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金子雅和監督『光る川』が米ライトハウス国際映画祭と加トロント日本映画祭で連続受賞の快挙

 今年3月22日に公開され現在も各地で上映が続いている金子雅和監督最新作『光る川』が、アメリカのライトハウス国際映画祭、カナダのトロント日本映画祭、ふたつの海外映画祭で連続受賞を果たしました。

 『光る川』は、大きな川沿いの村を舞台に、昭和30年代の少年の小さな冒険と、村に伝承として伝わる里の娘の悲恋とが交錯していく物語。
 伝承の悲恋の主であるお葉をNetflixドラマ「シティーハンター」などの華村あすかさんが演じ、お葉の恋の相手である山の民・朔を連続テレビ小説「舞いあがれ!」(2022年)などの葵揚(あおい・よう)さん、村の少年・ユウチャとお葉の弟・枝郎(しろう)の二役を「王様戦隊キングオージャー」(2023年)などの子役・有山実俊(ありやま・さねとし)さんが演じるほか、足立智充さん、山田キヌヲさん、根岸季衣さん、堀部圭亮さん、渡辺哲さん、安田顕さんらが出演しています。

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『光る川』場面写真。華村あすかさん演じるお葉

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『光る川』場面写真。華村あすかさん演じるお葉

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『光る川』場面写真。葵揚さん演じる朔

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『光る川』場面写真。有山実俊さん演じるユウチャ

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『光る川』新たな場面写真。安田顕さん演じる常吉

 公開前にすでに海外映画祭に出品・受賞していた『光る川』が、6月にも新たに海外映画祭で2連続受賞を果たしました。

 まずは6月4日より8日までアメリカ・ニュージャージー州ロングビーチアイランドで開催された第17回ライトハウス国際映画祭(17th Lighthouse International Film Festival)で、国際審査員が選ぶ最高賞である最優秀長編映画賞(Best Narrative Film)を受賞。米・Variety誌の主任特派員であるダニエル・ダダリオさん、ドイツの映画監督ヘンリカ・クールさん、デンマーク出身の映画プロデューサーであるキム・マグナソンさんの3名が審査にあたり、映画祭クロージングセレモニーでは下記の審査員総評が発表されました。

第17回ライトハウス国際映画祭・最優秀長編映画賞審査員総評

古くからの家族の伝統に根ざしながらも、現代の気候変動問題にも共鳴する、繊細に作られたおとぎ話。壮大な風景、洗練されたサウンドデザイン、そして卓越した演技が一体となった『光る川』は、素晴らしいラブストーリーだ。

 そして、6月12日より26日までカナダ・トロントで開催された、第14回トロント日本映画祭(Toronto Japanese Film Festival 2025)では、審査員スペシャルメンションを授与されました。
 カナダ日系文化会館(Japanese Canadian Cultural Centre)の主催による同映画祭は、日本国内や海外映画祭で評価の高かった日本映画を上映する映画祭で、2025年は『はたらく細胞』(2024年/武内英樹監督)『八犬伝』(2024年/曽利文彦監督)『35年目のラブレター』(2025年/塚本連平監督)『Cloud』(2024年/黒沢清監督)など幅広いジャンルの24作品が上映され、映画評論家のマーク・シリングさんら5名の国際審査員が審査。日本での公開規模が大きい作品も多くノミネートしている中、『光る川』は、審査員最優秀作品賞の『敵』(2024年/吉田大八監督)に次ぐ作品として、審査員スペシャルメンションに選ばれました。
 21日の『光る川』上映には金子雅和監督も日本より渡加して参加しており、上映前に審査員スペシャルメンション受賞の報を受けた監督は、ジェームズ・ヘロン同映画祭エグゼクティブ・プロデューサーより賞状を授与されました。

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2025年6月21日、第14回トロント日本映画祭『光る川』上映会場での金子雅和監督(提供写真)

 金子監督は、次のように受賞の喜びをコメントしています。

金子雅和監督の第14回トロント日本映画祭・審査員スペシャルメンション受賞コメント

大都市であると同時に多くの自然と共にあるトロントの街に初めて訪れることが出来、『光る川』上映後には壇上とロビー合わせ1時間半に及ぶ観客の皆さまとの熱い質疑応答があり、充実した時を過ごせました。24作の中でも日本国内の公開規模がひときわ小さい本作に、光を当てて下さった審査員一同に感謝いたします
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2025年6月21日、第14回トロント日本映画祭『光る川』上映会場での金子雅和監督(提供写真)

 『光る川』は、昨年11月にスペインで開催された第62回ヒホン国際映画祭(62th Gijon International Film Festival)ユース審査員最優秀長編映画賞、今年3月にはポルトガルの第45回ポルト国際映画祭(45º Festival Internacional de Cinema do Porto)オリエントエクスプレス部門最優秀作品賞を受賞しており、今回の受賞で海外映画祭4冠となりました。
 また、6月28日より7月5日までイタリア・イスキア島で開催中の第23回イスキア映画祭(Ischia Film Festival 2025)の長編コンペティションにもノミネートされています。同映画祭は紀元前に建てられたアラゴン城を上映会場に開催される映画祭で、7月3日の『光る川』上映には金子監督も出席予定。こちらでも受賞が期待されます。

 自然と人間の関係を見つめる独自の視点と映像美で海外でも高い評価を受けている金子雅和監督が、さまざまにかたちを変える水の流れと少年の眼差しを通して自然への畏怖や慣習に縛られる中で生きようとする人々の姿を圧倒的なロケーションの中で描いていく『光る川』は、東京での再上映もスタート。6月28日土曜日より下高井戸シネマ、7月3日木曜日よりCINEMA Chupuki TABATA、さらにMorc阿佐ヶ谷で近日公開予定のほか、全国順次公開されます。

『光る川』上映劇場

【『光る川』予告編】

『光る川』ストーリー

大きな川の上流、山間の集落で暮らす少年ユウチャ。父は林業に従事し、母は病に臥せっていて、老いた祖母と暮らしている。まだ自然豊かな土地ではあるが、森林伐採の影響もあるのか、家族は年々深刻化していく台風による洪水の被害に脅かされている。
夏休みの終わり、集落に紙芝居屋がやってきて子どもたちを集める。その演目は、土地にずっと伝わる里の娘・お葉と山の民である木地屋の青年・朔の悲恋。叶わぬ想いに打ちひしがれたお葉は山奥の淵に入水、それからというもの彼女の涙が溢れかえるように数十年に一度、恐ろしい洪水が起きるという。紙芝居の物語との不思議なシンクロを体験したユウチャは、現実でも家族を脅かす洪水を防ぎ、さらには哀しみに囚われたままのお葉の魂を解放したいと願い、古くからの言い伝えに従って川をさかのぼり、山奥の淵へ向かう・・・
ポスター

光る川

  • 華村あすか 葵揚
    有山実俊 / 足立智充 山田キヌヲ
    髙橋雄祐 松岡龍平 石川紗世 平沼誠士 星野富一
    堀部圭亮 根岸季衣 渡辺哲
    安田顕

  • 脚本・監督:金子雅和
  • 音楽:高木正勝
  • 共同脚本:吉村元希
  • 美術監督:部谷京子
  • 撮影:山田達也
  • 照明:玉川直人
  • 音響:黄永昌
  • スタイリスト:野口吉仁
  • ヘアメイク:鎌田英子/山下奈巳
  • 助監督:土屋圭
  • カラーグレーディング:星子駿光
  • OPアニメーション:高橋昂也
  • 原作:松田悠八(「長良川 スタンドバイミー一九五〇」より)
  • エグゼクティブ・プロデューサー:中谷克彦/酒井興子
  • 企画・プロデュース:森岡道夫/福原まゆみ
  • プロデューサー:松本光司/片山武志
  • 製作:長良川スタンドバイミーの会
  • 制作プロダクション:プロジェクト ドーン
  • 配給:カルチュア・パブリッシャーズ

  • 2024年/カラー/1.85:1/5.1ch/DCP/108分

2025年6月28日(土) 下高井戸シネマで上映 ほか全国順次公開中

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