舞台あいさつをおこなった石田忍道(いしだ・しのみち)監督、斎藤千晃さん、田中祐理子さん、田丸大輔さん、小松遼太さん、伊藤亜和さん(左より)
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第25回TAMA NEW WAVEでグランプリとベスト男優賞をダブル受賞した『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』が10月4日にユーロスペースで初日を迎え、主演の田丸大輔さんと共演の田中祐理子さんら出演者と石田忍道監督が舞台あいさつをおこないました。
『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』は、小さな中華料理屋を舞台に、先代店主から引き継いだ店をひとりで切り盛りする店主と先代店主の3人の子どもたちとの「血の繋がらない家族」の関係や、変化していく日常を描く、異色のヒューマンドラマ。新人監督の登竜門として定評のある映画祭・TAMA NEW WAVEでの高評価を得て劇場公開を迎えました。
主人公の牧原を演じた田丸大輔さんは、中華料理屋店主の役で料理するシーンも多く「私は料理をしないものですから、まな板と包丁を買って」撮影前に毎日キャベツの千切りの練習をしたとコメント。本番では包丁などが練習のときと違ったそうで「切るのがメチャクチャ難しいんですよ。そこを観てほしいですね」と、一風変わった見どころを挙げて場内の笑いを誘いました。
先代店主の長子で牧原とともに物語の中心となる木下美和を演じた田中祐理子さんは、美和が引きこもりの設定のため「光を見ないということをやっていて」と、役作りのため朝になってもカーテンを開けない生活をしていたと話し「それをやると、自然に気持ちもついてくるみたいなことがあったので」と振り返りました。
田丸さんは共演シーンの多かった田中さんについて「撮影の初日からだんだんやさぐれて、どんどん美和になっていく姿がすごいなと思って。すごいハマった役だなって」と評し、田中さんは田丸さんについて「飄々としていて、飄々としている人って掴めない人が多いと思うんですけど、田丸さんは掴めるんですよ。年下の俳優にも目線を合わせて話してくれるので、すごく話しやすいし、気さくだし、一緒にいて楽しかったです」と印象を語りました。
先代店主の次子・木下優実を演じた斎藤千晃さんは、撮影前にきょうだい役の3人で打ち解けるための飲み会を開いたところ、田中さんと三子・竜矢役の小松遼太さんが古い映画など共通の話題で盛りあがり「飲み会を企画したのは私なんですけど、私だけメッチャ置いていかれたっていう(笑)」というエピソードを紹介。
三子の木下竜矢を演じた小松遼太さんは、石田監督が脚本通りではない脚本以上の作品を作る監督だと感じていたと話し「どんな作品になるのかわからないで演じているので“どうにでもなれ”という思いで演じているところはありましたね」と、撮影時の心境を語りました。
帽子屋店員・関波瑠夏を演じた伊藤亜和さんは文筆家として活動しており、映画出演も演技も初めて。出演シーンのほとんどは田丸さんとふたりのシーンで、伊藤さんは「自分がどうとかではなくて、お互いにどう空気を作るというのが大事なんだなというのが今回わかって。田丸さんの、素っぽいんだけど素ではない感じ、何回か同じシーンを撮ると毎回、話し方とかがちょっと違ったりするから、それがすごく面白かったし、すごく心強かったです」と田丸さんとお芝居をしての感想を。
田丸さんは伊藤さんについて「空気感が、具体的には言えないんですけど、役者とは違うかなっていうのを感じましたね。あと、俳優をやっていない方だと緊張してセリフが出なかったりするんですけど、そういうのが一切なくて、落ち着いてお芝居されていたので、そこはすごいなと思いましたね」と話しました。
最後に石田忍道監督は「多層なキャストで、多層ないろいろなつながりのある映画になっていますので、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいなと思います」と舞台あいさつを締めくくりました。
『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』は日本語と日本語手話による多言語構成となっており、また演出的意図から全編に日本語字幕が付けられています。
舞台あいさつでは、なるべく多くの方に共通した情報が行き届くようにという「情報保障」の考え方から、自動文字起こしツールを用いて登壇者の発言をリアルタイムで字幕としてスクリーンに投影するとともに、手話による通訳もおこなわれました。初日以降におこなわれるトークショーなども、すべてリアルタイム字幕・手話通訳付きでおこなわれます。
舞台あいさつでは自動文字起こしツールにより、登壇者の言葉をリアルタイムで字幕としてスクリーンに投影
次世代のバイブレイヤーとして注目を集める田丸大輔さんが主演をつとめ、中華料理屋の厨房から生まれるひと夏のドラマを描く『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』は、10月4日土曜日より東京・渋谷のユーロスペースで公開中、ほか全国順次公開されます。