4月4日より新宿K's cinemaで国内初上映される太田真博監督『エス』インターナショナル版の上映後トークゲストが発表されました。カンヌ国際映画祭で監督作が上映されたアニメーション監督のポリーナ・ピドゥブナさんが来日するほか日本から森達也さん、中村義洋さんのふたりの映画監督が登壇します。
『エス』は、2011年に不正アクセス禁止法違反などの容疑で逮捕された経験を持つ太田真博監督が、自身の経験から着想を得て監督した長編作。逮捕された映画監督「S」こと染田真一を巡る彼の旧友や周辺の人々の会話から、染田の人物像やそれぞれが抱く染田への感情が浮かび上がっていく群像劇となっています。
太田監督と共同で演劇映画ユニット・松田真子を主宰する俳優・松下倖子さんが染田の社会復帰を助けようとする主人公・千穂を演じるほか、『河童の女』(2020年/辻野正樹監督)主演の青野竜平さんらインディーズ作品を中心に活躍する俳優に加え、テレビドラマなどでも活躍する河相我聞さんらが出演しています。
『エス』場面写真。松下倖子さんが演じる主人公・千穂
2024年に国内公開されたのち、スペインで開催された第14回マドリード国際映画祭(Madrid International Film Festival)で外国語映画最優秀編集賞(Best Editing of a Foreign Language Film)を受賞、韓国の第4回リバティ国際映画祭(Liberty International Movie Festival)で太田監督が最優秀監督賞(Best Director)、松下さんが最優秀女優賞(Best Actress)を受賞、バングラデシュの第24回ダッカ国際映画祭(Dhaka International Film Festival)Womenとイタリアの第30回カプリ・ハリウッド国際映画祭(Capri Hollywood International Film Festival)では日本映画として唯一公式選出されるなど、世界各地の映画祭で大きな反響を呼んできた『エス』が、4月4日より新宿K's cinemaで海外映画祭で上映されたインターナショナル版で2年ぶりに劇場公開。
インターナショナル版では国内初となる上映を一層盛り上げるトークイベントの登壇ゲストが発表されました。
上映初日の4月4日には、短編アニメーション『My Grandmother Is a Skydiver』(2025年・ウクライナ,ドイツ)が第78回カンヌ国際映画祭La Cinef部門で上映され注目を集める新鋭アニメーション監督のポリーナ・ピドゥブナ(Polina Piddubna)さんが来日して登壇します。
ウクライナ出身で現在はドイツで活動するピドゥブナさんは、ダッカ国際映画祭Women Filmmakers Sectionに『My Grandmother Is a Skydiver』が選出されており、同映画祭で『エス』が選出されていた太田監督とのバングラデシュでの出会いと交流が今回の登壇により今回の登壇が実現したという、世界を巡った『エス』を象徴するようなゲストとなっています。
当日は、侵攻の最中にある2022年のウクライナに住む若い女性が1960年代のタジキスタンで暮らす彼女の祖母との時空を越えた交流の中で生きる意味を追い求めるストーリーの『My Grandmother Is a Skydiver』を特別上映。日本では貴重な同作鑑賞の機会ともなります。
登壇決定にあたり、ピドゥブナさんは次のようにコメントを発表しています。
アニメーション監督:ポリーナ・ピドゥブナさんコメント
今回上映していただく『My Grandmother Is a Skydiver』は、数世代にわたる私の家族の歴史や、アイデンティティ、トラウマ、戦争について綴ったアニメーション・ドキュメンタリーです。監督自身の実体験から生まれた作品であり、再会や記憶、友情を探求する『エス』の上映に携われることを、この上なく嬉しく思います。
4月5日には、カルト宗教団体の広報担当者「A」を追った『A』(1998年)『A2』(2001年)やスキャンダルで社会的に抹殺された作曲家に密着した『FAKE』(2018年)などのドキュメンタリー作品で知られ、初の劇映画『福田村事件』(2023年)も第28回釜山国際映画祭(ニューカレンツ部門の最優秀賞であるニューカレンツ賞(New Currents Award)を受賞するなど、ドキュメンタリー・劇映画双方で国際的に高く評価されている映画監督・作家の森達也さんが登壇。
4月6日には、『ゴールデンスランバー』(2010年)『見える子ちゃん』(2025年)など話題作を次々と送り出し海外映画祭での上映・受賞歴も多く、第32回東京国際映画祭(2019年)ではアジアの未来部門審査委員をつとめた映画監督の中村義洋さんが登壇。
初日より3日連続で国際的に活躍する映画監督がトークを繰り広げます。
森さん、中村さんは2024年の『エス』国内公開時に応援コメントを寄せており、当初より『エス』を知る視点でのトークも期待されます。
『エス』場面写真。映画監督・エスこと染田真一の演劇仲間たち
さらに、上映劇場であるK's cinemaの番組編成・家田祐明さん、元・映画雑誌編集長の編集者・岩田和明さん、新国立劇場上演作品などを手がける演出家の五戸真理枝さん、映画好き人口を増やすため幅広い活動をおこなう映画好きOLのゆいちむさんが、新たに作品にコメントを寄せています。
新宿K's Cinema 番組編成:家田祐明さんコメント
不在の私をいくら否定しようと、いくら笑おうとしても、その真上でほくそ笑む私が悪意の刃を君等に向けるのを忘れないでほしい。監督太田真博。彼奴(あやつ)には気をつけたほうがいい。
編集者:岩田和明さんコメント
キミは映画監督・太田真博を知っているか?
遅れてきた松坂世代の剛腕オールド・ルーキーが映画界に豪速球でブチ込むのは、三谷幸喜もニール・サイモンも、ホン・サンスもノ ア・バームバックも裸足で逃げ出す、切れ味シャープな冴えてる会話劇!
そして、“赦し”にまつわる“再生”のラブ・ストーリーでもある。
正義はいつも、すれ違う。誰の想いも、噛み合わない。それでも世界は、終わってない。
“失敗”という人生の財産を、笑顔で運用するための最適解を導く物語が、ここにある。
演出家:五戸真理枝さんコメント
これは、人生を照らす映画だ。
太田真博監督の学生時代からの友人として、この作品には、彼の人生そのものが刻まれていると感じた。逮捕という出来事も含め、今日までに経験し、感じ、考えてきたあらゆること。そして、映画への情熱。
そのすべてが、この一本に宿っている。
登場人物たちの息遣いに、思わず見入ってしまう。観終わったあと、心のどこかに、静かな光がそっと灯る。
映画好きOL:ゆいちむさんコメント
同じ言語で会話しているはずなのに、噛み合わず、すれ違い、言葉は形を変えながら一人歩きしていく。そんなコミュニケーションの不全から浮かび上がるのは、誰もが抱える身勝手さや弱さ、そして語られなかった本音。不寛容さが加速するいま、この迷路のような人間模様を読むこと。
それは窮屈な社会を生きる私たちに、ここが行き止まりではないことを、そっと思い出させてくれる。
不在の人物を巡る会話から現代の社会が抱えるものが浮かび上がっていくユニークな会話劇『エス』インターナショナル版は、4月4日土曜日より東京の新宿K's cinemaで公開。
また『エス』公開にあわせて太田監督の過去作でブレイク前の滝藤賢一さんが主演している中編『笑え』を特別上映。2009年の制作以来、映画祭や特集上映以外では初の劇場上映となり、『エス』鑑賞で『笑え』鑑賞料金が割引になるキャンペーンも実施されます。
※上映スケジュールなど詳細は劇場公式サイトでご確認ください。