ミャンマー出身のティンダン監督がミャンマー人兄弟の小さな旅を描いた『エイン』が3月6日に公開(『めぐる』と併映)されるのを前に、予告編と新規場面写真、推薦コメントが解禁されました。
ミャンマー語で「家」を意味するタイトルの『エイン』は、2006年に製作された短編。日本での生活に悩みを抱え家出したミャンマー人の少年と彼についてきた弟が自分の居場所を見つけていく姿を通して、人間関係やアイデンティティ、家族といったテーマを描いています。
メガホンをとったティンダン(Thein Dan)監督は、ミャンマー出身で6歳で来日。映画監督を志して日本映画学校(現・日本映画大学)で学び、自らの少年時代の体験を反映させた卒業制作作品として『エイン』を監督しました。
主人公のアウンメインを演じるフォン・テェッキン・ウィンさんをはじめ在日ミャンマー人の方々が出演しているほか、数々の作品で活躍する名バイプレイヤー・光石研さんが警官役で特別出演しています。
解禁された『エイン』新規場面写真。フォン・テェッキン・ウィンさんが演じる主人公・アウンメイン
完成後にアジアフォーカス福岡映画祭2006や第3回伊参スタジオ映画祭などの映画祭で上映された『エイン』は、2017年にティンダン監督の新作短編『めぐる』と同時上映での劇場公開プロジェクトが始動。2021年にティンダン監督が取材先のミャンマーで民衆によるデモを支持したとして逮捕され2年にわたり拘束されるという出来事を経て、3月の劇場公開が決定しました。
公開に向けて解禁された予告編は、主人公・アウンメインの印象的な問いかけで幕を開け、アウンメインが家出する過程やついてきた弟との小さな旅、その中での出会いが、前向きさを感じさせる音楽とともに描かれ、16mmフィルムで撮影された映像の質感も見どころの一つとなっています。
また、映画関係者が作品に寄せた応援コメントも公開されました。
コメントを寄せているのは、日本で暮らすミャンマー人家族を描いた『僕の変える場所』(2017年)やベトナム人技能実習生の現実を描いた『海辺の彼女たち』(2020年)、ロヒンギャの人々を描いたぶ『LOST LAND/ロストランド』(2025年)などの監督作がある映画作家の藤元明緒さん、人気小説を映画化した『風のマジム』(2025年)を監督した映画監督・CMディレクターの芳賀薫さん、劇団スカッシュで活躍する俳優で『エイン』に出演もしている大塚祐也さんの3人。
芳賀さんが「分断を煽るような政治や言論が主流の位置を占めつつあるいま、監督が若き日に作ったこの映画がなお瑞々しいメッセージをあなたにも届けてくれることでしょう。」と評するなど、三者三様の視点で作品の魅力が語られています。
映画作家:藤元明緒さんコメント
『エイン』も『めぐる』も、人生の喜怒哀楽を気どることなく、真っ直ぐに届けてくれる。そのピュアな映画の佇まいが、とても好きです。
映画監督・CMディレクター・クリエイティブディレクター:芳賀薫さんコメント
映画という表現は、登場する人間たちの関係と感情と、それにより人がどう行動し、さらにその行動から何かを感じ影響された他の人が、またリアクションしていくということを積み重ねて織りなされてゆく表現だと思っています。
『エイン』という作品は、その心の動きの連鎖が幾重にも積み重なり、そこで生きる者たちの姿が観る人の心へと染み込んでくるような物語だと思います。主人公が日々の葛藤や生活で受ける心の傷でどう行動し、彼の周囲の人々や偶然出会う人、そして家族がどう変わってゆくかが丁寧に描かれています。これはミャンマーにルーツを持ち日本で育ったダン監督だからこそ深掘りできる社会への視点と、感じてきたことや考えてきたことを登場する多くの人物を通して観る人に届くように紡ぐ気骨と才能があるからだと思います。分断を煽るような政治や言論が主流の位置を占めつつあるいま、監督が若き日に作ったこの映画がなお瑞々しいメッセージをあなたにも届けてくれることでしょう。
俳優:大塚祐也さんコメント
20年前に出演した映画が劇場公開されると聞き、久しぶりに観てビックリした。
ダンさんの実体験を元にした、日本に住むミャンマー人の家族を描いた作品。
必要なシーンだけで構成されており「これ21歳で撮ったの⁈」と学生時代の仲間を時間差で尊敬した。
まだ観てない人は劇場で是非!
制作から20年を経て劇場公開される『エイン』は、ティンダン監督10数年ぶりの新作で生越千晴さんや小野花梨さんらが出演する短編『めぐる』と同時上映で、3月6日金曜日よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開されます。