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古川琴音さん5年前撮影の主演作『雨降って、ジ・エンド。』公開に「大切にしたいと思う作品」

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舞台あいさつをおこなった廣末哲万(ひろすえ・ひろまさ)さん、古川琴音さん、髙橋泉監督(左より)
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 映像ユニット「群青いろ」17年ぶりの劇場公開作となる『雨降って、ジ・エンド。』が2月10日に東京のポレポレ東中野で初日を迎え、主演の廣末哲万さんと古川琴音さん、髙橋泉監督が舞台あいさつをおこないました。

 髙橋泉監督と廣末哲万さんが2001年に結成し、髙橋監督が脚本家として、廣末さんが俳優として、それぞれ商業映画でも活躍しつつ、インディーズにこだわった映画制作を続けている映像ユニット「群青いろ」。その17年ぶりの劇場公開作となる『雨降って、ジ・エンド。』は、フォトグラファーを夢見るヒロイン・日和が「バズる写真」を撮るためピエロ姿の中年男・雨森に近づくうちに雨森に恋心を抱いていき、やがて雨森の抱える秘密を知ることになるという、衝撃的な展開の待つラブストーリーとなっています。

 映画の中では雨森の抱える秘密としてセンシティブな題材が扱われており、髙橋監督は「“これはOK、これは無し”とかって多数決で決める世界」に世の中が向かっている中で「多数決で自分の大切な人を裁かれたくないという気持ちで、(雨森のような)この人たちを肯定しているとかではなく、自分の大切な人がそうだったらという想いを込めて作りました」と、その題材を選んだ経緯を話しました。

 秘密を抱えたピエロ姿の男・雨森を演じた廣末さんは、髙橋監督の書く言葉は「言葉のコミュニケーションで人肌のもっと奥の温かみを感じる」と話し、今回の脚本はその温かみが「とても色濃く」感じたために、難しいテーマも「わりとすんなり受け入れられたんですね」と脚本を読んだときの印象を。

 ヒロインの日和を演じた古川琴音さんは、脚本の途中までは「私にピッタリのラブコメだな、雨森さんとの不思議な関係性とか、こういう恋の形いいな」と思いながら読んでいたところ、雨森の秘密が明かさせる展開で「ハッと現実に帰された気分になったというか」と回想。扱われている題材について「いままで自分の人生にはなかったけどあり得ることだなって、読みながら初めて自分ごとのように感じるうことができたんです」と話し、映画の中での日和の選択を古川さん個人としては「すごい複雑なんですけど」としつつ、その選択は「いままでなんとなく生きてきた日和にとっては自分の人生を歩む大っきな一歩になったんだろうなと想像できて、私はその姿に勇気をもらったので、この役をやりたいな思いました」と、脚本を読んだ当時の印象を振り返りました。

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ヒロインの遠藤日和を演じた古川琴音さん

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ピエロ姿の男・雨森を演じた廣末哲万さん

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脚本も手がけた髙橋泉監督

 『雨降って、ジ・エンド。』が撮影されたのは2019年で、オーディションで起用された古川さんにとって撮影順では初の長編主演映画。古川さんは「自分が大切にしたいと思う作品が初主演映画になってよかったと思いました」と作品への想いを述べました。

 そんな古川さんについて髙橋監督は「観てもらえればわかると思うけど、(日和役が)ほかの人で想像できないんじゃないかなと思う」「脚本を書いていると(登場人物の)人物像って絞られていくんですけど、最後にたどり着いた場所にそのままいた感じ」と評し、廣末さんも「オーディションでセリフを一節読んだときから、脚本から飛び出できたような、ほんとに日和がそこにいたんで。現場でも、この作品の可能性を大きく広げてくれた、高めてくれたという、そういう演技をしてくださった、素晴らしい女優さんだと思います」と絶賛。

 群青いろふたりからの称賛に古川さんは「嬉しいとしか言いようがないんですよ。恥ずかしいし、照れくさいし、でも嬉しくて、お客さんの前でどう反応したらいいのか、よくわからないです(笑)」と、笑顔を見せました。

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トーク中の廣末哲万さん、古川琴音さん、髙橋泉監督(左より)

 舞台あいさつ終盤に髙橋監督は「ぼくらが作らなくても、誰かがこれを作らなきゃいけないというくらいのところまで、時代的に来ているとは思うんですね。今日ここで観なかったとしても、どこかでこういう問題にぶち当たる」と、今回のモチーフが潮流的に不可避だと話し「是非を問うてるわけではないし、ぼくらもそれを肯定して作っているわけではないですけど“大切な人がなにか秘密を抱えていたらどうするか?”というところで捉えていただければと思っています」と映画に込めたメッセージを強調。

 廣末さんは「みなさんの生涯の中で、この数時間、数分が群青いろの作品であることが、とても嬉しく思いますし、誇りに思っています」と、観客のみなさんに感謝を述べました。

 最後に古川さんは「日和を演じていて印象的だったセリフが『私は雨森さんをどうにかしたいと思っているんですよ』というセリフで、そこに希望を感じたというか、私の大切な人がつらい想いとか人に話せないようななにかを抱えていて自分に助けを求めてきたときに“どうにかしてあげたい”って思える心を持っている人でいたいと思いました。その気持ちがこの映画を通して伝わればいいなと思っています」と、作品を通して得た想いを明かして舞台あいさつを締めくくりました。

 難しい題材に真摯に向き合いラブストーリーとして描き出した『雨降って、ジ・エンド。』は、2月10日土曜日より、東京のポレポレ東中野にて公開中。
 また、2月24日土曜日からは、群青いろの最新作『彼女はなぜ、猿を逃したか?』が続けて公開となります。

 fjmovie.comでは『雨降って、ジ・エンド。』廣末哲万さん・髙橋泉監督のインタビューも掲載しています。作品誕生の経緯や17年ぶりの劇場公開に至った背景などを語っていただいたインタビュー記事もぜひ合わせてお読みください

作品ポスター

雨降って、ジ・エンド。

  • 脚本・監督:髙橋泉
  • 出演:古川琴音 廣末哲万 大下美歩 新恵みどり 若林拓也 ほか

2024年2月10日(土)よりポレポレ東中野にて公開

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