町の小さな中華料理店を舞台に「おじさん」と3人のきょうだいたちの少しずつ変わっていく日常を描く石田忍道監督初劇場公開作『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』が10月4日に公開されるのを前に、予告編と各界著名人の推薦コメントが解禁されました。
『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』は、先代の主人から引き継いだ小さな中華料理屋をひとりで切り盛りする店主・牧村と、先代主人の長子で仕事をせずに物語執筆に勤しむ美和をはじめとする木下家の人々がそれぞれの思惑の中で過ごす日々や関係の変化を描いたヒューマンドラマ。
初長編『リバーシブル/リバーシブル』(2023年)でPFFアワード2023審査員特別賞を受賞した石田忍道(いしだ・しのみち)監督が、よく訪れていた定食屋の店主の姿と、監督自身がおこなった引きこもりに関する取材に着想を得て、長編第2作となるオリジナル作品を完成させました。
次世代のバイプレイヤーとして映画界で注目を集め石田監督の前作『リバーシブル/リバーシブル』でも主演をつとめた田丸大輔さんが主人公の牧村を演じ、木下家の長子・美和役にはミスiD2021でアメイジングミスiD受賞の田中祐理子さん。
さらに、木下家の次子・優実役で斎藤千晃さん、三子・竜矢役で小松遼太さんらが出演するほか、文筆家として注目される伊藤亜和さんが帽子屋店員・関波瑠夏役で出演しています。
また、日本語と日本手話による多言語構成で全編日本語字幕付きによって独自の没入感を生み出しており、ろう者の俳優・レオさんが物語のキーとなる登場人物・古賀聡美を演じています。
2024年に新人監督の登竜門として定評のあるTAMA NEW WAVEでグランプリとベスト男優賞をダブル受賞した『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』が、映画祭での高評価を得ていよいよ10月4日より劇場公開。公開を前に、告編が解禁されました。
蝉の声が響く中での「返して」「なにを?」という美和と牧村の会話で幕を開ける予告編は、牧村が厨房で料理を作る姿や、優実、竜矢たち登場人物それぞれの心情を感じさせる場面が続き、彼らが過ごす夏を感じさせます。
そして各界著名人が作品に寄せたコメントが公開されました。
現在公開中の『遠い山なみの光』(2025年)も好評の映画監督・石川慶さんやラジオパーソナリティ・コラムニストとして多くの支持を集めるジェーン・スーさん、多くの作品で活躍する俳優でろう者の忍足亜希子さん、ろう者の両親を持ち『ぼくが生きてる、ふたつの世界』(2024年/呉美保監督)の原作者である作家の五十嵐大さんが、それぞれの視点で作品にコメントを寄せています。
映画監督:石川慶さんコメント
奇想天外なのに、なぜか見覚えのあるリアルさ。たぶんそれは、石田監督が描くキャラクターたちが、本当に“人間”だから。
リアルな人って、実は一番予測できなくて、だからこそ面白くて、愛おしい。この映画は、そんな人間たちを通して、静かに、でもまっすぐに語りかけてくる。Life is beautiful. たぶん、それだけで十分なんだと。
コラムニスト・ラジオパーソナリティ:ジェーン・スーさんコメント
誰かのしあわせの形を勝手に決めて、それを叶えてあげようとするなんて、その力が自分にあると思うところまで含めておこがましい。忘れがちだけど、忘れてはならないことだ。
俳優:忍足亜希子さんコメント
『日常生活の風景はどの家庭でも存在してる』
人間生き物はいろいろな事情を抱えて生きています。時代の流れでマジョリティとマイノリティという言葉が浸透してきましたが、個性も十人色、多様性社会に変化してきています。この作品を通して「今をどう生きていくか」もう一度自分を見直してみませんか?
作家:五十嵐大さんコメント
誰も追いつけないような速さで人生を突き進んでいける人もいれば、その場で停滞しているよ うに見える人もいる。そしてしばしば、後者は軽んじられ、あるいは「いつまでそんなところにいるのだ」と蔑まれる。本作の美和もまさにそうだろう。
でも、主人公の“おじさん”は、そんな美和にさり気なく寄り添う。ただそばにいて、美味しいご飯を作ってやる。それはどれだけ優しく、難しいことだろうかと、ふたりのやりとりを見守りながら、胸の奥がじんわりと温かくなっていった。
そうして気が付く。“おじさん”と美和のことを撮り続けた石田監督の眼差しこそが、誰よりも優しいのだと。
東京都国立市でフィルムコミッションの全面協力のもと、オールロケ撮影によってすべての人が郷愁を覚えるような町を生み出しているのも注目ポイント。
小さな町で繰り広げられる、厨房から生まれる夏の物語『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』は、10月4日土曜日より、東京・渋谷のユーロスペースほか、全国順次公開されます。
『ライフ・イズ・ビューティフル・オッケー』場面写真