTシャツや『カメラを止めるな!』劇中の登場人物とお揃いの服を着た方、アイドルのコンサートのような応援グッズを持った方も多く、上田監督は「ヤバいですね(笑)」、秋山さんも「すごーい!」と、客席の盛り上がりに笑顔を見せました。

 上田監督は、上映作『恋する小説家』で参加した2012年の国際Dシネマ映画祭について「大きい映画祭に来たのがここが初めてだったんですよ。そのあといろんな映画祭に行くことになるんですけども、ほんとにここが出発だったし、映画祭に入って褒めてもらったりとかってことでそのあと背中を押されてがんばれたので」と振り返り、監督自身のインパクトのある写真があしらわれたこの日のイベントポスター(※記事冒頭写真参照)を「ヤバくないですか? こんなかたちで戻ってくるとは思っていませんでしたよ(笑)」とネタにして笑いも誘いつつ「そのとき“戻ってきます”と言って戻ってこられたので、ほんとに感慨深いものはありますね」とSKIPシティへの想いを語りました。。

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この日は『カメラを止めるな!』以前の短編3作が上映された上田慎一郎監督

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『カメラを止めるな!』や上映作『恋する小説家』出演の秋山ゆずきさん

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応援グッズを持った人も多かった会場の様子に驚く上田慎一郎監督と秋山ゆずきさん

 女優の松本逢花を演じた『カメラを止めるな!』をはじめ上田監督の作品に何作も出演している秋山ゆずきさんは、ヒロインを演じた『恋する小説家』が初の上田監督作品出演であり映像作品への出演自体も初。『恋する小説家』から7年を経ての心境を「不思議です、すごく」と述べ、最近『カメラを止めるな!』のヒットによってテレビ番組で『恋する小説家』の映像が紹介されたことに触れ「あのとき(『恋する小説家』撮影時)上田さんが“映像というのは一生残るし、100年後に観ても面白い映画を”みたいなことを言っていましたよね。テレビで(『恋する小説家』の映像を)観たときに“うわ、いま来てるそのとき!”みたいに思って。あのとき必死にダイエットしたんですよ、一生残ると思ったから少しでもきれいに映りたくて。それを7年後に“テレビで流れてる!”みたいに思って、あのときダイエットしといてよかったなって思いましたね(笑)」とコメントしました。

 また上田監督が「ゆずきちゃんも、やっぱり『カメラを止めるな!』を経て、ちょっと変わってきている感じはしますね」と指摘すると、秋山さん自身も「私も思います」と「私、部活とかもしてこなかったし、みんなと一緒になにかをするということがあんまり思ってなかったっていうか、でも『カメラを止めるな!』に出演して、みんなが舞台あいさつとかしているのを見て、私もなにかしたいと思うようになって」と姿勢の変化を告白。上田監督も、以前はちょっとドライな印象のあった秋山さんが最近は積極的に行動していることを挙げ「『カメラを止めるな!』が終わって、あの逢花という登場人物が映画の中からそのあと成長しているのを見るような気持ちというか、映画が続いているような感じがして、ちょっと感慨深いものがね」と話し、秋山さんは「ほんとに成長させられました。ビックリしてます自分でも」と『カメラを止めるな!』の経験の大きさを感じさせました。

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トーク中の上田慎一郎監督と秋山ゆずきさん
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 逆に上田監督の印象が初対面のころから変わったかという質問に秋山さんは「(上田監督の作品が)映像のお芝居も初めてで、このときから『カメ止め!』までずっと上田さんは私の中で監督さんだから、あんまり大きく変わった印象がなくて、ずっといろいろ教えてくれる映像のお父さんみたいな感じなので、昔からすごかったです(笑)」と答え「“観ておいたほうがいいよ”というDVDを貸してくれるんですよ」と、上田監督が『カメラを止めるな!』撮影前には『悪魔のいけにえ』(1974年・米/トビー・フーパー監督)、2016年の短編『ナポリタン』の際には『桐島、部活やめるってよ』(2012年/吉田大八監督)のDVDを貸してくれたことを紹介。
 秋山さんが「“こういうお芝居もあるんだよ”というのを教えてくれたりとか、そういうのがすごく参考になって」と、上田監督の俳優への接し方を話すと、上田監督は「ほんとに全作品そうですけど、撮る前を密度を濃くしたいというのはあるんですよね。『ナポリタン』という映画のときも、ゆずきちゃんと彼氏役の人が、まだそんなに仲いい感じではなかったので、一緒にご飯食べに行ったりとか」と、撮影前にキャストが過ごす時間の重要さに触れ「自主映画やインディーズ映画で、メジャー映画とかにできないところで濃くできるところとしたらそこなので、そこはすごく時間を取っていますし『カメラを止めるな!』はそこを濃くしたからできた映画だなとは思ってますね」と『カメラを止めるな!』につながる演出法について明かしました。

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トークイベント中はスクリーンに作品のスチールや2012年の国際Dシネマ映画祭の写真などが映しだされ、上田監督と秋山さんはときおりスクリーンを見ながらトーク
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 『カメラを止めるな!』の大ヒット以降、監督や出演者への注目はどんどん増しており、ドラマ出演が決まるなどオファーが殺到しているという秋山さんは「ありがたいですよね、お芝居できる環境が。なんでもやりたいですね。なんでもがんばりたいときですね、いま」と心境を語り、上田監督も「ほんと嬉しいですよね。ゆずきちゃんとか、(『カメラを止めるな!』出演者の)濱津(隆之)さんとか、真魚とか、しゅはま(はるみ)さんとかもね、活躍しているのを見るとすごい嬉しい」とコメント。

 上田監督は、監督自身の今後の活動についても「いま、まさに新しいシナリオ書いたりとか、次の作品がやっと動きはじめてはいますね」と話し、さらに「俺はいままでなんでもやってきて、なんでもやってきたことを映画に集約しているので“映画監督はこうあるべき”みたいなのはそこまでこだわらず、自分なりにいろいろなことを経験して、それを集約して映画にしていきたいなと思っています」と、舞台やドラマ、CMなども含め、映画にこだわらない活動にも意欲を。
 そしてファンには気になる『カメラを止めるな!』の今後の展開について上田監督は「『カメ止め!2』は作ってみたいと思っています。これはちょいちょい言ってますけど、まだ全然決まってないですけど『2』とか『3』とかシリーズにはしていきたいなというぼくの希望はありますね」と明言。今後はゾンビものという設定には縛られず「『ダイ・ハード』みたいな」シリーズにしたいと展望を語る上田監督の「今度は水中で30分(ワンシーンワンカット)とか、『5』くらいで宇宙まで」というアイディアに客席からは大きな笑いが起こり、上田監督はさらに『カメ止め!』もシリーズとしてやっていきつつ、まったく新しい映画もやっていきつつですね」と、今後の作品に期待を持たせました。

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会場には『カメラを止めるな!』本編で使用された衣裳の展示も
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 『カメラを止めるな!』に関するエピソードなど盛りだくさんで笑いの絶えなかったトークイベントの最後には、秋山さんは「私は『恋する小説家』がほんとに映像初めての作品で、18歳のときだったので、あたたかい目で見守っていただけたら嬉しいなと思います(笑)。そしてこの作品を観ていただいたあとにまた『カメ止め!』を観るともっと面白いと思いますので、ぜひ観てください。よろしくでーす」と『カメラを止めるな!』劇中のセリフも交えてあいさつ。
 上田監督は「2012年にですね、SKIPシティにこの『恋する小説家』という映画で呼んでいただいて、ほんとにこの作品からいろいろな人に出会って、いろいろな作品を作って、『カメラを止めるな!』を作れて、またこうしてここに立てているので、ほんとに『カメラを止めるな!』を作って、いままでの自分のいろいろな伏線が回収されているんですよね、あのときのこれがここにつながったとか。だから(上映される)3作品を観て“これは『カメ止め!』につながっているな”とか、その辺を観て、また『カメ止め!』も観て楽しんでいただけたらなと」とあいさつするとともに『カメラを止めるな!』について「このあとも、まだ言えないイベントもたくさんございます」と客席を埋めた『カメラを止めるな!』ファンへの嬉しいお知らせでイベントを締めくくりました。

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SKIPシティ内の『カメラを止めるな!』ロケ地。映画をご覧になった方ならどこで使われていたかわかるかも?
※クリックで拡大しますが監督コメントやセリフが作品の内容に触れている場合がありますので未見の方はご注意を!

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SKIPシティ内の『カメラを止めるな!』ロケ地。映画をご覧になった方ならどこで使われていたかわかるかも?
※クリックで拡大しますが監督コメントやセリフが作品の内容に触れている場合がありますので未見の方はご注意を!

 トークイベントの前には、SKIPシティ内の『カメラを止めるな!』ロケ地をガイド付きでめぐるツアーも開催されました。ロケに使われた場所はこの日のために上田監督による解説コメントやそのシーンのセリフを書いたボードも設置され、撮影時と同様のセッティングがされた場所も。参加者はさまざまな角度から『カメラを止めるな!』と上田監督作品を楽しむ1日となりました。

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