文豪・谷崎潤一郎の不朽の名作を井土紀州監督が新解釈で映画化した『卍』（９月９日公開）から、新藤まなみさんと小原徳子さんが演じるふたりの主人公の“愛のはじまり”を捉えた本編映像と新たな場面写真が解禁されました。

　過去にも時代を代表する俳優や監督たちにより繰り返し映像化されてきた谷崎文学の代表作を、監督作『ラザロ-LAZARUS-』（２００７年）などで日本映画界に衝撃を与え、瀬々敬久監督作品や山戸結希監督作品の脚本でも知られる井土紀州（いづち・きしゅう）監督が新解釈のオリジナル脚本で現代へと蘇らせる『卍』（まんじ）。
　小悪魔のような魅力を持つ若い女・光子と、人妻でアパレルのセレクトショップを経営する園子のふたりを主人公に、同性愛関係となるふたりに園子の夫や光子の彼氏を名乗る男も絡み、まさに「卍」のような破滅的な４人の男女の激しい愛が描かれていきます。

　光子を演じるのは、グラビアで活動し、初主演映画『遠くへ，もっと遠くへ』（２０２２年／いまおかしんじ監督）での大胆なベッドシーンも話題となった新藤まなみさん。
　園子を演じるのは「木嶋のりこ」の名前で『ちょっとかわいいアイアンメイデン』（２０１４年／吉田浩太監督）『Ｚ～ゼット～果てなき希望』（２０１４年／鶴田法男監督）などに主演し、主演作『いずれあなたが知る話』（２０２２年／古澤健監督）で脚本家デビューも果たした小原徳子（こはら・のりこ）さん。
　独自な存在感を放つふたりの女優がダブル主演をつとめるのに加え、園子の夫・孝太郎に『キャタピラー』（２０１０年／若松孝二監督）など多くの作品に出演する大西信満（おおにし・しま）さん、光子の彼氏を名乗るエイジに『やまぶき』（２０２２年／山﨑樹一郎監督監督）や主演作『されど青春の端くれ』（２０１８年／森田和樹監督）などで注目される黒住尚生さんが共演。
　さらに、光子の母を演じるベテランの仁科亜季子さん、友情出演しているお笑い芸人・ぶっちゃあさんら、多彩なキャストが顔を揃えています。

　このほど解禁された本編映像は、互いに惹かれあう光子と園子が初めて肌を交わすその直前のシーン。
　園子が見つめる目前で、恥じらうような仕草を見せつつ光子が服を脱いでいく姿と、光子の「お姉ちゃんも……」という声に髪をほどく園子の姿が映し出され、ラストの視点の変化が強い印象を残します。

　新たに解禁された場面写真も、光子と園子の愛や、ふたりの男も交えた４人の関係が向かう先を想像させるようなカットとなっています。

　また、映画公開に向け、新潮文庫で刊行されている原作「卍」に、映画版の帯がつけられることが決定。映画のメインヴィジュアルにも使われている光子と園子が体を重ねる写真を用いた帯が原作文庫を飾ります。
　映画版の帯は、８月上旬より展開されます。

新潮文庫版・谷崎潤一郎「卍」

８月上旬より映画版の帯展開がスタート

　新藤まなみさんと小原徳子さんら最高のキャストを得て、井土紀州監督が不朽の名作をどう令和の時代に描き出すのか楽しみな意欲作『卍』は、９月９日土曜日より、新宿K's cinemaで公開されるほか、全国順次ロードショーされます。

『卍』ストーリー

服のセレクトショップオーナー・柿内園子は、歯科医である夫・孝太郎の支えを得て店の経営に情熱を注いでいた。ある日園子がよいモデルがいないかと孝太郎に相談したところ、孝太郎はあてがあると若い女性・光子を紹介する。光子は孝太郎が偶然立ち寄った喫茶店の店員だった。さっそく光子を起用して新作服の撮影に臨む園子。気取ってポーズを決める光子を園子は夢中になって撮ってゆく。後日、光子がモデルになった服は若い客を中心に飛ぶように売れていった。園子と光子は仕事を通して親しくなり、二人の様子は姉妹に間違われるほど仲良さそうに映った。ある日、二人は撮影と称して海岸までドライブする。夕暮れになっても帰りたくない二人はどちらともなく唇を重ねる。園子の抑えていた感情がほとばしり光子を強く求めると、光子はそれを喜ぶように受け入れる。女性二人、最初はぎこちなく、しだいに激しく愛し合うようになる・・・。
だが後日、ショップに光子の彼氏だと名乗る男・エイジがやってくる。光子と園子の関係に気付いているエイジは「光子を二人で共有しよう」と言い出す。そして同じ頃、孝太郎が二人の情事を裏付ける証拠を見つけ出し…。