野本梢監督の新作『藍反射』(らんはんしゃ)が3月6日より公開。国際女性デーの3月8日にはヒューマントラストシネマ渋谷での上映後に野本監督とお笑い芸人のバービーさんによる特別トークショーが開催されます。
また、映画監督の清水崇さんや俳優の西山真来さんら各界著名人から応援コメントが寄せられています。
『藍反射』は、26歳のときに難治性の不妊症と診断された気象キャスターの千種ゆり子(ちぐさ・ゆりこ)さんが、自らの経験が誰かの助けになればとの思いから自ら企画・プロデュースし、野本梢監督とエグゼクティブプロデューサーの稲村久美子さんともに作り上げた作品で、予期せぬ診断を受ける女性を主人公にした物語。
仕事やボランティアにアクティブな日々を送る中で予期せぬ診断を受ける主人公の深山はるかを『溶ける』(2016年/井樫彩監督)主演の道田里羽(みちだ・りう)さんが演じ、はるかが出会う中学生・牧優佳里を『ジオラマボーイ・パノラマガール』(2020年/瀬田なつき監督)の滝澤エリカさんが演じるほか、井上拓哉さん、平川はる香さん、中山来未さんや、ベテラン・熊谷真実さんらが出演しています。
『藍反射』場面写真。道田里羽さんが演じる主人公・深山はるか
2025年に第38回東京国際映画祭ウィメンズ・エンパワーメント部門に公式出品され大きな注目を集めた『藍反射』が、3月6日よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開。
公開3日目で「国際女性デー」である3月8日には、上映後に特別トークイベントの開催が発表されました。
イベントには、自らの経験に基づいてヘルスケアやエンパワーメントの発信をおこない『藍反射』にコメントを寄せていますお笑い芸人のバービーさんが、野本監督とトークをおこないます。
お笑い芸人:バービーさん応援コメント(過去掲載分を再掲)
主演の道田さんの存在があまりにもリアルで、物語が自分の胸の奥にするりと入り込んでくる。仕事も私生活もそれなりに満たされていて、今すぐ子どもが欲しいわけでもない。なのに、婦人科系の疾患から“産めないかもしれない未来”を告げられた瞬間、世界の色が変わってしまう。女性としての機能に“不全”を突きつけられたとき、自分の価値までゆらぐようなあの感覚。言葉にできないその痛みは、他人から見れば「よくあること」なのかもしれない。でも、当事者にとっては、簡単に片付けられるものではない。この映画は、その名付けられない戸惑いや孤独、胸の奥のざわつきまでそっとすくい上げてくれる。観客が“あの瞬間”の呼吸や鼓動までも追体験してしまうような、優しくて残酷なリアルさがある。
また、各界著名人が作品に絶賛のコメントを寄せています。
東京国際映画祭ウィメンズ・エンパワーメント部門シニアプログラマーのアンドリヤナ・ツヴェトコビッチさんが「タブーの壁を越え、ケアと知の対話を社会にひらく一本である。」、『呪怨』など日本ホラー映画を代表する監督である清水崇さんが「「生きる」とは?「人生を満たす」とは?女性はもちろん、男性にも観て欲しい。」、『二人静か』(2023年/坂本礼監督)主演など多くの作品に出演する俳優の西山真来さんが「わからないままに一緒にいられるのが救いでもあり、いられない理由も些細なこと、決定的なこと、自分が生活の中で感じる感覚たちがこの映画の中にあった。」と評するなど、それぞれの視点で作品の魅力が語られています。
東京国際映画祭ウィメンズ・エンパワーメント部門:シニアプログラマー:アンドリヤナ・ツヴェトコビッチさんコメント
『藍反射』は、女性の生殖健康という沈黙の領域を、詩的かつ精緻な映像言語で可視化する。日常の微細な揺らぎを通じ、身体・選択・尊厳への思索を観客に促す。タブーの壁を越え、ケアと知の対話を社会にひらく一本である。
映画監督:清水崇さんコメント
今まで出逢い通り過ぎていった様々な男女の顔、恋愛模様、個々の想いが、次々と浮かんできた。そこに自分もいた。女性の実体験による映画だが、男性に置き換えた人生を生きた方も、僕の身近に実在する。「生きる」とは?「人生を満たす」とは?女性はもちろん、男性にも観て欲しい。
映画ソムリエ:東紗友美さんコメント
“選べる未来”が前提の時代に、選べなさと向き合う勇気を真っ向から描く。痛みを感傷に回収せず、思考へと手渡す誠実さが力強い。誰かの物語が、いつしか自分の核心に触れる。観終えたあと、他者への想像力がゆるやかに更新される繊細な映画体験。
俳優:西山真来さんコメント
実はテーマ的に見るのがちょっと怖かった。でもそれ以上に熱く堅く手を握ってもらった気持ち。
わからないままに一緒にいられるのが救いでもあり、いられない理由も些細なこと、決定的なこと、自分が生活の中で感じる感覚たちがこの映画の中にあった。
違う立場のままで手を差しのべあえるというシンプルなことを主演の道田里羽さんをはじめ、出演者の皆様の丁寧で魅力的なやり取りたちでみせてもらえて、本当によかった。いろんな言葉たちや一瞬の反応を今も反芻しているし、これからも思い出すと思う。
マンガ家:寄田みゆきさんコメント
まっすぐで思いやりがあって、だけど人間らしい弱さもしっかり持っている、そんな主人公に心惹かれ、「どうか幸せになって!」と願いながら鑑賞しました。婦人科治療というテーマを超えて、人生の壁にどう向き合うかを問いかけてくれる、温かく心に響く作品です。
コントユニット・ダウ90000/俳優:中島百依子さんコメント
人の痛みをすべて自分ごとにすることはできないけれど、自分の痛みと向き合うことが、相手にも自分にも寄り添うきっかけになるのかなと感じました。
今いる場所に立ったまま、自分と向き合える、優しい距離感のある作品でした。
動物作家/昆虫研究家:篠原かをりさんコメント
本当にすごく良い映画でした。穏やかに流れていくのに、気づいたら泣いていました。女性が負っているものの大きさと、それに押しつぶされずに生きていくひとの強さと柔らかな連帯の暖かさに涙が溢れました。何かに打ち勝つようなパワフルエンパワーメント映画は多くありますが、全ての女性の日常に寄り添うような、生きていくことを肯定するような独自のエンパワーメント映画だと思います。まだまだ充分とは言えない婦人科検診の優れた啓発であり、その啓発をきっかけに病気と向き合うことになった人の力にもなるような素晴らしい映画だと思います。
元・空手日本代表:岩本衣美里さんコメント
私にとって、すごく共感できる作品でした。ラストシーンでは、感動して号泣してしまいました。生きていれば自分1人の力で解決出来ないことも多々あると思うけど、全てを受け入れる自分の強さ、支えてくれる周りの人によって救われることがある事、そして、自分の幸せとは何かを改めて考えようと思えました。アスリートのみなさんにも是非是非観ていただきたい。もっともっと自分の体を大切にしようと思いました。
文筆家:岡田悠さんコメント
知らなかった感情を、追体験する作品だった。はるかが他人事に思えず、はるかの周囲に「もっと想像力を働かせてよ〜」とか思っちゃうのだが、一方で冷静になると彼らの行動原理もわかるというか、知らなかったら自分もそうなるかもというか、とにかく知らないと想像すらできないことってたくさんあるよな、と感じる。はるかがトイレでこっそり、排卵誘発剤を打つシーン。その注射針が、まるで自分にもちくりと刺さるような痛みを覚えることに、創作の果たす役割があるのだと思う。
フリーアナウンサー:吉田明世さんコメント
「頑張ればそれなりの結果がついてくる」。これまで経験した人生の方程式は、不妊治療によって揺らぎ、崩れていく。ゴールが見えない、ゴールがあるかすらわからない道を、焦り、不安、葛藤…様々な感情を抱えながらもがき歩んで行く。少子化が問題となっている日本で、母になることを望み、闘っている女性がいる現実を、私たちは忘れてはいけない。
恵泉女学園大学学長:大日向雅美さんコメント
多嚢胞性卵巣症候群に向き合う主人公を通して、「産む・産まない・産めない」をめぐる女性たちの揺らぎが丁寧に、繊細に描かれている。語られにくい痛みを声高にせず、支え合いのまなざしと共に映し出す静謐な映像は、母性愛神話や「女性は産む性」という規範が今も影を落とす社会への問いに一層の深みを投げかけている。多様な生き方が尊重される未来への希望を感じさせる本作品が、ぜひとも多くの方に届くことを願っている。
大妻女子大学教授/お茶の水女子大学名誉教授/未来を選択する会議委員:永瀬伸子さんコメント
子どもを持つことは選択だ、と言う若い世代が増えた。だが近代医学や技術をもっても未来は不確実だ。愛しい人とのまだ明確とは言えない関係性の中で、妊娠するとはどういうことなのか。子どもを願う気持ち、子どもを怖ろしいと思う気持ちその両方があるだろう。是非とも多くの若い男女にこの映画を見てほしい。
ローズレディースクリニック院長:石塚文平さんコメント
医療現場の描写が非常にリアルでした。俳優の方々の佇まいは本物の医師のようであり、描かれる患者様像は、私が日々診察室で向き合っている方々そのものです。私たちは病院の中での姿しか知ることができませんが、治療に励む方々の「日常の営み」がこれほどまで鮮明に映像化されたことに、感銘を覚えました。
特に懸念しているのは「取りこぼされている20代の女性たち」の存在です。親に守られている10代よりも、自立している20代こそ、卵巣機能低下などのサインを見逃されるリスクを孕んでいます。
専門家の声は時に届きにくいものですが、映画という形であれば、誰もが自然に自分事として受け止められるはずです。この作品が、企業、学校、そして男性も含めた社会全体がこの問題に目を向ける「ポジティブな変化の起点」となることを、一人の医師として切に願っています。
産婦人科医(株式会社Kids Public 産婦人科オンライン代表):重見大介さんコメント
産婦人科医としてさまざまな悩みや不安を抱える女性を多く見てきました。この作品には、月経へのちょっとした距離感、妊娠できないかもという衝撃、不妊治療の大変さ、意図しない妊娠への不安、男性の知識不足からくるすれ違いなど、たくさんの「現実」が描かれています。これらは、男女問わず全ての人にとって関係のあること。きっと、ご覧いただいた後に「観て、知れて、よかった」と思っていただけるのではないかなと。本作品に僅かでも携われたことを嬉しく思います。
実体験から生まれつつも、多くの人が身近なこととして共感できる作品として完成した『藍反射』は、3月6日金曜日より12日木曜日まで東京のヒューマントラストシネマ渋谷、13日金曜日より26日木曜日まで同じく東京のキネカ大森で公開されるほか、全国順次公開されます。